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「キャメロットにある王宮まで、そこそこ距離あるな…戻るまではかなり時間かかりそうだ」メリオダスは最初に訪れたあの街で貰った地図を眺めてそう呟いた。そうしていると、「…………っ」レナは突然とまた痛みが疼き、痛みを和らげる為に身を縮める。その様子を傍にいたゴウセルは察知し、彼女にそっと接近し、「大丈夫か?、また呪いによる痛みが来たのだな?」と質問すると、痛みに耐え難くなってレナはぎゅっと飛びつくようにゴウセルに抱きついた。苦しい姿を怖がらずにありのままに曝け出すには彼の側でしか出来ない、そう思ってのこの行動だろう。「ねえ…ゴウセル、私……痛いよ、私…このまま痛みがずっと続いて…いつかは呪いに全てを支配されちゃうのかな…私、私…堕ちたくない」とレナは不安げにそう溢した。それを聞いたゴウセルは彼女をそっと抱きしめ返し、「レナ、君はもう悲観的な事は考えないで良い、悲しみにばかり暮れて居ればそれは君を苦しめる魔神族の呪いの思うが壺だ、だから余計なことはあまり思わなくて良い」ゴウセルはそう言って彼女を元気づける。呪いの侵蝕は今も尚進み続け、彼女はゴウセルと初めて出会ったあの時よりも暗くなり、心にも呪いは大きな影響を彼女に及ぼして精神状態でさえも堕落させようと、完全なる闇に彼女を陥れようと彼女を蝕む魔神はそう目論んでるに違いない。だから、何は…彼女は感情さえも内側からコントロールされ、操り人形のようなものになりさがってしまう。
だからこそ、そうなる前に…それを阻止しなければならない。「私…これまで生きてきて…こんな気持ちを抱いたの、今が初めてかも」とレナはそうポツリと言った、彼女が言う初めてとは一体何なのか、初めて…と言っているその理由とその言葉が何を意味しているのか、それを上手く掴めないゴウセルは首を傾げて、「……???、どういう事だ?」とゴウセルがそう問いかけると、彼女は微笑を浮かべ、彼にこう告げた、「私ね……誰かから愛される事がこんなにも暖かくて、心地が良いものなんだなって初めて感じたの。ありがとう、ゴウセル」「レナ…」ゴウセルはそっと静かに彼女に寄り添った。それから、豚の帽子亭に揺られ、大移動をする事数十時間、彼女の元故郷と思わしき土地から随分離れ、ルートとしては最初のキャメロットの中心地に戻って行っていると言う事になるのだ、そうして長い大移動の末ようやく見えてきた、一度訪れたキャメロットの中心地、此処にアーサーがいる王宮がある。さて、一体どのような情報が得られるだろうか、今から面会に向かうアーサーとはこの国の王である為にメリオダスらが掴めなかった情報を多数持って居る事はあらかた事前に予測はできるが、必ずしもそうとは限らないのもあり得る話な訳で、実際に面会して話を聞き出すその直前までどうしても、やはり多少の不安は生じる。それともう一つ別に不安を拭えない事があって、それはレナを蝕み続けて居る呪いの侵蝕の侵攻度…今はゴウセルのお陰で気持ちも落ち着いては居るが、何時乱心状態になるかなどの予測が出来ない。感情の起伏が非常に不安定な状態にあるのがレナの現状な為に、それによって感情が荒れて、更に呪いの侵蝕が触発して、呪いが暴走する、何てことも今は容易に起こり得る状況にあるのだから。
「着いたな、後は彼奴に会ってレナについての情報を得よう、それとレナを苦しめる魔神族に呪いに対抗できる抑制の力を持つ道具探し……と、仲間探しの為の手掛かりも念の為に集めながら向かうぞ」メリオダスは全員にそう指示した。まあ、もう説明不要だろうが、彼がこうして定期的に皆んなに指示を出しているのは七つの大罪の団長、だからこそである。「了解」「あいよ」「うん!」と他の団員もこれからやる事にやる気満々のようで、早速王宮の方へ足を進める。王宮がある中心地に関してはある程度七つの大罪の噂話などは広がっており、七つの大罪だからと警戒される事はあまりない。「久々に来たな」とそうメリオダスは大きく聳え立つ王宮を下から見上げるように眺めながらそう一言。すると、突然レナはゴウセルに出会う前に自分も聖騎士から追われていた事を思い出し、聖騎士や騎士団関係者に面会するのが怖くなったのか、途端に怯え出しレナは門を前にしてゴウセルの後ろに隠れた。すると、後ろに彼女が隠れたのを感じ取りゴウセルは彼女を慰めるようにそっとこう伝えた、「怖がる必要はない、今から行く場所に居る彼は俺達の味方だ、敵ではない。だから君を捕らえようとはしない筈だ」と彼女に声をかけると、肩を震わせて酷く怯えていた彼女であったが、ゴウセルが言ったこの言葉のお陰でちょっとだけ警戒心が溶け、少し前に出れたがそれでも、聖騎士に値する人物に会うとなると、躊躇いがあるようで。でも、その一方でレナはよっぽどゴウセルに心が惹かれたのか、今の彼女にとっては彼の傍にいる時が一番落ち着けて安心できるみたいだ。
