(最初: 娘モスラ視点 途中からゴジラ視点)
“お母さんっ、行ってらっしゃいっ!! いつ、帰って来る?”
“………ごめんね、、きっと、帰って来れない。”
“そうなの?じゃあ、明日?”
“……ううん、……でも、娘が迎えに来てくれたら嬉しいな、。”
“うんっ!分かったっ!! 私が大きくなって、お母さんを迎えに行くねっ!!”
“ありがとう。………………ごめんね、、、。”
“ん?どうしたの、お母さん?”
“…ううん!大丈夫よっ!! お母さんっ、待ってるからね!!”
“うんっ!! 待っててねっ!!”
「……………ゴジラ。」
自分でも、むちゃくちゃ静かな声だったなって思った。何となく話がしたくてゴジラを呼ぼうかなって。30秒したくらいでゴジラが顔を出した。
「おはよう、マグロさん。良い朝になったかしら?」
「………眠い、、。…何の用だ、、。」(-_-)
「ううん、別にぃ、、。話し相手が居ないからお喋りしたくて、誰かと。」(*´ο`*)
「だから、、自分は話すのは苦手だって言ってるだろう?帰れ。」
「………………ニート、、。引きこもり、内気、根暗、コミュ力皆無、人でなし、鬼、悪魔、マグロ野郎っ。」
「最後、関係ないだろう。」
私が幼虫の時もこんな感じだったな。結局は私がゴジラを押し任してるんだけど。ゴジラも初めて会った時よりなんだか、豊かになったなあと思った。
「ゴジラはさ、お母さんと話しててどう思った?」
「…ん?…別に何も、。」(=_=)
まだ、眠たそう。
「お母さんね、ゴジラと話してる時、凄く楽しそうだったんだ。」
「そうか。自分は喋るの苦手なんだが、。」
「お母さんね、過去と未来しか言葉が通じないし、此処、孤島だからね。それでね~私はそんなお母さんを見てるのが好きなんだ!ゴジラも三里をいつも、見てるよね。」
「なんか、酷い言い方だな、。」
「似たようなものだって言いたいだけ!」(>人<)
「私も三里に話し掛けられた時、ドキッとしちゃってぇ〜。」( ´艸`)
「なんでだよ、、。」
「えぇーっ!?分からないっ?!三里って、なんか、なんだろ、なんて言えばいいのかなぁ、、なんか包み込んでくれるみたいなさっ!」
「……う、うん、?そうだな、。」
あ〜ダメだ、分かってねぇ。ほんと、この怪獣は鈍感なのか天然なのか、。あの時の怪獣とは大違いだな。
「…………なあ、お前はあの怪獣はどう思う?」
「………………。」
違う、バカだ。この怪獣はバカでデリカシーが無いんだ。その怪獣を今考えてた所よ。
「……可哀想だなって思ったわ。だって、、、、貴方でも、分かるでしょう?」
「…ああ、、。」
そりゃ、そうよ。誰でもあんなの見たら悲しくなる。
“何故、人間を守る? この世の汚点でしかない欲の塊を、何故庇う?”
(ゴジラ視点)
東京 デストロイアとの戦い
俺が海の奥深くで眠っていた時に声が聞こえた。一定の場所から、声というか叫び声?泣き声?恨み節も聞こえる。それだけじゃない。動物や虫の鳴き声も。
「お母さぁん、、、怖いよぉ、、」
「どうして、どうして、どうして、、」
「わうぅぅん、わうぅぅ、、」
「お願いっ、殴らないで、蹴らないで、、」
「呪ってやる、呪ってやる、、、」
さっきからこんな風に、生き物の声が聞こえる。その聞こえて来る方向はあっちからか。そうやって声に導かれるがまま、進んでったら、あいつが居た。呑気な事に最初、あいつを見た時「美味くなさそうだな」って、思った。まず、俺の耳に届いた声がこいつから発せられていた事、三里と前にも居たアフロの黒い奴、確かマ、なんとか?、、、あいつらの名前は憶えたいな、。なんて、ほんと自分でも呑気だなって思った。そんな事を考えてたら、
「何故、庇う?」
喋った。当たり前か、。自分はいつの間にか三里が居る方向の前に立っていた。多分、無意識。
「何故、だろうな、?自分でもよく分からん。」
「だが、前の怪獣共と戦っていた時も貴様は人間に手を貸していた。」
「なんで、お前がそんな事知ってるんだ?」
「…この身体を通し、お前たちを見ていた。我の身体と我と同じ生物は見えぬ糸によって繋がっている。」
お前と同じ生物?見えぬ糸?その時は良く分からなかった。だけど、デストロイアと戦うにつれ、次第にその意味が分かってきた。そして、なんとなく心苦しくなる。それにあいつと戦ってる最中もあの声が聞こえる。「助けて」だとか「止めて」だとか、「悲しい」なんて、昔の自分なら、なんとも思っていなかっただろうな。だけど、今、目の前に居るのは俺と同じ人間に造られた生物。人間の『エゴ』によって此処に産み落とされた者。きっと、こいつから出てる負のオーラでモスラは攻撃がしにくかったのだと思う。怖いとかって言うのじゃなくて多分、あいつの心情が理解できるから、守り神としてやりづらかったんだと思う。
「………人間が我を造ってから罵倒され、罵られ、耳鳴りのように植物や動物、人間のあの声が、あの日々が、、。やっと、自由になれたと思っていた、やっと解放されると思ったのに、。」
今の状況は自分が三里からデストロイアを離そうとしてる。それになんだ?身体が重い。何かに引っ張られてる感じがする。しかも、モスラはさっきから表情が強ばってる。なんか見えてるのか?
