テラーノベル
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洗面台の前で、みことは固まっていた。
「…………」
鏡の中に映る自分の首。
白い肌だったはずのそこは、もう見る影もない。
赤い。
というより、もはや赤黒い。
濃い痕が幾重にも重なり、首筋から鎖骨近くまで埋め尽くされている。まるで「ここは自分のものだ」と見せつける刻印みたいだった。
「す、すちくん……」
「んー?」
後ろから抱きついていたすちは、みことの肩に顎を乗せたまま気怠そうに返事をする。
「これ、やばくない……?」
「やばいね」
「やばいよね!?」
みことは半泣きで振り返った。
涙目のまま首元を押さえる姿が小動物みたいで、すちは思わず笑ってしまう。
「ふは、かわい」
「かわいくないぃ……っ」
「そんな慌てなくても」
「だ、だってこれ……! 変色してるもん……!」
鏡を見れば見るほど酷い。
薄い痕なんて一つもない。全部が濃く、深く、執拗に重ねられている。
みことは羞恥で耳まで真っ赤になった。
「こんなの、みんな見たら絶対分かる……!」
「長袖着れば?」
「首隠れないよ!」
涙声で抗議するみことに、すちは「たしかに」と小さく笑う。
流石に、少しだけやりすぎた自覚はあった。
泣き顔が可愛くて。
蕩けた顔が愛しくて。
気づけば止まれなかった。
「……反省してる?」
じと、と潤んだ瞳で見上げられる。
その顔を見た瞬間、すちの胸の奥でまた熱が灯った。
反省。
一応している。
けれど。
こんなふうに自分の痕だらけになったみことを見ると、満たされる気持ちの方がずっと大きかった。
「……んー」
「間があった!」
「ちょっとだけ」
「ちょっとなの!?」
「でもさ」
すちはみことの腰を引き寄せる。
ぐらりと体勢を崩したみことが、すちの胸へ倒れ込んだ。
「っ、わ」
「独占欲だから仕方なくない?」
「し、仕方なくない……!」
困ったように眉を下げるみこと。
けれど、本気で嫌がっていないのは分かる。
だって、逃げない。
むしろすちの服を掴んだまま、熱っぽく見上げてくる。
その視線だけで理性が削られていく。
「みこと」
「……な、に」
「もっと付けさせて?」
「ぇ……っ」
答えを待つ前に、すちはみことをそのまま運びベッドへ押し倒した。
柔らかなシーツに身体が沈む。
「す、すちくん……っ」
覆い被さる影。
逃げ場を塞ぐように両腕をつかれ、みことはどきどきと胸を鳴らした。
すちは赤黒く染まった首筋を見下ろし、恍惚みたいに目を細める。
「ほんと、かわいい」
「ぅぅ……」
「俺の痕だらけ」
指先でそっとなぞられるだけで、みことの身体がぴくりと震えた。
そこはもう敏感になっている。
熱を持ち、触れられるたび甘い痺れが走る場所。
すちはそこへゆっくり顔を埋めた。
「んっ……」
柔らかなキス。
その直後。
かぷ、と。
「ひゃ……っ!?」
軽く甘噛みされ、みことの声が跳ねる。
すちはくすりと笑いながら、歯をゆっくり食い込ませた。
「ん、ぅ……っ」
じわ、と残る刺激。
痛いはずなのに、不思議と嫌じゃない。
むしろ身体の奥が熱くなる。
すちは何度も同じ場所を甘く噛む。
痕の上に重ねるように。
執着を塗り込むみたいに。
「っ、ぁ……すちく、ん……」
「ここも俺の」
ちゅ、と噛み跡へキスを落とす。
また別の場所へ歯を立てる。
「んぅ……っ」
赤い痕の上に、小さな歯型が増えていく。
みことはもう羞恥で頭が真っ白だった。
なのに、すちに抱き締められながら刻まれていくその印が、どこか嬉しくて。
胸の奥がじんわり甘く満たされていく。
「……みこと」
「ぁ、ぃ……」
「誰にも見せたくない」
低く落ちた声。
