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#ギャグ
梨本和広
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宝霊 凛華
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コメント
1件
わあ、第85話、読ませていただきました!🫶 ディズニーランドのベンチでカンナが晶子の膝枕で寝ちゃうところとか、もう尊すぎて叫びそうになりました……「来世では恋人同士になる?」ってカンナが言うシーン、すごく優しくて切なくて、でも豪快に笑うカンナらしさもあって、じんわりしました。 最後のハンバーガーをナイフとフォークで探す晶子と、「こうやって食うんだよ!」ってかぶりつくカンナの対比が可愛くて、電車で晶子が寝ちゃうところも含めて、二人の距離感が本当に心地よかったです。受験ストレス解消に連れ出したおばさんの気遣いも素敵ですね🌷
だんだん濃くなる夕闇と、逆に明るさを増す園内のカラフルなイルミネーションを見ながら二人でベンチに座っていると、カンナの頭が晶子の肩にもたれて来た。
晶子がカンナの方を見ると、カンナは目を閉じて全身がだらんとしていた。どうやら眠ってしまったようだった。起こそうかと思った晶子だったが、ある事を思いだして、カンナの体を横にさせ、頭を自分の太腿の上に乗せてやった。
カンナは寝たまま無意識に体をベンチの上に横たえて、晶子に膝枕してもらっている格好になった。カンナの寝顔を見つめながら晶子はつぶやいた。
「そっか、カンナ午前中までバイトで働いてたから疲れてたんだな」
そのまま十分ほど経って、カンナが目を覚ました。あわてて起き上がろうとするカンナの肩を、晶子はやんわりと上から押さえた。
「そのままでいいよ、カンナ。まだ席空いてないみたいだから」
カンナは晶子の膝枕の上で大きく口を開けてあくびをして言った。
「悪い、悪い。寝ちまったのか、あたい?」
「バイトで疲れてたんだね。無理に付き合わせちゃったかな?」
「いや、大丈夫。それに晶子の母ちゃんがチケットくれなきゃ、ディズニーランドなんて一生来る事はねえだろうなって思ってたし」
晶子はカンナの顔を見下ろしながら言った。
「あのねカンナ、今思ってたんだけどね。カンナが男の子に生まれてたら良かったなって思った」
晶子の膝の上でカンナが口をとんがらせて答えた。
「どうせ、あたいは女らしくねえよ。悪かったな」
「そうじゃなくて。もしカンナが男の子に生まれてて、あたしのカレシになってたらいいな。そういう意味」
カンナが大口を開けて「ギャハハ」と豪快に笑った。
「おお、そりゃいいかもな。もしあたいが男だったら、晶子は最高のカノジョだぜ。もし生まれ変わりが本当にあんだったら、来世では恋人同士になるか?」
「そうだね、どっちから告白する?」
「あ、だけど、来世ではあたいが踏切の向こう側の家に生まれなきゃいけねえな、晶子と付き合うには。ううん、そう都合よくいくかな?」
晶子は少し真面目な表情になって言った。
「あたしたちは生まれ変わって来るのって、百年後とかだよね。その時には、踏切のこっち側とか向こう側とか、そういうの無くなってるんじゃないかな?」
「ああ、あたいの家がある公営団地、もう相当古いから、その頃には残ってねえかもな」
「ええと、それもそういう意味じゃなくてね。踏切のこっちとあっちとか、親ガチャのアタリとハズレとか、そういう違いを気にしないで、誰とでも友達や恋人同士になれる、そんな時代になってないかな?」
「そういう意味か。ううん、そんな時代来るのかな?」
「ずっと先の未来には、きっとそうなってると思うよ。生まれた家が勝ち組とか負け組とか、そういうので友達でいられなくなる、今の方が何か違ってると思うの、あたしは」
晶子の膝の上に乗せた頭を少し反らしながら、カンナは晶子の目を見つめて言った。
「そうだな。そんな時代に、一緒に生まれ変われたらいいな。おっと、晶子、店に席の空き出たみたいだぞ」
カンナは晶子の膝枕から勢いよく上半身を起こして、ベンチから立ち上がった。晶子の手を引いてハンバーガーショップに向かって歩き出した。
外のテラス席に二人分空きが出来ていた。晶子がドリンクを、カンナがハンバーガーを二人分ずつ運んで席に着いた。
晶子がテーブルの上をしきりにきょろきょろ見回したので、カンナが不思議そうな顔で訊いた。
「どうかしたか、晶子?」
晶子の返事に、カンナは思わず椅子からずり落ちそうになった。
「カンナ、ナイフとフォークがないよ」
「あのな! どこの世界に、ハンバーガーをナイフとフォークで食う奴がいるんだよ。こうやって食えばいいんだよ」
そう言ってカンナは自分のハンバーガーを、大きく口を開けて、一口噛み千切った。晶子も慣れない手つきでハンバーガーにかぶりつく。カンナが笑いながら言った。
「おい晶子、ほっぺたにソースついてるぞ。右の方」
晶子は頬のソースを指で拭いながら、笑った。
「そういうカンナだって、両方のほっぺにソース付いてるじゃない」
「いいんだよ、これがハンバーガーの正式なマナーってもんだ」
家路につく電車の中で、今度は久しぶりにはしゃいだせいか、晶子が座席の上で居眠りを始めて、カンナが晶子の頭を肩にもたれさせた。
晶子の寝顔を見ながらカンナは独り言小さな声で独り言を言った。
「おばさんから、晶子の受験ストレス解消に外へ連れ出してくれって言われた時にゃ戸惑ったけど、少しは役に立てたのかな、あたいは?」