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この町に、行方不明者がいる。捜すのは、困難だ。でも、決めたから。
「行こう。」
町は、思ったよりも狭かった。ある場所に、木々があった。行方不明となるのは、大抵、森の中だ。
「皆、あそこ。」
「いかにもって感じだな。」
「行こう。」
「でも…お姉ちゃん…」
「大丈夫だよ。きっと」
「分かった…。」
森に入る。進むと、すぐに開けた場所があった。
「ここは…」
「危ない。崖がある。」
「ここは何なの…?」
香が…崖の方へ。
「待っ…え?」
崖の下が、赤い?
「ねぇ…あれ…」
「っ!?」
「あれって…」
皆、その先の言葉が、言えない。沈黙が襲う。
その沈黙を破ったのは、香だった。
「降りよう…あの人が…きっと…。」
「そ…そう…だな…。」
崖の下へ。降りる直前、香が誰かと話す素振りを見せた。
「香?」
「あ、うん。」
降りたら、全員、言葉を失った。
死体…
「右ポケットの中…そこに、何かあるの?」
香…また…話している相手は…あの時と、同じ…?
「皆、これ…」
折り畳んである紙…開く。
文字が…書かれていた。
『ごめん…俺は、もう生きれない…早苗、君がいない世界では…。』
沙恵が、口を開く。
「早苗さんって…あの人だよね…病気で亡くなったっていう…」
「まさか…この人は…」
「怜。」
驚いたことに、香が答えた。
「え、なんで…香…」
早苗さんが亡くなったのは、香を助ける前だったはず…。
「教えてくれたよ…早苗さんが。」
今日は、視えるんだ…
「待って。香。早苗さんに聞いたっていつ?」
「今。」
「え?」
「…ごめん…今日は…幽霊が視えるみたいだから…。」
「へ?」
「香は一回、幽霊になってるから…たまに視えるみたい…。」
沈黙が走る。普通は、誰も信じない話だ。こんな非現実的な話。でも、2人は、信じようとしてくれている。
「ありがとう…」
自然と口にできた、ありがとう。2人はやっぱり、大切な友達だ。
影斗が、口を開いた。
「警察に、知らせに行こう…」
「うん…」
行方不明者を見つけたことは、感謝された。でも、私は、まだ……いや、きっと、大丈夫…だよね。
その後、また森に戻り、香を通じて幽霊の話を聞いた。大まかに説明すると、
早苗さんは、怜さんと仲良くし、互いに支え合ってきた。早苗さんの死によって、怜さんを支える人が居なくなり、自殺してしまった。
知らぬ間に依存していた関係だったみたい。失ったものが、大きすぎたから…。
やっぱり、少し怖い。私は、誰に支えられているんだろう。誰を、支えているんだろう。
今の私は、知る由もなかった。