ぼーっとする頭でひたすら歩き、気がつくといつも通っている学校の近くにある公園にたどり着いていた。どうすればいいのか分からなくて、でも体力の限界だったから、常識がないやつだと思われるかもだけど、ベンチに横になった。家帰らないと…あ、でも鞄あの家に置きっぱなしだ。そうぐるぐる考えてると聞き覚えのある声が鼓膜を揺らした。
「…涼太?」
「…しょう、た…」
「お前、こんなところで何してんの?体調悪いんじゃ…」
「…」
俺が何も言えずに黙っていると後ろからいつも一緒にいるみんなが来た。
「翔太っ、急に先行くな…って舘さん!?」
「え!?何でいるの!?」
「元気なわけじゃないよね?顔も赤いし…」
「ほんとだ、手は…って冷た!?」
「今冬ではないよね!?」
「ってか涼太、あの病院の先生にみてもらってたんじゃなかったの?何でここに…」
プツン、と、何かが切れた。
「…もう、やだ…」
「「「「「…え?」」」」」
「何で…俺ばっか、1人、でっ、こんな、めに合わないと、いけない、の…?」
「は?お前には俺らがい
「いじめられて、生活がやっとで…しんど、くて、…もう…いい、よね。」
ふらふらしながら俺は走り出した。
「ちょ、涼太っ!!!」
「待って舘さん!!」
みんなが追いかけてくる。だけどそんなのどうでもいい。ただただ走る。そして着いたのは昔親とよく行ってた海。そこで俺は止まる。みんなも2歩くらい後ろで止まった。
「…もう、いいよね…?」
「はぁ、っ、何が?」
「…お母さんやお父さんに会いに行ってもいいよね?」
「っ、辞めろ!!涼太!!」
そう言って俺の手を翔太が掴む。それを思いっきり振り払った。
「離せよっ!!」
「…っ、は…?」
「お前にっ、俺の、何が分かんだ、よ!!」
「…」
「俺のっ、何を、知って、いる!?」
熱とか走ったからとかで息が殆どできてない中俺は叫ぶ。そんな俺をみんなは悲しそうな、焦ってるような表情で見つめていた。
「もう、いい、だろ…?俺、頑張った、よ…」
立って居られなくなって砂浜に座り込む。
「…迷惑、だろ…?こんな、こと、して…」
「…迷惑じゃねぇよ。」
そう言って翔太は俺の前に座った。いつの間にかみんなも近くにいる。
「…なんて言ってやればいいのかは分かんねぇけど…確かにお前のことは分かんねぇよ。」
「…」
「でも知りたいって気持ちはみんなある。…俺らは初歩的なことを忘れていたんだよ。」
「…」
「…細かい話は今度しよう。…後ろから先生が来たから。」
そう言われ下げてた頭をあげると、前から3人が走ってきた。
「いたっ!、良かったぁ…」
「家、戻ったら、舘さん、いなくなってたから、焦った…」
「もー!心配させんなやー…」
「…ごめんなさい。」
「何があったかは中で聞くから、家帰ろか。…みんなもありがとなぁ…」
「いや、大丈夫です。…多分こいつ限界だと思うんで、話聞いてやって下さい。…俺らだと無理だから。」
「…無理じゃないよ。」
「「「「「え?」」」」」
「…いつか分かる時がくるで。…めめ、舘さん運んで。」
「了解。」
「ラウはこの子らに分かる範囲でいいから何があったか聞いたげて。ラウが帰ったらそれも踏まえて話そ。」
「はーい。」
「んじゃ、宮舘くん帰ろか。」
向井さんの声を聞いた瞬間、目黒さんがしゃがんで背中を向けた。そこに大人しくのると、目黒さんは立ち上がった。ラウールさんは翔太たちのところで話してる。いつもよりたかい視界が新鮮で、でも浮遊感が気持ち悪くて目黒さんの肩に顔をうめた。
「…舘さん?」
「…ちょっと、気持ち悪くて…」
「…吐きそう?」
「や、大丈夫、です。」
「…そう。吐きそうになったら言って下さいね。」
「はい。」
「康二、帰ろう。舘さんの体調明らかに悪化してる。」
「…そやな。帰ろか。」
静かな2人の会話を聞きながら俺は眠りにおちた。