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「しおりーんっ」
懐かしい声が聞こえた。
「あ、もっちーじゃんっ!久しぶり〜!!」
「しおりんも星野高だったんだ!奇遇〜!!」
小学生の時以来の再開。
新学期初日から心が弾んだ。やっぱり、幼馴染って通じ合ってるんだなぁ…
「小6の時から全然変わってないねw」
誰もが目を引かれる体型、笑い方、些細な動き、話し方、テンション…人気者でクラスのムードメーカーだったひかりは、中学でも人気者だったのだろう。
「そんなことないし!彼氏できたもん!」
「まじかよ」
やっぱり人気者はちがうなぁ…
思い返せば、少女漫画が好きだったきがする。
ひかりの家に行ったら、姉(望月ひまり)と一緒に買ったという少女漫画が100冊ほどあったのを覚えている。
おかげでひかりは絵もうまいし、恋愛もするわけか…。
「しおりんは?彼氏いないの?」
「んー。彼氏どころか恋愛すらしてない。」
「え!?」
そりゃ驚かれるだろう。
だけど私はただの腐女子。
そして少女漫画よりはそーゆー系や少年漫画派。
お兄ちゃんが2人もいるから、そりゃあそうなるだろう
「早く作りなよ!どうせモテるんでしょ!」
「いや、普通やしw」
小さい頃からよく言われる「かわいいね」
でもね、嘘付いてるんだよ。
性格いいとかあーだとかこーだとか、
ぜんぶぜーんぶ嘘つきの自分なの。
幼馴染にも言えないほどバレたくないし、隠しきりたい。
「そのうちつくる」
「ちょ、いつよ!?」
そーやって言っておけばいいと思っていた。
別に恋なんてしなくてもいいと思っていた。
しなくても人生は十分楽しいし、仕事が恋に邪魔されるのも嫌だと思ってた。
「はじめましてー」
ニコニコスマイル、モテ兵器第一印象でモテ度のすべてが変わる。
「かわいくね?」
「え、惚れる…」
「これガチで?このこと1年間!?」
「あたり引いたかも」
「美少女やわ」
「2組で良かった…」
大成功。これで(男子からは)嫌われることはない。
好かれなくていい、嫌わなければ。
そう思っていたら、いつのまにかモテてた。
「名前何?」
「どこ中?」
女子からも質問が来た。
嫌われない、絶対に。
この一年は安心して腐女子ライフを楽しめる…
一限目は自己紹介だった。
「次、20番〜」
「はい!」
ここが大切、好きなことなどは可愛く、マンガとか言わずに…
「20番、戸原汐梨です!好きなことは料理です!とくにお菓子作りが好きです!たくさん話しかけてね☆よろしくおねがいします!」
着席。いいイメージ持ってもらえたかな?
嘘だと思われないように、おかしの差し入れとかもしよーっと…。
「次、21番〜」
21番男子なんだ。まあ斜め後ろにいるんだけど。「はい!21番中村友哉です!よくともやって言われるんですけどゆうやです!サッカー部に入りたい!よろしくおねがいしまーす!」
よくマンガで受けに入りそうな爽やか系イケメン…。
惚れはしないんだけど、マンガ「お・あ・そ・び」のキャラの宮里くんを思い出してしまう腐女子の私って一体…。
しかもめっちゃ似てる!
「かっこよ!」
「イケメン…!」
「今日告白しなくてはっ」小さい声が聞こえる。
「なんでだろなぁ…」私はちょっと呟いた。
なぜこんなイケメンごときにきゃあきゃあいってられるのか、私にはわからない。
「ばーか」
「?」
なんと、後ろの席の宮里くん…じゃなくて…えっと…、
あ、中村友哉!そう中村くん!が私の耳に囁いた。ちょー近くに推しの宮里くんがいてほんとびっくりした!
しかも隣の席…、そう19番の田中空牙くん。
陰キャっぽい感じのメガネ男子。
それがマンガ「お・あ・そ・び」の関くんに似ているというヤバイ状況…。
腐女子としてこの位置は耐えられないのであった。