テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「__________________てっ!おいっ!!待てよキング!!なぁ!!行くな!!!行くなよ!!!!!!!!」
「……………………………..さようならだ。永遠にな。」
「…………すまないな。」
「待てェェェェェェェッッッッ!!!!!!!!!」
…柄でもなく大声を出して俺、エラー404はベッドから飛び起きた。
寝汗が酷い。スケルトンでも汗はかくらしい。パジャマとベッドシーツがぐっしょり濡れていて、気持ちが悪い。
悪夢を見た。酷い、酷い、神様が見せたのなら底意地が悪い悪夢。
キングが……キングマルチバースが、俺の手の届かない、…いや、他の誰でも届かない、深い、深い、暗い場所に行ってしまう悪夢。
ソウルが激しく脈打っている。
………馬鹿馬鹿しい。悪夢程度で悩むとは俺らしくない。
大体、アイツが出来て俺が出来ない事なんてない。俺はアイツより強いんだから……..。
もし、アイツが何かしようとしてたって、俺は、
俺は……………………..
助け、るのだろうか。
城下町は今日もモンスターたちで賑わっていた。俺の姿を見ると、そそくさと逃げ出す奴も何体かいた。
何を怖がるのか。取って食う訳でも無いのに。
そんなことを思いながら、弟のアルファと城までの道を歩く。
「えぇと……キングの所に寄った後はさ、何処かでお昼食べてかない?こないだ良いお店見つけたからさ!」
「どぅふふ……お前が行く場所ならどこまでもついて行くよ…」
なんだか恐怖とは違う軽蔑に近い視線を周りから向けられている気がするが、まぁ、俺が何か気持ち悪い事をしたわけでもないので気にせずに歩くことにした。
あれは夢。ただの夢。
キングの城に着いた。幾つもの塔が広大な広大な庭に並び、その真ん中に本城が形成されている。無限の広さを持つ城。
「……なんだ、王に何か用か。」
俺の姿を認めると、ぶっきらぼうにデルタが聞いてきた。門番なら客人は歓迎するべきじゃないのか。
「あぁ、んな顔すんなって。ちょっと用があるだけだからよ。」
「……通れ。」
大きな、大きな、何の素材で出来てるか分かったもんじゃない赤い門が、ゆっくりと音を立てて開いた。
あれは夢。ただの夢。
しばらく城を散策し、アルファが少し疲れたようなのでさっさと玉座の間にテレポートした。両方の柱の隙間から朝日が差し込み、なんとも昼寝のしやすそうな空間だった。
そんな中、やはり俺に考えが似ているのか、キングは玉座で珍しくうたた寝をしていた。寝ている時の姿勢も良い。
声をかけようかぼんやり考えていると、気配を感じたのか向こうから起きた。
「……あぁ、お前たちか。待っていろ、茶でも出す。」
相変わらず口数の少ない奴だ。笑顔で出迎えてくれたって良いだろうに。アルファは気にもせずにニコニコしている。なんて可愛いんだろうか。
キングが玉座から立ち上がり、何処かに行った。恐らくほとんど使われていないキッチンだろうか。
することも無いので、玉座の間を少し見てみることにした。
アルファはベランダに出て、城下町の風景を楽しみたいと言ったので、手を振って別れる。
…………と言いつつも、数分見回してみたが、特段変わりのあるものは無い。こんなに広いのに掃除が行き届いているらしい。アイツの潔癖症な性格もあるからだろうか。
…と、ふと玉座を見てみると、右のひじ掛けの内側に、不思議なへこみがある。
好奇心で触ってみた………..というか押しこんでみた。
すると、ほぼ音を立てずに玉座の間後ろの石の床が開いた。
俺は少しだけ眉をひそめた。コイツの城にこんな場所があったか?
気になったので、降りてみることにした。アイツの事だ、別にエロ本なんぞは興味も無いだろうし隠していないだろう。
直ぐに戻ってくるつもりなので、アルファには声をかけずに降りた。
あれは夢。ただの夢。
……長い。この穴は。
あれから3分経っても下につかないため、途中から梯子を使うのが面倒になって飛び下りた。そこからさらに5分。ようやく下に着いた。
下…というか地面か。
真っ暗だった。Blue masteryを使って炎を指先に作り出し、灯りを作る。
見渡すと、其処は大きな大きな書斎…?のような場所らしい。無数の本が並んでる。書斎というより巨大な図書館の様だ。
それを眺めながら歩く。途中で何冊か本を抜き取って見てみた。
まるで意味が分からん本ばかりだが、その中に一つだけ、目を引く本があった。
『多世界解釈』……?