そうして覚悟を決め、門前に立っていた門番係の騎士に此処へ訪れた事情をメリオダスの方から説明し、中に入れてもらう。中に入ると、そこは何とも立派で豪勢な内装だ。と、適当に歩いていると案内役だという別の騎士に会い、という事でメリオダスらはもう一度門にいた騎士に話したように案内役の方にも此処を訪れた事情を説明、すると話が通り、彼らは無事にアーサーがいるらしい一室に案内して貰える事になった。暫く長い廊下を進み、アーサーが居るという一室に辿りついた。案内役の騎士は目の前にあるドアをコンコンっと叩き、メリオダス達…つまり客人が来た事をアーサーに軽い説明をすると、そしたら事情を把握したようで中から、「入ってどうぞ」との声が聞こえて来た為、やっと入室。「ようこそいらっしゃいましたね、メリオダス殿」とアーサーは椅子から立ち上がり、メリオダスに挨拶をした。「ああ、随分久方振りだな、今日此処に来たのはちょっと、とある奴についての詳しい話をお前から聞きたくて来たんだ」とメリオダスは軽い事情説明をし終えると、ゴウセルの傍でじっとして居るレナにそっと前に出るように手振りをする。レナが前に出ると、「彼女の事…ですか、とはいえ私もそこまで詳しく全てを知っている訳ではないですし、彼女の事は何と説明したら良いか…彼女に関する伝記や彼女の事と思わしき資料も確か…保管してあった筈なので、それを拝見してみます?」とアーサーもあまり深くはレナの事については知らないという…しかし、彼女の事と思われる資料があるのなら、それを見てみるしかない。メリオダスらはその提案に乗っかり、「ああ、それで頼む」とメリオダスはアーサーに頼み、それにしても資料や伝記には一体どのような事が記されているのだろうか、とにかくそれは読んでみなければ分からない。アーサーはこの場にある大きな本棚からそれに該当する書物を幾つか、かいつまんで持って来てくれた。そうしてメリオダスらはそれを其々手に取って目を通してみる事に、と早速マーリンが気になる事を言い出した。「確かに内容はこの少女の事と類似する部分が多く文面を見る限りでは多く見受けられるがだとするなら、一つだけ気掛かりな点がある、もし仮にこの書物に書いてある少女というのがレナだとするなら…妙だな、この少女がレナではなく全くの別人の事とするなら話は別だが…少女というのがレナの事を暗示して居るのであれば…なぜ此処に記述されている名前が違う?」と。確かに言われてみれば…本当の真の名前はまだその時ではない為にはっきりとした明言は避けておこう。繰り返しになるが今はまだその時ではない。それにしても、レナとは本名ではないのか。長々と言ってしまうが、マーリンの指摘通り、これがレナの事なのであれば、はっきりレナと書かれていないとおかしい。でも、それが全く違うとなると……レナとは別に本当の名前が何処かに隠されている…という考えに行き着いた。「彼女に関する言い伝えやこう言った伝記はキャメロットにかなり古くから存在しているので、もしかすると百年もの前から既に既にこの世界に彼女は居たのかもしれませんね、それと魔神族との繋がりらしき事が記されているものもあって」アーサーは本棚から別本も取り出した。ページを開いてみると、彼女がかけられている魔神族の呪いや彼女に関する逸話など…「この書物に記されている逸話がもし真実なのであれば…此処、キャメロットが出来る以前…遠い昔から既に彼女は此処に居た、そのようです」とアーサーは話した。魔神族の呪いについてはまあ大体予測はついていた事だが、となるとゴウセルが自身の魔力を介して覗いたという彼女の過去はあながち間違っていなかったという明らかな証拠になる訳だ。
