あれから少し経った頃、インカムに連絡が入った
そう、もうそろそろである
応接室に向かう前に、自室に向かった
タンスを開けて、ここに来てからよく着ていた紫のパーカーを手に取る
首元に付いているもこもこが暖かく、この季節には合っていないように感じた
パーカーを着た理由は、ゾムさんもよく着ていたから
この服は、日常国で買ったものだからゾムさんの前で着たことはない
、、、気づいてくれはるかな
自室を出て、応接室に向かった
インカムからは話し声が聞こえているので、少し耳を傾けていた
kr【では、これで今回の外交は終了ということで】
クロノアさんの言葉が聞こえた
もうそろそろだ
心臓が早鐘を打っている
耳元で鳴っていると錯覚する程に、大きく聞こえる
?【そうだな、ところで何故今回はゾムを護衛に指名したんだ?】
そういえば何も言っていないと言っていたな
そんな事を考えている頭で、 いきなりゾムさんと会うんや!? と驚いている自分もいた
kr【実は、紹介したい人がいまして、きっとゾムさんも気にいると思うんですよ】
普段と変わらない様な声色だけど、少し楽しそうだった
それだけで、俺もワクワクしてきた
?【そうなのか、その人物は今どこに?】
このやり取りが煩わしく感じてきた
今は不安よりも、ワクワクした気持ちの方が大きい
kr【扉の前に待機させてます、トラゾー】
いよいよだ
1年以上経ったから少し変わっているかも
潜入の為にあの服装をしていただけかもしれない
そんな考えが頭を支配した
それも、すぐに打ち砕かれた
目の前の扉が開いた
トラゾーさんはもう表情に完全に出ていて、さっきまで外交をしていたとは思えなかった
少し、頭が冷静になった
トラゾーさんが俺の目の前からどけば、こちらを見ている我々国の2人と目が合った
1人はこちらを探る様な目で
もう1人の方は驚きに満ちた目で
こちらを見ていた
zm「えっ、あ、ショッピ?」
驚いていた彼はようやく整理出来たようで、そう聞いてきた
「はい、そうですよ」
久しぶりの再会にしては冷たいかもしれない返事をした
けれど、彼にはそれでも充分だったようだ
zm「ぐ、グルッペン!言ってたんこいつの事やねん!」
とても興奮した様子でグルッペンと呼ばれた総統らしき人に迫っていた
、、、というか服装違うのに気づいてくれはった
喜びの感情が湧き上がって来て、思わず顔が綻ぶ
それをゾムさんに見られていたようで、こちらを見てギョッとしていた
zm「ショッピ、お前、、、そんな顔出来たんか」
「失礼ですね、ワイも人間なんですから当然でしょ」
そんな冗談めいた事を交わすのさえ、楽しい
久しぶりに会った彼は、何も変わっていなかった
その事に、少し安堵した
俺との日常の全部が嘘なんかじゃなかったって事が
その事実が何より、安心した
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