休日。角名は、目をキラキラさせて固まる。
「……めっちゃ……あるやん…………
おむつってこんな種類あんの……?」
「そうだよ、サイズも色々あるし」
角名はおむつを一袋手に取り、じーっと眺めてから
表情をくしゃっとさせて、
「……これに、俺の息子のケツが入んの……?」
「ケツって言うな」
「いやでも……ちっっっさ……赤ちゃん……え、すご……」
感動しすぎて立ち止まる。
「どれがいいと思う?」
「全部同じに見える……」
「ちょっとは考えて?」
「これ押すん俺もやろ?
……じゃあ……軽いやつ。
俺が疲れへんやつ」
「動機が完全に自分」
「せやけど、疲れたら赤ちゃん落としたら困るやん」
「落とさないよ」
「俺、意外と手ぇ滑るタイプやからなぁ」
平然と恐ろしいこと言うので彼女の選考が一旦やり直し。
角名が突然、ちいちゃいロンパースを両手で持って固まる。
「…………え、これ……
……息子に着せんの……?
……反則級にかわいない……?」
「角名の声、デカい」
「いやでも……こんなん俺、泣いてまうで……!」
「泣かないで」
「着せた瞬間に写真100枚撮るわ。
動画も撮る。
……いや、やば……実感わいてきた……」
だんだん頬が緩んで、にやけが止まらない。
レジに向かう彼女を見て、角名が後ろからのんびり近づいてくる。
「なぁ」
「ん?」
「今日さ……
……こういうの全部選んでる🌸見てたら……
なんか、家族って感じしたわ」
急にまともなこと言うから、彼女が固まる。
「……なんで黙るん?
恥ずかしいってやつ?」
「そっちが急に真面目だからでしょ…!」
角名はゆるっと笑って、
袋をひょいっと全部持ってくれる。
「重いのは俺が持つわ。
……なんか全部、大事にしたいし」
普段の脱力具合からは想像できないほど
やさしい声。
「次は何いるん? 他にも買っとく?」
「まだいっぱいあるよ、準備」
「ふーん……じゃあ俺、
毎週“ベビー用品デート”つきあうわ」
「なんでそんな嬉しそうなの」
「息子のためちゃうで?
……🌸と歩くの、普通に好きだからな」
さらっと言って歩いていく。
彼女は追いつくのが大変。
コメント
2件
角名の写真フォルダー見たすぎる