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律は深く息を吐き、ゆっくりと立ち上がった。
椅子がわずかに軋む音に、華は小さく寝返りを打ったが、目を覚ます気配はない。
布団を直してから静かにドアへ向かう。
手をかけた瞬間、ふと背後から聞こえた寝言に足が止まった。
「……律さん……好き……」
か細い声だった。
酔いの残る夢の中での言葉かもしれない。
それでも、律の胸は強く締め付けられた。
――好きになってよ。
あの夜の告白が、再び脳裏によみがえる。
律は目を閉じ、わずかに唇を噛んだ。
(……俺が揺れてどうする)
そう自分に言い聞かせ、静かにドアを閉めた。