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『狙われた棒人間』第1話、読ませていただきました。 「記憶の大半がデータの断片」という主人公の設定、すごく惹かれますね。現実とデジタルの境界線を可視化するスケッチブックの描写も、この世界観への導入として秀逸だと感じました。そしてラストのあおいの登場――両腕が触手へ変容するヴィジュアル、月光を背負った立ち姿、モノクルの冷酷な輝き。一気に物語が加速する瞬間にゾクゾクしました。はるきとやまとの関係性も気になるし、この先の展開が楽しみです!
## 狙われた棒人間
雨上がりの街角で煙草の灰が舞う午後三時。私は信号待ちの群衆に紛れていた。偽名「やまと」と呼ばれるこの存在が誰かに問われる前に、自分で名乗るのが礼儀だろう。はじめまして――といっても記憶の大半がデータの断片なのだが。
「よう、“やまと”くん」
声の方を向けば、赤いマフラーが夕焼けに映える。だて眼鏡の奥で瞳が笑っているのはわかる。この男――はるきだけが私の正体を知っている存在だ。
「ただいま」
そう答えた私の言葉は空気に溶ける前に、彼の肩越しに漂った煙草の匂いでかき消された。
「今日もバイトか?」
コンビニのバックルームに入ると安っぽい合成皮革の長椅子に腰掛けた。机の上にはスケッチブックが開かれている。昨日描いた「境界線」の絵――現実とデジタル世界の境目を可視化したものだ。
「この部分……少し歪んでる」
鉛筆で修正していると背後のドアが勢いよく開いた。
「警告!出会い系詐欺グループ『チェリー・パレード』幹部・ハルキの居所を確認!」
月光を背負って立つ人影。両腕が異常に長い――否、それは無数の触手へと変容していた。モノクルのレンズに街灯の光が反射し冷酷な輝きを放つ。
「警察署長命令だ。逮捕する」
あおいと名乗る男の低音が空間を切り裂く。