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M__side
朝、起きるたびにもやがかかっている。
ちょっとづつ、汚れた何かが。
さすがに病院に行くことにする。
そうするとある異変にも気が付いた。
病院に行くときの道を踏みしめる音が。
誰かがせきをする声が、
__聞こえるんだ。
神様は意外とやさしいのかもしれない。
病院に着くと平日で空いていて
すぐに医者にかかることができた。
『今日はどうされました』
『視界にもやがかかっているんです』
『心当たりがある病気が多数あります。
検査をしてみましょう』
『はい』
まさか急に検査をするとは思っていなかった。
そのあともいくつかの検査をし、
また診察室にもどってきた。
『緑内障ですね、
それもかなり進行しています…
…ですから、失明の可能性も、』
『そうですか』
なぜだか緑内障という病名を聞いても
動揺しなかった。
あぁ、そんなもんか。
『大森さんは耳が不自由ですから__
『不自由だからなんですか』
なんだよ、だからなに。
大変ですが、
一緒にがんばりましょう
触手話の練習をしましょうか
全盲ろうという呼び名がありまして
クスリがあるので毎日服用してくださいね
大変だからなんだよ
一緒なんて嘘、お前は健康じゃん
練習なんてしてる暇ないんだよ
呼び名なんて相手が呼ぶあだなだろ
クスリで止められないのに飲む必要ねぇだろ
全然わかってない
僕の中の黒い醜いものが顔を出す。
話を聞いていないふりをして
目線の先にあるのは医者の手話。
くそじゃん、くそ。
『ではまた来週来てくださいね』
『ありがとうございます』
なんで勝手に動くの、この手。
なんで手話が巧みになっちゃったの。
涼ちゃんみたいに不器用なら、
全てを誤魔化して可哀想な人になれたのに。
口が悪い大森さん。
個人的に好きです。