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誰も知らない、高嶺の花の裏側2

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誰も知らない、高嶺の花の裏側2

32 - 第32話 〚ほころぶ計画〛(恒一視点)

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2026年02月10日

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誰も知らない、高嶺の花の裏側2


第32話 〚ほころぶ計画〛(恒一視点)


おかしい。


——何かが、噛み合っていない。


恒一は、放課後の廊下を歩きながら、無意識に足を止めた。

窓に映る自分の姿を、ちらりと見る。


マスク。

無表情。

いつも通りの自分。


それなのに、胸の奥がざわついている。


(予定では、もう少し……)


りあは動くはずだった。

噂を流し、距離を縮め、橘海翔を揺らす。

澪を孤立させる——そこまで、一気に。


けれど現実は違う。


澪は、孤立していない。

むしろ、守られている。


えま、しおり、みさと。

相馬玲央。

担任。

そして、橘海翔。


誰かが、必ず澪の近くにいる。


(……邪魔だ)


恒一は奥歯を噛みしめた。


スマホを取り出し、りあとのトーク画面を開く。

既読はつく。

返事も来る。


でも、どこか軽い。


《今日は無理〜》

《周り見てたらさ、やっぱ澪って守られてるよね》


——弱気?


違う。

りあは、計算している。


(利用してるのは、俺だけじゃないってことか)


その事実が、恒一を苛立たせた。


使っているつもりで、

使われている可能性。


——それは、計画の中になかった。


恒一はスマホを閉じ、視線を上げる。


廊下の先。

図書室の前。


白雪澪が、扉から出てくるところだった。


橘海翔と、並んで。


二人の距離は近すぎず、遠すぎず。

でも、その「自然さ」が、何よりも腹立たしい。


(……なんで)


胸の奥が、ひりつく。


計画通りなら、

澪はもっと不安になっているはずだった。


予知に怯え、

周囲を疑い、

一人になる。


——それが、ならない。


むしろ、澪は前を向いている。


「……っ」


知らない感情が、胸に湧く。


焦り。

苛立ち。

そして——


置いていかれる恐怖。


(俺は、間違ってない)


恒一は自分に言い聞かせる。


守られている今だからこそ、

崩れた時は大きい。


そのはずだ。


そのはずなのに。


計画の端が、

少しずつ、確実に、ほころび始めている。


恒一は、マスクの奥で小さく息を吐いた。


(……修正するしかない)


今までより、慎重に。

今までより、深く。


——次は、感情を計算に入れる。


澪の。

海翔の。

そして、自分自身の。


気づかれないように。

壊れないように。


放課後のチャイムが鳴る。


恒一は、何事もなかったように歩き出した。


だがその背中には、

初めて「迷い」が影を落としていた。


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