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#山中柔太朗
Freesia
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ご期待に添えているかは分からないのですが、若干合宿っぽいかな?
と思われるストーリー背景となっています…!
リクエストありがとうございます…!
『続いて、現在紀伊半島に滞在している台風ですg、っ』
ブツッ……
「あぁ、ラジオがぁ…」
「まぁ、この調子だとまだ居座られそうだよなぁ。家大丈夫かな……」
8月某日。
大型台風が紀伊半島を直撃。
海沿いに建つここ、汐見総合病院は未未曾有の嵐に包まれていた。
激しい暴風雨が窓を叩きつける音と、地鳴りのような高潮の波音が響き渡る中、突如として館内すべての照明が消え去ったのが昨日の10時。
地下の自家発電設備に浸水が及び、完全停電に陥った。
「…太ちゃん、大丈夫かなぁ…」
「外で避難誘導してくる、って言ってたけど…」
非常灯の頼りない赤光だけが浮かび上がる暗闇のナースステーション。
非常用電源の立ち上げを急ぐ館内放送が途切れ途切れに響く中、裏手の救急搬入口のドアが激しく叩かれた。
「先生!助けてくれ!!」
「っ、どうしました?」
「すいません、今この病院全フロア停電してて⋯⋯」
近隣住民の声に、総合診療科の勇斗が暗闇を蹴って駆け付ける。
仁人が病院の現状を話していると、勇斗がいきなり短く大声を上げた。
搬入されたストレッチャーの上に横たわっていたのは、血まみれになった太智だった。
「太智……!? おい、太智!!」
勇斗の叫びが暴風音をかき消す。
太智の頭部からは大量の出血があり、右側頭部には鋭い打撃痕。
さらには胸部と腹部にも強い圧迫を受けた痕があり、全身からの多発出血でシートが赤く染まっていた。
「意識レベル300。瞳孔不同、右瞳孔散大。脳出血起こしてる、外傷性ショックも併発してバイタルだだ下がり…⋯っ、」
仁人がペンライトの光だけで目を見開き、素早く評価を下す。
「処置室へ運ぶぞ! 柔太朗、舜太、灯りを集めろ! 外科がオペに入るまでの時間を稼ぐんだ!!」
吸引機もモニターも動かない暗闇の処置室。スマートフォンのライトや懐中電灯の光だけが、血の気を失った太智の顔を照らす。
「モニター使えないのキツすぎる!っ、手診で脈測るぞ!」
舜太が手震わせながら太智の頸動脈を指で押さえ、柔太朗がペンライトの光で気道内を直視し、手動の吸引器で血痰を吸い出す。
「血圧どんどん下がってる!脈も弱くて触れにくい……!脳圧上がりすぎて持たない!」
「諦めんな!!輸液!暗闇でも手探りで圧迫止血だ!!俺たちが絶対生きて外科に繋ぐ!!」
勇斗の怒号のような指示が飛ぶ。
「でも、本当に間に合うん、これ、?」
「は?」
「だって今、オペ室は⋯⋯」
『今、今この病院全フロア停電してて⋯』
仁人はさっき自分で発した言葉を反芻する。
電気がない。
電気がないと精密機器が使えない。
精密機器が使えないとオペ室が使えない。
ただ頼れるのは、総合診療科としての知識と指先の感覚だけ。
仁人は暗闇の中、鋭い手つきで太智の頭部創部を圧迫止血し、佐野が腹部の損傷部位を見極めて手応えだけで必死に圧迫を加える。
「太智……! 頼むから目ぇ覚ませ!!」
舜太の泣き叫ぶような声が響く。
柔太朗も血の付いた太智の手を固く握りしめ、必死に語りかける。
「太ちゃん、諦めないで……!」
呼吸が途切れかけ、太智の身体からすうっと力が抜けかけたその瞬間。
バチンッ——!!