解釈なんてしなくても世界は無限にあるだろうに。
パラパラとページをめくってみると、「世界はある『きっかけ』を元に成り立っていて、それが壊れれば世界は崩壊する」という考えが書いてある。
馬鹿馬鹿しい。タイムラインの事を何もわかっていない阿呆が書いたんだろ。
しばらく歩き続けると、キングが使っているであろう、小さな机に辿り着いた。
其処には、何かが書かれたメモが貼り付けられているノートがあった。
見るつもりはなかったが、目に入ってしまった。
メモに、何が書いてあるかを。
『最終目標→Alphataleの完全破壊』
「……………は、ぁ?」
間抜けな声が出た。Alphataleの完全破壊?
何故?何故アイツにそんなことをする必要がある?
大体、なんd
………目が覚めると、さっきの書斎の別の場所の様だった。
椅子に見覚えのある青い鎖で縛り付けられていて、力が入らない。魔力も感じ取ることが出来ない。意識がぼんやりする中、口の端から少し血が垂れる。
「……見たのか。勝手に人の書斎に入って。」
俺の目の前には、キングが足を組んで座っていた。
「…ぉ、まぇ..ぃ….ン、グ…」
「知る必要のないことを、知ってしまったな。まぁ良い。」
キングはさっさと立ち上がり、俺の鎖を解除する。その瞬間、俺の身体は倒れこむ。
「お前が今から何をしようと手遅れだ。直に私は出発する。深淵へとな。」
そう言い残し、キングは立ち去った。
あれは夢。ただの夢。
…怒りが、湧いてきた。
Alphataleの完全破壊?ふざけるな。
俺が何万年かけて取り戻した幸せを
あんな………………….
あんな奴に奪われてたまるか。
何も話さずに行きやがって。
そんなに俺に信用が無いのか?
戻ってきた魔力で立ち上がり、能力を発動して、城を出かけていたキングの後ろに現れる。
「…おい、待て…っ!!」
「……しぶとさだけは、ゴキブリでも勝てないだろうな。」
キングは振り返りもせずにそう言う。
「……お前が何を考えてるか知ったこっちゃねェが、此処で止めさせてもらうぜ。」
キングは無言だった。相変わらず体勢を変えようともしない。
「…聞いてんのか。テメェッッッ!!!!!」
『God ray!!!
』
キングに向かって指から放たれた神の光線を撃った。
…キングは、自分の背後に黒い渦を召喚して…
次の瞬間、俺は自分のGod rayを喰らって倒れていた。
「あ”ッ……………….!?!!?」
そして、次の瞬間目の前に居たキングに、顔に蹴りを喰らった。
「がっ」
吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。
「…その程度か。まるで弱い。」
なんだ?なんだ…コイツは?
コイツ、こんなに強かったか?
こんなに、こんなに冷酷に戦えたか?
なんなんだ?
キングは、背を向けて歩き出した。
俺は這いつくばって必死に呼び止める。
「待てっ!おいっ!!待てよキング!!なぁ!!行くな!!!行くなよ!!!!!!!!」
「………………さようならだ。永遠にな。」
そう言って振り返ったキングの目の下に、涙の跡があったのは気のせいだろうか。
「待てェェェェェェッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺の絶叫が、木霊した。
あれは夢。
ただの、夢…?
#UndertaleAU
コメント
3件
第1話、一気に読んじゃいました……! これは、すごく重くて熱い始まり方ですね。 エラー404が夢と現実の境目に引きずられて、キングの秘密の書斎を見つけてしまった瞬間の“どきっ”とする感じがたまらなかったです。「Alphataleの完全破壊」ってノートの一文、本当に背筋が冷えました……。そこから追いかけて、蹴り飛ばされて、それでも“行くな”って叫ぶエラー404の執着と切なさが、痛いほど伝わってきました。キングの目の下の涙の跡も気になりすぎる……。次の話、絶対読みます!