テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『氷の口づけ』「んー……やっぱり、君の首筋って綺麗だねぇ」
そう言いながら、童磨はわたしの髪をそっとかきあげた。冷たい指先が、耳の裏から首筋へと滑り落ちる。
「やめて……童磨、また……」
「また? そんなにイヤだった?」
彼の声は、どこまでも甘く、どこまでも冷たい。まるで毒入りの飴のようだ。
答える前に、唇が首筋へと落とされた。
ひやりとした舌先が、肌を這う。ぞくりと背中を震わせたわたしを見て、童磨は満足げに笑った。
「ほら、やっぱり……こんなに敏感なんだ。君ってほんと、嘘がつけないよね」
舌が、ゆっくり、円を描くように動いて――
「や……」
吸い上げられる感覚。しばらくして、ぷつ、と音がした。
童磨が顔を離すと、そこには紅く、くっきりと残された痕があった。
「……印、つけといたよ。誰かに見せたりしたら、すっごく面白いだろうなぁ」
「……ひどい」
「ひどくないよ。君のこと、ずっと見てたいだけ」
吐息が触れる距離。金色の瞳が、わたしの全てを覗き込んでくる。
その視線が、怖くて、でも離せなくて。
「もう……逃げられないね、あいちゃん」
笑う童磨の声が、やけに優しく響いた。