「魔神族の呪いってのも作り話じゃなかったって事か」メリオダスが興味深そうにその書物を見ていると、突っ込むようにふと、「ていうかそれより、誰も深掘りしようとしてないけど、彼女の名前ってレナって名前じゃないの…!!?」とキングは思い返す。この事に驚くのも無理はない。だって最初…つまり出会ったあの当初、彼女は間違いなく自身の名前を【レナ】と言った。しかし、今の情報を整理すると、レナ…とはまた違った名前があり、恐らくそれが彼女の本名でレナとはあくまで仮名…?、でもだとするなら、本当の彼女の名前は…?。「うーん、確かにそうか…妙な話ではあるな、レナってのは仮の名前で…本名じゃない…か、でもだとしたら本当の名前はどの資料に載ってるんだ?」とメリオダスは当然この疑問を投げかけた。「それが……、彼女の内情や秘密よりも魔神族の呪いやそれについての逸話だけが多くて、彼女自身については我々もあまり良く理解出来ていなくて…」アーサーはそうメリオダスに申し訳なさ気に言った。そうなると、また色んな情報で頭の理解が追いつけなくなるが、少しずつ…一歩ずつ、彼女の事が明るみには着実に出来ている。「そうなんだな、そうだ。お前にもう一つ確認したい事がある」メリオダスはアーサーへ質問を投げかける事に、それというのが彼女が苦しめられている最もの元凶である彼女の中に封印されているという魔神と、彼女が持つ魔力についてだ。実は彼女はゴウセルやメリオダスらに出会ってから…まだ一度も彼女が持つ魔力で戦闘している姿を見せた事がない。彼女が保有している魔力の正体を知っているかなど、まだまだアーサーへ問いたい事が山ほどあるようだ。それと、彼女を苦しめる呪いを解除出来る方法がないか、とかも…。
「レナの事についてある程度は分かって来たけど、それとは別に確認したい事があってな、レナにある膨大な力…魔神族の呪いから解放させられる方法がないかを知りたい」メリオダスは積極的にアーサーへ質問攻めをする。流石は七つの大罪の団長というだけあって、リーダーシップはかなりあるようで。
「彼女に封印されている魔神族の呪いについて…ですか、それは我々にも良く分かりません、ですがそれなら古い書物に記されてあって、でもそれが本当で、真実なのならば…彼女を救い出せる方法というのは、あまりいい方法ではない…とだけ言っておきます」とアーサーは何か詳しい詳細を知っているような口振りでメリオダスらに告げた。この言葉の意味…とは、「彼女の事に関連しているかは不明ですが、どうやらキャメロットの何処かに魔神族の大いなる魔力を溜め込んでいる秘密の場所があると、以前実はちょっと小耳に挟みまして」とアーサーは話した。「なるほど…じゃあそこにもレナの力の一部が眠っている…そういう事か、そこにも一度行ってみなきゃだな」メリオダスはそう決めかけるもアーサーはそれを拒み、彼はメリオダスにこう言った、「其処はかなり危険な場所だと聞きます、強大な魔神族の魔力のオーラ自体が其処ら中に立ち込めてるようなところで、それを恐れて其処には誰も立ち入ろうとしない、普通の何の魔力を待たない人間がその場所に入ろうとすれば拒絶を起こす程には…」アーサーはやけに魔神族と関わりがあるとされる、その地について詳しく話す割には、メリオダス達が其処に行くのはやめて欲しいと言わんばかりに消極的な言い方をした。それ程に、その場所も容易に行ってはならない場所なのか。
と、メリオダスはアーサーが口にして来た情報の数々の中でどうしても一つ、気になった事が、「お前…やけに色々レナについて知ってるな、まあ書物が偶々沢山残ってたってだけだろうけど、って事はお前、レナを魔神族の呪いの束縛から解放する方法も知ってるのか…?」とメリオダスがポツリこう言うと、アーサーはまた口を開き、「とある…彼女についての、かなり細かく書かれている…古来から伝わる伝承に、もう既にその答えはあったようで、読んでみた事が一度だけ…でも今から言う事はそう簡単に受け止められるような、そんな容易な事ではありませんよ?」とメリオダスは言い放った。と、もうそんな覚悟なんかとっくに出来ている、そう言って来そうな程に真剣な眼差しで、「それでも構わない、レナの事を救ってやる為にも、それにどんなに残酷な事が真実だろうが受け止められる準備はできてる」メリオダスは真剣に、そう伝えた。此処まで出向いたのも全てがレナの事についての真実の追求の為、ならばそれなりに彼女が少しでも明るい未来へ満ちていけるように、少しでも多く重要な情報を得ていきたいものだ。
