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完璧なあいつを堕としたい、
馬鹿な俺が考える方法
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初めてあいつの姿を見たときは、
「…人生勝ち組の人間だな」
ふと目に入った人の、
外見で感じた思いつきにすぎなかった。
路地裏から見えたあいつは、
*世で言う*イケメンに分類されるであろう…
遠目でもわかる程に顔が整っている。
ベンチに座るあいつは友人に囲まれ、
他愛無い会話で笑い合い、
いかにも幸せそうな雰囲気を漂わせていた。
加えて数人の女子は全員美人…
女子達の見る目はあいつしか映ってない。
完全にモテ男であると見てわかる。
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裕福な家庭で育ち、
周りの人間からは愛情を嫌という程貰い、
物にも困らず生きてきたんだろうな。
「…」
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しかし、俺はどうだ?
人生のほとんどを暴力に費やす生活。
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髪は乱れ、
服は返り血で染まり、
肌は傷だらけ…
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母親は男を取っかえ引っ変えし、
どの男とできたかもわからない
俺が生まれた。
もちろん母親の遊びでできた俺だから、
愛情なんて欠片も与えられず育った。
家にいるところを見たことがない母親だが、
知らないうちに机の上には
月の食費分のお金が置かれているから
帰ってきてはいるのだろう。
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食費と言ってもお腹は空かないため、
出費は限りなく少なく、
物欲も全くない。
それにより年々お金は増えるばかり。
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それが俺の孤独感を募らせているようで
嫌気が差してくる。
そんな人間がいることも知らずに笑っている
あいつのとびきりの笑顔に腹が立ってくる。
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「…はっ、」
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俺は地面に転ぶ人間を椅子にしながら、
ただただあいつと俺の人生の不平等さに
失笑が出る。
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「…帰ろ」
いつものように、
誰もいない家に向かって重い足を運んだ 。
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この時はまさかまた
あいつをまた見ることになるなんて、
思ってもみなかった。
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家に着くと薄暗い玄関が俺を出迎える。
明かりを付け机に向かうと、
お金と普段はない手紙が置かれていた 。
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『あんた喧嘩ばっか起こしてないで、 たまには学校行きなさい。 そんな生活ずっとしてても飽きるわよ。 気分転換でもいいから。 学校側から頻繁に電話きてて めんどくさいのよ。』
「…そんな生活って、お前も同じだろうが」
「よく飽きもしないで男と遊んでられるよな」
「こんな時まで俺の事より、電話がめんどくさいって…」
「しかも相変わらず名前は出さないんだな」
「俺にはなかむっていう名前あるんだよ、 」
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グチグチと出る独り言にも疲れてき、
学校についてふと考えを巡らす。
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「しばらく行ってなかったし、
本当にこんな生活に飽き飽きしてたから
行ってみるのはアリだな」
「まぁつまんなかったら帰ればいいか」
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そんな軽い気持ちで、
明日学校に行こうと決意した。
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ここで一度区切ります。
読んでくださりありがとうございます!
次回もお楽しみに