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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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翌日、彩羽とカフェで会ってすべてを話したら、彼女は目を見開いてしばし二の句が継げないでいた。
怒りは遅れてやってきたようで、口を真一文字に結んで次第に顔を赤くしていく。
「百合菜も加那太くんも最低!」
泣くものか、と思っていたのに、自分のことのように怒ってくれる彩羽の顔を見ていると自然に涙が頬を伝った。
「私からも文句を言ってやるわ」
「ありがと。でも大丈夫。彩羽には関係ないって言い返されて終わりそうだし、もう百合菜には関わりたくない」
手の甲で頬の涙をゴシゴシと拭う私を目にし、彩羽は眉尻を下げて心配そうな顔をした。
「ごめん、私が百合菜を合コンに誘ったからだね……」
「違う。彩羽のせいじゃないよ」
「ちょっと前なんだけどさ、百合菜って人の彼氏を横取りするのが好きだって噂を聞いたの。優越感を得られるから、って」
思い返せば百合菜は他人と自分を比べるような発言をよくしていたし、見栄っ張りな性格だった。
恋人がいる男性を振り向かせることで、自分が勝ったのだと優越感を得ているだけなのだとしたら、私も加那太も利用されたようなものだけれど。
だとしても、加那太が選んだのは百合菜だ。
別れてからは、加那太との恋だけを大事にしていた自分がバカみたいに思えた。
恋愛至上主義だったので、この半年は自分のために時間を費やすことをほとんどしてこなかった。
そのあいだに周りは、就職先で仕事に活かせるようにと資格を取るなどしてがんばっていたから、私だけすっかり置いていかれてしまった。
それでも、一番大事にしていた恋愛がうまくいっていればよかったけれど……。結局ダメになって、ドン底まで気持ちが落ち込む日が続いた。
大学生活は残りわずか。あとは卒業式だけだから、百合菜とは大学でバッタリ会うことがないのは不幸中の幸いだった。
どこかに出かける気分になれない中、自室のパソコンデスクに置いていたビジネス雑誌に目が止まる。
就職先であるジニアールの社長が取材を受けたらしく、インタビューが掲載されているというので書店で購入したのだ。
最終面接で一度だけ対面した神谷社長は恐ろしいほどのイケメンで、それだけで圧倒されそうになったのを思い出す。
頭に入れていた面接での想定問答が吹っ飛びそうだったので直視しないようにしていたくらいだ。
雑誌のインタビューでは将来の展望や人材について聞かれていたのだが、神谷社長はひとつひとつていねいに質問に答えていた。
書き起こされた文章を見るだけでも、社長の実直さが伝わってくる。
『時代に合わなくなってきているのかもしれませんが、僕はがんばっている人が好きなんです』
とても素敵な言葉だからだろうか、社長が言ったその一文が太字になっていた。
どうやらインタビュアーは女性のようで、続けて『恋愛対象としてもそういう人が好みなのでしょうか?』と踏み込んで尋ねている。
『なにごとにもがんばっている女性は素敵だと思いますよ』
この部分を何度読んでも涙目になってしまうのは、救われた気持ちになるからだ。
加那太との交際は、私が自分勝手に愛情を押し付けたのもダメだった要因だと思っている。がんばりすぎて周りが見えていなかったのだ。
だけど神谷社長のように、がんばる女性が素敵だと言ってくれる人もいるとわかり、心が慰められた。
コメント
1件
彩羽の「百合菜も加那太くんも最低!」って言葉、めっちゃ刺さった…友達が自分のこと以上に怒ってくれるって、それだけで涙出るよね。それに社長の「がんばってる女性は素敵」っていう言葉が、主人公ちゃんの心に沁みたんだろうなって伝わってきた。傷ついたあとの小さな救いみたいなものが描かれていて、すごく切なくて優しい話だったよ🌙