テラーノベル
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晶子はブルブルと頭を振って、その考えを振り払おうとした。確かにカンナの家庭は経済的に貧しいが、カンナに限ってそんな事はない、あるわけない!
晶子は二人に気づかれないように、少し離れた位置から、そっと後をつけた。
幸いと言っていいのか、カンナと相手の男性は電車やバスに乗る事もなく、20分ほど歩いてさびれた住宅地に入って行った。
年代物の低層ビルが並ぶ狭い道を置くまで入ると、古い二階建てのアパートがひしめく一帯があった。
二人はアパートの一つの外階段を昇り、二階の一室の中に消えて行った。それを見届けた晶子の頭の中でまた推測が駆け回り始める。
住んでいる所を見る限り、裕福な男性とは思えない。むしろその逆だろう。だったら何故カンナが付き合う理由があるのか?
晶子の肩がビクッと震えた。お金に関してはカンナは、その辺の大人より、よっぽどしっかりしている。中学生の頃からお金を稼ぐ事には長けていた。
という事は、カンナがあの男性からお金をもらっているのではなく、カンナがあの男性にお金を貢いでいる?
晶子は辺りを見回し、小さな公園があるのに気づいてそこのベンチに座った。バッグから文庫本を取り出し、それを読むふりをしながら、じっと二人が中に入って行った部屋のドアを見つめた。
当然ながら、本の内容は全く頭に入って来なかった。ワンピースにコートという服装だったにも関わらず、晶子の体は不安でうっすらと汗ばんだ。
長い長い時間が過ぎ去った。アパートのドアが再び開いてカンナが出て来るまで、晶子はじっとベンチに座っていた。スマホで時刻を見ると2時間以上が経っていた。
カンナは疲れた顔で階段を降りて来る。カンナの死角に入った隙をついて、晶子は走ってその場から遠ざかった。
カンナに見つからないように必死で駆けながら晶子は心の中で叫んでいた。
「カンナ、どうして? どうして?」
コメント
1件
第66話、読み終わりました…。晶子の胸のざわつきがじんわり伝わってきて、読んでるこっちまで息をひそめちゃいました。カンナを信じたい気持ちと、目の前の現実のギャップに苦しむ晶子の心情がすごくリアルで。2時間もベンチで待つシーン、時間の重さがひしひしと来ました。最後の「どうして?」が心に刺さる…続きがすごく気になります。
もな
291
115
宇津Q
2,059