テラーノベル
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翌週の土曜日。学校も塾も休みだった晶子は、あの時の繁華街の駅前に行き、カンナがやって来るかどうか見張っていた。
前の晩は遅くまでパソコンでネットの様々な情報を読み漁っていた。よくない想像ばかりが未だに晶子の頭の中を駆け巡っていた。
未成年の少女がSNSで知り合った相手から、巧みにだまされて弱みを握られ、男女関係になる事を強要されるといった類の話が驚くほどたくさんある事を晶子は初めて知った。
しっかり者である一方、奔放な性格のカンナだから、そういうトラブルに知らずに巻き込まれている可能性は否定出来ない。
あの時と同じ時刻にカンナが駅の改札から姿を現した。走りやすいようにチノパン、スニーカー、ウインドブレーカーといういで立ちの晶子は、また少し距離を置いてカンナを尾行した。
あの時と同じ方向にカンナは歩いて行く。同じアパートの同じ部屋のドアの中にカンナが入って行くのを確かめた晶子は、心臓が早鐘の様に音を立てるのが聞こえたような気がした。
5分ほど経つと、カンナが外へ出て来た。晶子はそっと後をつける。100メートルほど先にあったコンビニにカンナは入り、大きなペットボトルが2本入った袋を下げて出て来た。
カンナはあのアパートの部屋へ戻って行く。我慢しきれなくなって、晶子は後ろからカンナに駆け寄り、声をかけた。
「カンナ!」
カンナがびっくりして振り返る。
「うわ、びっくりした。晶子じゃねえか。偶然だな」
「カンナ、何か困ってる事ない?」
晶子はカンナにぐいと顔を寄せて真剣な口調で言う。
「何か困ってるなら言って! あたしが力になるから!」
カンナは一瞬キョトンとしたが、すぐに真剣な表情になって、空いた手で晶子の手をぐっとつかんだ。
「実は、今まさに困ってんだ。本当に力になってくれるか?」
「当たり前だよ! あたしたち親友じゃない!」
「よし、一緒に来てくれ、晶子」
カンナは晶子の手を引っ張ってアパートの外階段を昇り、あの部屋へと導く。晶子は心の中で思った。
「そうか。あの男の人を説得してくれって事ね。大丈夫よ、カンナ、あたしが助けてあげる」
アパートの部屋に入ると、六畳間に折り畳み式らしいテーブルがあり、奥にあの男性が胡坐をかいて座っていた。
カンナは男性に言う。
「おっちゃん、突然で悪い。この子は晶子、あたいの親友でさ」
晶子は立ったまま緊張の極限を感じながら、とりあえずちょこんと頭を下げる。テーブルの上を指差して、カンナが切迫した口調で晶子に言う。
「晶子、これ、分かるか?」
晶子がそこに目をやると、物理の教科書と問題集が開いて置かれていた。
「へ?」
晶子の声は裏返っていた。
コメント
1件
67話、読みました…! 晶子の不安がひしひしと伝わってきて、胸がぎゅってなった🥀 カンナを追いかけるときの緊張感とか、息を♡♡♡て読んでたよ。 「あたしが助けてあげる」って思ってた晶子が、まさか物理の教科書を指差されるとは…!最後の「へ?」で裏返る声、めっちゃ想像できて笑っちゃったけど、それだけ晶子が真剣だったってことだよね。 この先、どうなるんだろう…続きが気になるよ〜!
もな
291
115
宇津Q
2,059