「さよなら、プリンセス。」
その言葉と同時に私は宙を舞っていた。
そこで目が覚めた。
またこの夢か…
何度見たのだろう。
最近ずっとこの夢を見る。
ベッドに沈みながら、そんなことが考える。
夢の内容は
いつも突然に始まる。
パッと人が出てくる。顔がモヤモヤで隠れてて分からない。
その姿は華やかで、まるで童話の中に出てくる王子様だ。
魅惑のハッピーエンド
…で、終わると思ったら、私が鏡の前にいる。
『私とさよならだ』
と、言う私。
鏡の中独り縛られて、頭の中逃げ回る毎日。
そして、場面が変わった。
屋上にいる私と王子様。
王子様に言われる一言。
「さよなら、プリンセス。」
と、最初に戻ってくる。
ある日、ずっと見えなかった王子の顔が見えた。
その顔は、いつも一緒にいてくれるキヨだった。
その日の帰り道に、学校内1位のイケメン。aくんに告白された。
だけど、私は断ってしまった。
だって、私とaくんが釣り合うはずなんてないんだから。
勇気を絞って告白してくれたはずなのに…
ぶっちゃけて言ってしまった。
「ずっとずっと思ってた。
だって私変われないし 夢もないし
口もないし つまらないし 可愛くもないし
分らないし…仕方ないし…!!!なんで私なんかを…!!」
「それでも!!それでも、そんなお前が…雲が好きなんだ…!」
こんなことを言ってしまってもなお、aくんは、私のことを好きでいてくれたみたいだ。
私が恋愛が好きだ。なのに、したくない理由は幼少期にあったトラウマのせい。
これは幼少期のお話。
“子供は親を大人を見てる”という言葉がある。
それはほんとにその通りだと思う。
私の家はいわゆるデキ婚。だから、結婚式は私が産まれてからだったので記憶はある。
不意に気づいたらまるで、指輪が首輪になっていたんだ。
壊れた大人の愛情なんだ。
中学の時、やっと反抗できるようになり、期待を蹴った。
その時、涙目で言った。
「私のことなんて気にしないでね」
そう言い、私は家出した。
その時からぐらいからかな。
毎回同じ夢を見るようになったのは。
「さよならプリンセス。」
その言葉が頭から離れない。
〜現代〜
最近は間抜けたプリンセス。
だって。
aくんが…亡くなっちゃった…から。
そろそろと過去とバイバイだ。
この際 何も 全てを燃やしてしまおう。
そう。何もかも。
夜空を見ながら、
『このまま宙を泳いで あの星になれたら。』
と、思う。でも、やっと恋愛ができる。やっと、私が好きな人に本当のことが言える。
そうしたら、私、 私とさよならだ。
数日後。
心の穴がぽっかりと空いた。
キヨが急にいなくなっちゃったから。
行方不明。
妬んだ。
幸せそうなあの子のことを。
渦巻いた。嫉妬の渦だ。
体の中がだんだんおかしくなっていく気がする。
空回る毎日。
そこで、出会った。
再開した。キヨと。帰ってきた。
「キヨ!!!」
と、飛びついた。思わず。
「キヨはずっとずっと……
だって、頭良いし 変わらないし 足長いし
面白いし 顔も可愛いし
さり気ないし 仕方ないし…」
そう、泣きながら言った。
「あ〜…それは、告白と受け取っていいやつ?」
と、微笑みながら言った。
「…うん…」
「ありがとう。でも…」
で諦めようとした。
次の言葉に驚いた。
「せっかくなら俺からしたかったな〜…待ち過ぎちゃったか。ごめんな?」
「喜んで!」
溢れるオーラはまるで、キラキラ輝く安定剤ね。
やっぱり、メロメロだ。私は面目無いね。
泣きじゃくった。古い昨日の私のことなんて、探さないでね。
「さよならプリンセス」
その言葉はいつの間にか忘れていた。
愛に酔っている。
独り。水面に浮かぶ。その姿は鮮やかな、
【理想のハッピーエンド】
私とさよならだ。
この前まで、自分が嫌いだった。
でも、今は好きな人に好かれてる自分が大好きだ。
だから、私とさよならだ。
「さよならプリンセス。」
そんな言葉とはもうお別れ。
全てバイバイだ!
巡り廻る。キヨのために。
幸せに絡まる程、間抜けなハッピーエンド
可愛くなれたかな?キヨのために頑張った。全てキヨのために。
私、 私は既に分かっていたんだ。
もうそろそろ。
この世とさよならか?
そうだね。
「さよなら、プリンセス。」
その言葉と共にとあるビルの屋上から身を投げ出した。
キヨは、私に線香を上げに来てくれた。泣きじゃくっていた。涙を枯らすほど。
こんな言葉。届くか分からないけど。
「キヨ。私が居なくても頑張ってね。」
キヨは急にハッとした様な顔をして、頷きながら泣いていた。
届いたのかな。届いてたらいいな。大好きだよ。