いつもの穏やかさの奥に滲む熱に、みことの心臓が跳ねた。
すちは蕩けた表情を眺めながら、またゆっくりと首筋へ噛み跡を重ねていくのだった。
すちは、みことの肩口へ唇を寄せたまま静かに目を伏せていた。
白い肌には、もう十分すぎるほど痕が散っている。
赤く、濃く、自分の執着を刻みつけた証。
それでもまだ足りないと思ってしまう自分に、すちは小さく息を吐いた。
「……みこと」
「ん……?」
蕩けきった声。
熱に浮かされたような瞳が、とろんとすちを見上げる。
その顔を見ていると、本当に駄目になる。
もっと欲しくなる。
もっと自分だけのものにしたくなる。
すちは肩へそっと指を這わせながら、低く囁いた。
「一回だけ、ごめんね?」
「ぇ……?」
意味を理解するより先に。
がぶっ、と。
「ひゃあぁっ!?」
肩へ思い切り歯を立てられ、みことの身体が大きく跳ねた。
「っ、ぁ、ぁ……!!」
鋭い刺激。
今までの甘噛みとは違う。
しっかりと食い込む歯の感覚に、みことの指先がびくびく震える。
痛い。
なのに。
すちに噛まれているという事実が、頭を痺れさせていく。
「ん、ぅ……っ、ぁ……!」
涙が滲む。
けれど拒めない。
肩に刻まれる独占欲が、熱となって身体の奥へ広がっていく。
みことはシーツをぎゅっと掴みながら、小さく震えた。
「す、ちく……っ」
唇の端から、とろりと涎が零れる。
自分でもわけが分からなかった。
痛いはずなのに、胸の奥が甘く痺れて、頭がぼうっとする。
まるで「自分はすちのものだ」と身体に直接教え込まれているみたいで。
「……っ、ぅぁ」
すちはゆっくり歯を離した。
くっきりと残った歯型。
薄く滲んだ赤。
肌を傷つけてしまったらしい。
その光景を見た瞬間、すちの瞳が熱を帯びて細められる。
「……かわい」
ぽつりと落ちた声は、ひどく甘かった。
みことは羞恥で顔を真っ赤にしながら肩を震わせる。
「ぅ、ぅぅ……っ」
「ごめん。痛かった?」
そう聞くくせに、すちの指先は愛おしそうに歯型をなぞっていた。
みことは答えられない。
だって。
嫌じゃなかった。
むしろ胸の奥が満たされてしまっている。
そんな自分が恥ずかしくて、熱くて、頭がおかしくなりそうだった。
すちは滲んだ血を親指でそっと拭う。
それから。
ぺろ、と。
「っ……!」
優しく舐め取った。
みことの身体がびくりと震える。
舌先が傷口をなぞる感覚に、ぞくぞくと甘い震えが背筋を駆け上がった。
「す、ちく……っ」
「ん?」
「だ、め……っ」
「だめじゃない顔してる」
くすりと笑う。
そしてもう一度、傷跡へそっと口づけた。
今度は優しく。
宥めるみたいに。
甘やかすみたいに。
「大丈夫。ちゃんと可愛がるから」
その言葉に、みことの瞳がとろりと潤む。
すちはそんな姿を見つめながら、肩の歯型へ何度も優しいキスを落としていくのだった。
みことは、もう完全に熱に浮かされていた。
肩に残るじんじんとした痛みさえ、すちの指先が撫でるたび甘い痺れへ変わっていく。
優しく抱き締められ、何度も口づけられ、愛されていると身体中に教え込まれるたび、頭がふわふわになってしまう。
「……みこと?」
ぼんやりした顔を覗き込まれ、みことは熱っぽく瞬きをした。
「……ん」
「どうしたの」
すちは優しい。
噛み跡をつけたあとも、必ず甘やかすように撫でてくれる。
その執拗なほどの甘さが、みことをどんどん駄目にしていく。
胸の奥が満たされて。
もっと欲しくなって。
気づけば、ぽやぽやした頭のまま、そんな言葉を零していた。
「……もっと」
「ん?」
「もっと、いっぱい噛んで……?」
一瞬。
すちの動きが止まった。
みことは自分で言ったくせに恥ずかしくなり、顔を真っ赤にして視線を逸らす。
「……っ、あの、ちが、変な意味じゃ……」
「ふは」