それから、デストロイアに角で突かれて海に沈んでった時やっぱり、あの声が聞こえた。でも、さっきと違う気がする。
「…来ないで、、」
「……来るな、来るな、」
「…来てはダメ、、」
拒絶されてる。
「……そうか、。『繋がっている』って、言うのはそう言う意味か、。」
デストロイアが自分を海に投げ飛ばした時も、言っていた。
「……もう、二度と戻って来るな、。」
あいつの意思が他の人間や動物の意思と共通してるんだな。ただ、自分と同じってのが分からない。そこで自分は、まだ知らない事が多いなって思った。また後でモスラに聞こう。そう考えながら、地上へ戻った。やっぱり、ちょっと抵抗があったが、。
「……………モスラ、、。」
その名を呼んでも、モスラはもう居ない。
「……お母さんはきっと、デストロイアと戦いたくなかったと思う。どっちも辛くなるから、。私もデストロイアを見てると辛くなった。……でもだからと言って許しはしないけど、、。」
モスラは、デストロイアの周りに亡霊が沢山付いていたと言っていた。デストロイアを庇うようにそして、訴えていたそうだ、「彼を傷付けないでほしい」と。自分は亡霊の意味が分からなかった。
「亡霊ってのはね、死んだ人や動物の事。この世に未練があって成仏出来ない者たちの事を言うのよ。」
「……。」
「見てて、辛かった。デストロイアに付いてたのはまだ3歳ぐらいの子とか、イジメを受けてた子、車に跳ねられて死んだ動物と森林伐採で住処を無くした動物、差別されてた人とかで貴方が言う『同じ』ってのはこの事だと思う。」
ふと、あいつを海の中に引きずり込んだ時の声を思い出した。
“……どうして、、、どうして、、分からない?”
この時多分初めて、自分の心の底から願ったと思う。
「……もう、無理するな。……休んでくれ。」
「………………………そうか、、、。」
辛かったと思う、あいつも。
「生き物の考えなんてそれぞれで、デストロイアも守りたいものがあった。私もそう。お母さんや祖先の意思を継がなければならない。だから、必ず、何かしらの衝突が生じる。人間も動物も。」
「……ああ、。」
そう言えば、三里はデストロイアを椿っと呼んでいた。
「それねー、過去と未来に聞いてもらったんだけど。」
デストロイアの『椿』は、三里の故郷で、椿が有名なのと色がデストロイアと似ていたから。
「三里は面白いな、本当に。」
「うふふ、そうだねっ。でも、私は三里に名前付けてもらって凄く、嬉しいなっ!」(*°∀°)
「……ああ、そうだな、。」(- -)
やっぱり自分にとって三里は特別な人なんだな。自分の人生を変えてくれた。……それと、自分は覚えるのが苦手だが、デストロイアの事は一生、忘れないと思う。あいつの意思って言う訳じゃないけど、デストロイアの想いは尊重すべきとは思ってる。あいつもこの世界の『平和』を願ってたのだから。誰かの為に自分の命を掛けて、
「ゴジラっ!!」
「うぉっ?!」
急に大声、出すなよ。結構、ビビったぞ。
「へっ! ゴジラっ、きっとこの先、他の怪獣が目覚める事になると思う。その時は私たちで人間たちを守ろうねっ!!」
「……当たり前だろ、。自分は人間に造られたんだ。一応、恩がある。三里とかにも助けられてるし、。」
「ほ〜ん、ゴジラって結構、ポジティブね~!前向きなのはいい事よっ!」(´∇`)
「……母親に似てきたな、?」
「そうっ?! やったぁっ、嬉しいっ!!」”(ノ*>∀<)ノ
「子供っぽいところは変わってないな。」(._.)
「え”っ?!」
まだまだ、感情をどう表せばいいか分からないがやっぱり、他の生物とコミュニケーション?をとるのは楽しくなってきた。三里とも会話が出来たらと思うがそれは無理があるか、。
「明日はどうなるかな、、、なぁ、モスラ。」
そう囁いたらふと、俺の鼻先に小さな蛾が止まった。よく思えば周りにはこの蛾以外に沢山、飛んでいる。俺は夜空を見上げ、なんとなく神秘的に見えた。
椿の花言葉、
『控えめな素晴らしさ、気取らぬ優美さ』
END
コメント
1件
良かったです! これからも読んで行きます‼️