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「あなただれですか!?ここどこですか!?」静寂を切り裂くようなおれの声が境内に空虚に響いた。
必死だった。握りしめた五万二千円は手汗で湿り始め、左のレジ袋からは卵15個とキャベツの重みがずしりと追い込んでくる。
おれのパニックを余所に、目の前の巫女はーー霊夢と名乗った、彼女は耳を塞ぐような仕草をしてからふぅ、と深い溜息をついた
「……叫ばなくても聞こえるわよ、。ここは博麗神社、私は巫女の霊夢、見ての通りよ」
あまりに淡々とした答え。彼女の視線はおれの顔から下がりーーそしてある一点で止まった。
おれが握りしめている、剥き出しの五万二千円だ。
「……ねえ。あんた それ。まさかとは思うけど……」
霊夢は縁側からゆっくりと立ち上がり、おれの方へと歩み寄ってきた、その目は、獲物を狙っている鷹のように鋭い。
「……何かの呪術?それとも新手の異変解決祈願かしら」
「え? じゅじゅつ……?」
思わず聞き返すと、霊夢は俺が抱えているレジ袋を指差した。
「左手に『供え物の野菜(ネギとキャベツ)』と『十五個の生贄(卵)』。そして右手に『生々しい供出金(五万二千円)』……。そんな格好で鳥居をくぐってくるなんて、普通じゃないわ」
「いや、これスーパーの帰りで! 卵は特売だったからまとめ買いしただけで!」
言い訳はいいわ。そんな大金を持って博麗神社に来るなんて、よっぽど厄介な願い事があるんでしょうね? もしかして、その卵を全部ぶつけて結界でも壊すつもり?」
霊夢の指先が、何やらお札のようなものに伸びる。
「待って! 違うんです! 本当にただの買い物帰りなんです!」
必死に否定するが、俺の腕の中でキャベツが重く揺れ、卵がカチカチと不穏な音を立てる。どう見ても、ただの参拝客には見えないという自覚はあった。