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風宮 むぅまろ🦇🍀︎ 🍬🍚
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無限城の静寂を切り裂くのは、もはや悲鳴ではなく、甘く濡れた水音だけだった。胡蝶しのぶにとって、一日の始まりと終わりに行われるその儀式は、食事であり、祈りであり、そして何より深い愛の証明となっていた。彼女は童磨の前に膝をつき、上弦の弐という絶対的な強者の象徴を、慈しむようにその小さな口内で迎え入れる。
「ん……、ちゅ、ふ……っ」
しのぶの頬は薔薇色に染まり、その瞳は期待と悦びで潤んでいる。童磨の精液こそが、彼女の細胞一つひとつを活性化させ、鬼としての強大な魔力を維持するための純粋なエネルギー源。彼女はそれを一滴たりとも零さぬよう、貪欲に、そして献身的に吸い付くした。
童磨は彼女の頭を優しく撫で、その恍惚とした表情を愉しげに見下ろしている。
「いい子だね、しのぶちゃん。僕のすべてを飲み干して、もっともっと僕の色に染まっておくれ。君が僕を求めてくれるたび、僕の中にも得体の知れない熱が溜まっていくんだ」
喉を鳴らしてすべてを飲み込み、しのぶは満足げに唇を離した。その口元から一筋こぼれた銀色の雫を、彼女は自らの指で掬い、宝物のように再び舌で味わう。
注ぎ込まれたエネルギーが彼女の全身を駆け巡ると、しのぶの背後には、氷の結晶で形作られた巨大な蝶の翅が、より鮮烈な輝きを放って展開された。彼女の血鬼術は、童磨の精を取り込むたびにその殺傷能力と幻惑効果を増し、今や無限城そのものを彼女の神経の一部に変えてしまうほどの密度に達している。
「…ふぅ、ごちそうさまでした、童磨さん。あなたを身体の芯に感じるたび、指先まで力が満ち溢れていくのがわかります。もう、普通の食べ物なんて、何の意味もなさないわ…」
エネルギーに満たされたしのぶの肌は、陶器のように滑らかで、それでいて触れれば指が凍りつくほどの冷気を放っている。彼女はそのまま童磨の膝に這い上がり、その首筋に顔を埋めて、彼の香りを深く吸い込んだ。
「あなたの精が、私の血となり、肉となる。これ以上の幸せがこの世にあるかしら」
童磨は彼女を力強く抱き寄せ、二人の影は氷の蓮の上で一つに溶け合う。毎日繰り返されるこの秘め事は、二人の絆を、もはや生と死、光と影の区別さえも無効化するほどの、狂気的な共依存の極みへと押し上げていった。