でも、さっきまでレナについての情報を色々話してくれていた筈なのに、解放できる方法について問われた途端に顔を曇らせ、黙りになったアーサー。それ程言葉にし辛い方法だとでも言うのか、「そんなに話辛い事なのか…?」ゴウセルはまっすぐ彼にそう質問する。と、彼は、「……具体的な言葉ではあまり言いたくありませんが、とても…心苦しい決断の方法を実行しなければ、彼女は魔神族に完全に支配された場合は永遠に彼女は魔神族の中に囚われたままになる…と」アーサーは具体的な解放方法は言わず、何やら妙に表現を濁した言い方で彼らに言った。となると、それ程に残酷で現実となれば、普通なら向き合い難い方法をしないと、彼女はまともに救えない、そのようになるが、そのやり方…となると考えられる事は…ある程度絞られた。あまりはっきりとは告げたくないが、「まさかとは思うが、もし彼女が魔神族に完全に精神と肉体両方が全て支配された場合…取り戻そうとするなら、一度彼女の命諸共殺す必要がある…そう言う訳か…?」ゴウセルは珍しくかなり慎重になって確認するようにアーサーに問う。
その事に彼は顔を曇らせ、でも最悪の場合の方法はそれしかない為に何も言葉を発さず、静かに頷いた。かなりの衝撃的な事で思わず言葉を失うメリオダスら。キングは口を開き、「そんな事………って」と。それもその筈だ、彼女がもし魔神族の呪いに全てを支配され、闇へと堕ちてしまった時、助けたいのなら、彼女を一度殺さなければいけないなど、これこそ心苦しい他ない。特にこうなった場合、最も行動が鈍る事になるのはまず間違いなく、彼女が最も惹かれて好意を寄せている…もうお分かりだろう、ゴウセルだ。彼は感情を失ったとはいえども、彼女に対しては普通とは違う特別な思いを抱きつつある、それにこの先の度で彼が欲している感情という概念が彼に戻ったその時、どうなるだろうか。
「そもそも、これも恐らくにはなるのですが…魔神族の呪いの根源は心臓部…若しくは彼女の心に棲みついているんじゃないかって思うんです、だから彼女を救い出そうとする場合はそうでもしないと助け出せない…書物を読み解いた限りではそういう事なのでしょう」アーサーがそう言っていると、よっぽどショックな新事実を知ってしまったからかディアンヌは悲しみの声を漏らす、「そんな……そんなの嫌だよ……そんな事…できない」とやはりな反応だ。
「とにかく、その魔神族の魔力が立ち込めてるっていう場所にも行ってみないとだな」メリオダスがこう口にすると、アーサーは情報提供の方は積極的にしてくれるも、ただ向かわれる事に対しては反対に、結構消極的な感じなようだ。
それとアーサーが告げた事それが魔力についてだ。というのも、これまで彼女は一切の魔力も使用しておらず、しかし魔力を持っていない訳ではない、では何故彼女は使わないのか……考えられる事があるとすれば、彼女が持つ魔神族の魔力というのが恐ろしい程に強大な力の為に暴走のリスクを抑える為に魔神と同時に彼女の中に封じ込めた。これくらいだろうか、もしそうでなければ、彼女だって普通に闘えるだろうし、ゴウセルと初めて出会ったあの時、彼女は聖騎士に追われていたのを覚えているだろうか、魔力が普通に使えるのなら、ゴウセルから守られずとも対等に闘えた筈なのだから。
「うーん、其処までして封じ込めないといけないくらいに大きな力が秘められてるって事か、こりゃー、最悪の時が訪れてしまったら骨が折れるな」とメリオダスが言うと続いてマーリンも、「それに其処までするとなると、彼女に関わってるであろう魔神族の崇拝者…それから我々が知っている身の者…特に聖騎士長などの地位の聖騎士も裏で秘密裏に関わっていそうだな」と彼女に関しての情報がやたら少ないのは、その者らによる隠蔽…マーリンはそう考えているようだ。と、そもそも実は実際、リオネス王国の聖騎士長のヘンドリクセンは魔神族と関わりがあり、自身も魔神化した過去があり、キャメロットに潜んでいるというレナを創り出した元凶と、裏で密かに手を組んでいるのではないか、そんな事まで思い始めた。