激しい音と共に、頭上の無影灯が一斉に眩しい白光を放った。
非常用電源が奇跡的に復旧し、部屋中にモニターの電子音が蘇る。
『ピーーーー……ピッ……ピッ……』
「電気が戻った!! 生体モニター起動! 酸素配管復旧!!」
「よし、バイタル持ちこたえたぞ!! 外科オペ室へ緊急連絡! 運ぶぞ!!」
佐野の叫びと同時に、全員がストレッチャーを押し、光を取り戻した廊下を全速力で駆け抜ける。
オペ室の重い扉の前で、待機していた外科チームへ太智を託す。
「症状があまり良くないです、が、出来ることはしました。後はよろしくお願いします…」
仁人の絞り出すような言葉を受け取り、外科医たちが太智をオペ室へと運び込んで行った。
「……ん……」
嵐が去り、澄み渡るような青空が広がった翌日の午後。
長時間に及ぶ外科の手術を乗り越え、頭に重厚な包帯を巻かれた太智が、ICUのベッドで静かに瞼を開けた。
「……あ……よし、だ、さん……?と、さ、のさん……?」
ベッドの脇で疲れ果てて突っ伏していた仁人と勇斗が、ハッと顔を上げる。
部屋の隅で泥のように眠っていた柔太朗と舜太も跳ね起きた。
「太智……!? お前、わかるか!?」
「あだだ……頭めっちゃ痛い……何があったの……?」
弱々しくもいつもの調子で眉をひそめる太智に、仁人が深く息を吐き出し、目元を乱暴に手ぐしで覆った。
「バッカ野郎!!本当に死ぬかと思ったんだぞ……」
「停電の暗闇の中で、はやちゃんもよっすぃーも全員血まみれになりながら太ちゃんの命繋いだんだからね……!」
舜太が太智の手にすがりついて泣き出し、柔太朗も安堵の笑みを浮かべながらそっと太智の肩を叩く。
太智は改めて皆の隈のある顔を見回す。
「……ん、ははっ、みんな、ありがと……」
窓から差し込む暖かい海の光に包まれながら、太智は小さく、けれど確かに笑ってみせたのだった。
コメント
2件
今回もとっても素敵な作品です✨️ まずはありがとうそしてさすがですFreesiaさんリクエスト道理ですいやリクエスト以上です!! ドキドキハラハラの暗闇の中手探りで処置する姿とっても色んな意味でとってもドキドキハラハラワクワクしていますね✨️💕︎ 分かりますよね?(圧)(*ˊᵕˋ* ) この気持ち🥺︎ Freesiaさんにリクエストして良かったです😊 またリクエスト書いてよろしいでしょうか✨️ 佐野さんは怪我とか事故のシナリオはどうしても私の頭での引き出しには無くてデモベツニ嫌いじゃなのですよ?|o¬ω¬o)チラチラ まぁ 本題に戻りますと佐野さんジャなのですが💦 しゅんちゃんの鼻血のお話しです✨️血の量はナイアガラの滝くらい凄い出血量でお願いします(>人<;)✨️ しゅんちゃん以外がちょうど呼び出しくらって少しいない間に出血してしゅんちゃんも不安でパニックになっていてそんな時にみんなが帰ってきてしゅんちゃんが「どない、しよ 血止まらへん、、」と涙目で大切な最年少が訴えかけてきたら、みんな顔面蒼白ですよね?ウンウンそうですよね😊 長々すみません💦 ご参考までに😊 次の投稿もとっても楽しみにしています😊 体調には気をつけてください😊
わあ……暗闇の中の緊迫感がすごく伝わってきて、読んでる間ずっと息を詰めてました。機器が使えない中で、指先と知識だけを頼りに太智さんを繋ぎ止める医師たちの姿に胸が熱くなりましたね。それに、電気が戻った瞬間の「バチンッ」という音と光の描写が鮮やかで、一気に希望が差し込んだ感じがしました。最後に太智さんが笑顔を見せてくれて本当に良かったです。お疲れ様でした、Freesiaさん。