低く笑う声。
次の瞬間、ぐい、と腰を引き寄せられた。
「そんなお願いされたら、我慢できなくなるんだけど」
「ぅ……」
すちは嬉しそうだった。
普段は穏やかな瞳が、今はじっとり熱を孕んでいる。
その視線だけで、みことの身体がぞくりと震えた。
すちはまず、うなじへ唇を落とした。
「っ……」
ちゅ、と優しいキス。
そのあと。
かぷ、と強く噛みつく。
「ぁ……っ!」
みことの肩がびくりと跳ねた。
うなじに走る刺激に、ぞわぞわと背筋が粟立つ。
すちは歯を食い込ませたまま、ゆっくり吸うように力を込める。
「ん、ぅ……っ」
熱い。
頭がくらくらする。
すちは満足そうに歯を離すと、今度は背中へ手を滑らせた。
服を捲り上げられ、空気に晒された肌へ口づけが降る。
「すちく、ん……」
「背中、きれい」
囁きながら、肩甲骨の近くへ歯を立てる。
「っぁ……!」
今度は深く、長い。
みことはシーツへ指を立て、甘い吐息を漏らした。
背中に残る噛み跡。
そこを舌先で優しくなぞられ、身体がびくびく震える。
もうどこを触れられても敏感だった。
すちはそんな反応を楽しむように、ゆっくり下へ降りていく。
そして。
わき腹へ触れた瞬間。
みことの身体がぴくりと揺れた。
「……ここ弱い?」
「っ、や……」
図星だった。
みことは昔からわき腹が弱い。
軽く触れられるだけでもくすぐったくて力が抜けてしまう場所。
そんなところへ、すちはわざと指先を這わせる。
「んっ……ぁ、」
ぴく、ぴく、と身体が跳ねる。
すちは目を細めた。
「かわい」
「ゃ、そこ、だめぇ……っ」
「でも噛んでほしいんでしょ?」
「ぅ……っ」
逃げようとした腰を掴まれる。
そのまま、わき腹へ唇が落ちた。
「ひぁ……っ」
ぞくり、と全身が震える。
優しく舐められただけで、力が抜けそうになる。
その直後。
がぶ、と。
「ひゃっ、あぁっ!!」
みことの身体が一番大きく跳ねた。
背中が反る。
シーツがぐしゃりと歪む。
「ぁ、ぁっ、す、ちく……っ!」
わき腹へ食い込む歯の感覚に、甘い痺れが一気に駆け巡った。
弱い場所だからこそ、刺激が強すぎる。
痛みとくすぐったさと快感が混ざり合い、頭の中が真っ白になる。
「ん、ぁっ……ぁ……!」
無意識に、甘い声が零れた。
自分でも驚くほど蕩けた声。
すちはその反応に完全に煽られていた。
「……やば」
低く呟きながら、もう一度わき腹へ噛み跡を重ねる。
「ひぅっ……!」
みことは涙目になりながら、震える手ですちの服を掴んだ。
けれど止めない。
むしろもっと触れてほしくて、無意識に身体を寄せてしまう。
そんな姿を見たすちは、愛しさを抑えきれないようにみことを抱き締め、熱を帯びた唇を何度も肌へ押し当てるのだった。
♡.*・゚———————.*・゚♡
次話更新:♡500⬆
コメント
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うおおおお第2話も激アツだった……!😭💕✨ すちくんの独占欲がもうダダ漏れすぎてヤバい…「俺の痕だらけ」って言いながら執拗に重ねてくるところ、甘噛みから本気噛みに変わっていく流れがエモすぎて頭おかしくなるかと思った…!! でもみことが「もっと噛んで?」っておねだりしちゃうの、理性飛んでる感じが可愛すぎて最高でした…わき腹が弱点ってギャップ萌え〜!! 次はどこに痕が増えるんだろう…次話も楽しみにしてます!!💖🔥
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#シクフォニ
みちょ
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#御本人様とは一切関係ありません