「確かにそれは有り得そうですね、現に魔神の血を飲ませた新生聖騎士、所謂新世代を作る人体実験のような事までやっていると私も小耳に挟んだ事がありますし、それに彼女は逸話まである程…言ってしまえばとんでもない少女ですからね、そうとなれば目をつけてくる事でしょうね」アーサーまでマーリンと同じくこの彼女を取り巻く大きな事情に聖騎士長らも何らかの形で加担してるのではないか、そう考えた。
「しっかし、魔力まで呪い同様に封印されるとはなー、それ程解放なんかしようもんならまずいってぐらい力だから抑え込めなくなるって事なのか…」メリオダスはそうぼやいた。
一先ずその後、メリオダスとゴウセルらは引き続き、レナに纏わる伝記や書物を手に取ってひたすらに目を向けていく。その最中ゴウセルが、とある一冊の本を読んでいると何やらそれらしき情報を見つけたのだった、それは宝石か何かのようでその説明には魔神族が使用する物と記されていて、ある呪縛を封じ込め、且つ抑える特性があるらしく、もしこの説明書きが言っている呪縛というのが、レナが受けている魔神族の血の呪いだという事なら、この宝石が唯一彼女の苦痛を和らげてくれる制御道具に違いない。
「この石、これが彼女の力を唯一抑え込む事が可能な代物なのだろう…しかし、肝心な入手場所が明記されていない…」ゴウセルは手に抱えている本にある文面を見ながらそうぼやく。「うーん、確かに文面とかを見る限りではこれっぽいな…つってもその道具がある場所が分かったとしても、レナに関わる重要な代物なんだろうし、誰にも触れられないように厳重に保管してある可能性があるな」メリオダスは言うが、その前にまずは具体的に何処にあるのか、それを先に知る必要がある。しかし、かなり彼女にとって最重要な代物である事から厳重に封印か何か簡単には一目に触れないようにしてある可能性が非常に高く、更にそれとは別に危険視すべき事がある。それは聖騎士や魔神族を崇拝しているというあの者達に見つかって、其処で一瞬でも油断の瞬間ができてしまえばレナが狙われて、捕まってしまう、何てことも起きかねない。それと同時にメリオダス達もまだ一応リオネス王国の聖騎士達から追われている事もあり、その二つに挟まれ。しかも、トップの地位の聖騎士長が何らかの魔神族との密接な繋がりがあって、レナを目的にメリオダス達の前に立ちはだかる事になるのは既にもう、目に見えている。
「多分、その石でしか彼女の中に眠る魔神の力を抑え込む事が出来ないって事でしょうし、それにもしこれが本当に制御する力があるのなら、反対に力を解放する…暴走させられる代物があってもおかしくありません」アーサーはそう話した。制御出来る物があるなら、反対に作用する物もあるという事、そうなればこれまで以上にメリオダスらの行く手を阻む者達も更に増すだろう。「聖騎士とかの追っ手が来る前に目ぼしい場所を特定してさっさとずらかった方が良いな、ま!とりあえず向かってみるか」メリオダスはレナに関するある程度の情報は手に入った為に早速次なる行動に移り始める。「じゃ、そんな訳でサンキューな!アーサー」メリオダス達は部屋の外に出て手を振って、そうしてアーサーも手を振り返して、「お気をつけて」の一言。
次なる目的は彼女の力を抑え込む事を可能とされる物を捜索して、それを無事に持ち帰る事。「魔神族……この言葉が深く関わっている彼女についてはあの聖騎士長殿方も黙ってはいられない筈だ、用事ができる限り早く済ませてしまった方が彼女にとっても安心材料に繋がる事だろう 」マーリンはそう言う。そう、それにリオネス王国の聖騎士達からメリオダスらも追われている身である事は既に告げているとは思うが、その二つの集団に挟まれる事になるかもしれない。ここからはこれまでより、更に危険が伴い続ける…彼女もまた狙われている上に、ゴウセルらもその標的の一部になっているのは間違いないだろうから、これをどう打開していこうか。
と、実はもう彼女らの行手を阻む敵の影はもう傍まで迫っていた。
「聖騎士長様からの直々の命令で此処まで出向いて見れば……本当に居たとは」と言ったのはリオネス王国の聖騎士の一人ギーラだ。その後ろに更にジェリコ、ギルサンダー、ハウザーとこれまで七つ大罪を付け狙ってきた宿敵達が勢揃いしまた、彼らの前に立ちはだかろうとしてる。
そうして、その事をまだメリオダスは達は知る良しもなかった…