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最高すぎます!! 続き待ってます!
さいこうです続き楽しみです😭
みなさまこんにちは、のーんです。
このページを開いてくださりありがとうございます。
今回の作品は学パロです。
吉田さんが3ヶ月だけトランペットをやってたとボンバーで観て、萌えたので自己満のために書きました。
今作もあたたかい気持ちでよろしくお願いします。
部室に向かう廊下を歩いていると、階段からちょうど姫が降りてきた。
「あ、はやちゃん」
姫というのは、後輩の柔太朗だ。
その美しい顔の造形や線の細いシルエット、か細い声に人見知りで揺れる瞳が護ってあげたくなるほど儚いと、入部当初にサッカー部内でつけられた愛称が学校全体に広まった。
しかし現在は、柔太朗のことをあまり知らない生徒か揶揄うときにしか呼んでいない。
理由は言わずとも、柔太朗本人がアホすぎて、姫という感じではないからだ。
「おう、おつかれ〜。柔太朗もこれから部室?」
「ん、一緒に行く?」
「おー行くかー」
一緒に行かない理由なんてなく、当然一緒に行く。
なにより柔太朗とはなんとなく波長が合うので、普通にくだらない話をしているだけで楽しい。
柔太朗は後輩であり部活のルール的には敬語を使うはずだが、いまではタメ口も許している。
まあ、俺はそもそもあんまり気にしてないけど。
しかし、何気に一緒に行くのは初めてな気がする。
あれ?
「お前今日7時間だったの?」
うちの学校はいわゆる自称進学校というヤツなので基本的には毎日7時間授業だが、柔太朗はサッカーで入学したアスリートコースなので、部活の日──というかほぼ毎日──は6時間授業のはずである。
その柔太朗が7時間の俺と同じ時間に部室に向かっているということは……。
「え〜……それ訊いちゃう?笑、俺今日の授業中、隣のヤツと変顔し合ってたら先生に呼び出し喰らってさ、さっきまで説教されてたのよ笑笑」
はぁ…やっぱり。
どうせこいつのことだから、真面目に授業聴いてなかったとかそれ系だとは思ったんだよ。
しかしこれでは部活のための6時間も意味をなさない。
「小学生かよ笑。あんまり怒られっと部活全体に支障来すから、俺のためにもほどほどにしとけよ?」
「それはそうだよ、俺、先輩たちには楽しく引退してほs」
「おわっ?!」
突然、廊下の曲がり角から何かが勢いよくぶつかってきて、思わず大きな声を出してしまった。
一拍おいて落ち着くと、そのぶつかってきたものというのが、床に転んでいる人であったことに気がつく。
「っえ、大丈夫??」
思わず手を差し伸べながら声をかけると、びっくりしたような顔でこちらを見上げるその人。
────え……。
「……ッ?!あ、ご、ごめんなさいっ!!」
そいつは俺の顔を見るなりまた走ってどこかへ行っしまったが、俺の頭の中にはまだあのときの顔がリフレインしている。
びっくりして真ん丸の目。
そこから除く潤んだ瞳。
零れそうな眼球を支えるぷっくりとした涙袋。
垢抜けない口元に、どこかおどおどした表情。
引き込まれるように釘付けになって、心奪われた。
「ッ、かわいい………」
「え?!!!!!」
「なに今の子、かわいすぎるって…!」
「ちょ、はやちゃんがそんなこと大声で言ったらヨシダサンに迷惑が掛かっちゃう!」
そう言い、柔太朗は俺の口を塞ごうと掌を口に押し付ける。
「っえ、あの人ヨシダサンっつーの、?てかなんで知ってんの、友だち?話したことある?」
「いやあの人、なんか仕草がかわいいらしくて、吹部の姫はあの人だって話題になってたんだよ」
「、へー……。」
吹部、かあ。
たしかに仕草かわいかったな、、。
いや、それだけじゃなくて顔も声もかわいかった、もう全てがかわいいでできてた。
「……俺、一目惚れしちゃったかも」
「ああもう!はやちゃんは学校イチのイケメンの自覚を持って!!」
「…え?」
「“え”じゃないでしょ、知ってるくせに」
「え、いやまじで、あれってネタじゃなかったん?」
そう言うと、柔太朗は頭を抱えて大きな溜息を吐いた。
「そんなに綺麗な顔で優しいサッカー部のエースがモテないわけないでしょ、喧嘩売ってる?はやちゃんに言い寄られたら堕ちない子はいないとか言われてんの、ほんとに知らないの?」
「…あ、や、知らなかった……」
俺に言い寄られたら堕ちない子はいない……か。ヨシダサンも堕とせんのかな…。
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結局、今日は部活中もずっと彼が頭から離れなくて、なかなかの上の空だったと思う。
気がついたらもうベッドに入る時間で、今日は何をした記憶もない。
とりあえず電気を消してベッドに潜っても、まだ頭の中はあの人のことだけ。
あんなにかわいい顔、俺が彼氏だったらもっと見れるんだろうな、とか。どうやったら声掛けれるかな、とか。俺のこと、覚えてほしいな、とか。
そんなことを考えていたら、いつの間にか寝落ちていた。
翌朝、なにもわからないけどとりあえず行動を起こしたくて、放課後に吹部に行くことだけ決めた。