テラーノベル
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ーーーねぇ、みた!?白尾学園の公式噂話アカウントっ!
ーーーみたみた!旧校舎のやつでしょ
ーーーあれが本当ならやばいよな
ーーーなに、試そうとしてんの?笑
ーーーちがうよ、そもそも立ち入り禁止だしあそこ。
ーーー真面目だねー。ああいうのはこっそりいくのがいいんじゃん
ーーー、、、じゃあ、お前がついてきてくれんの?
ーーーいやまぁ、いいけど。てかそれ、噂知ってて誘ってんの?
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あなたは知っていますか?
学園旧校舎の階段の噂。
雨の日に旧校舎の東玄関から上へと続く階段を順番に数えながらふたりで登ると願いが叶うという話
方法は簡単。
階段を前にして目を閉じ、手を合わせては心の中で願いを唱えます。そこから一段、二段、と声に出しながら上の階に上がるだけ。
でも、絶対に四段目を踏んではいけません
踏んでしまったふたりは運命の糸が引き裂かれ、もう二度と恋人になることはないんだとか
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〈nakamu side〉
ーーーどうしよう、伊藤くんとか誘ってみようかな、、
ーーー行ってきなよ!叶ったら最高じゃん?
ーーーごめん先に俺が誘ったから、誘わないでくんない?
ーーーなんで青井くんが誘うのよ笑
ーーーでもそう言うことだから
我ながらとても幼稚な噂話になってしまったことを後悔している。
でも仕方ないだろ?噂の原型はあまり変えずに人間に害が出ないようなものにしろなんて言われても、かつすぐに広まりやすいような内容だなんて。恋バナくらいしかないだろ。
nk 「はぁ、これで良かったのかな」
kr 「ありがとう」
nk 「俺は噂を流しただけだけどね」
kr 「でもなかむが積極的に考えてくれたんでしょ?助かったよ 」
nk 「まぁ?別にもっと褒めてくれてもいいけどね?」
kr 「よしよし」
nk 「、、ちょっと違うんだよ」
ガラガラッ
ーーーなかむいるー?
nk 「あ、しゃけだ」
kr 「お、じゃあ俺教室戻るわ」
nk 「うーい」
皆が噂に耳目している教室を横切っては、ドアの前で待つ彼のもとへ向かう。
朝ごはん買いにいかね?と誘う彼とも、もう何年の付き合いになるのだろう。物心がつく前の小さな頃から一緒にいて、こうして隣にいるのが当たり前のようになっていた。
地下にある購買で軽食を買うと一階にあがって玄関を横目に通り過ぎた突き当たりの空き教室に向かう。
ここが俺たちふたりだけの朝食の場所。
外の看板には放送部倉庫と書かれているが、実際は長机がひとつに古い黒板と、向かい側にある古い棚な中には埃臭い本がたくさん詰まっている忘れ去られた小さな教室だ。
俺は本を読んで、その間にしゃけは朝ごはんを食べる。些細な会話をしながら時々無言になったり、その時間は案外好きだった
sh 「学校全体、噂話が絶えないな」
nk 「やっぱりもう少し面白みのあるやつにすれば良かったよなぁ」
sh 「そう?あれも悪くないと思うけど」
nk 「なんか幼稚すぎたかなって思ったんだけど」
sh 「いや、いいと思うけどね?」
nk 「えなに。やけに肯定的じゃない?
あ、それともあれか?行きたいんだ旧校舎」
sh 「、、、。」
あ、図星だなこれ。ふーん、しゃけに好きな人ねぇ。別にいてもおかしくないんだろうけど、俺に言わないのは、、、なんか違うだろ
sh 「、、、、って」
nk 「え?なにごめん聞こえなかった」
sh 「なかむと行こうと思って、」
、、?
????
nk 「は?俺たちが作った噂だよ?」
sh 「、、、本当になってるかもじゃん」
出た。しゃけのたまに出る謎理論
そんなことよりも、なんでこんなに耳と頬を赤く染めながら言ってんの?
ふざけてるんじゃなくて?
俺と行きたいって。噂話の内容を理解しているくせして一体、どういう風の吹き回しだ?
nk 「ねぇ、それってそういう意味なの?」
直接的な言い方はしなかった。
きっとあの発言をしたのにも彼なりの理由があったからだと思うし、それを俺から掘り下げるのはなんだか違う気がして様子を見ることにしたんだ。
おにぎりを頬張りながら俺の声を聞くと恥ずかしそうに顔を隠しては、椅子に縮こまっている
それでも、染まった耳は隠せていないままで言葉を発さなくても彼がなにを考えているのかを読み取るのは瞬きをする間もなくできた
nk 「シャークん?」
答えは分かりきっているのに、馬鹿なふりをした。
sh 「噂が本当に広まってるのか確かめるために。だよ 」
どうやら彼は、まだ俺と答え合わせをする気はないみたいだった。
なにをそんなに躊躇うのか、ただの照れ隠しなのかそれとも彼にとって俺にまだ足りない部分があるのか、そんなこと考えるけれど俺の悩みの種になることはなかった。
nk 「なーんだ、俺の勘違いか笑」
空気を和ますように自然と口から出る言葉。
それはどれだけ彼を安心させて、落胆させて、少しの後悔を交えさせるのか、、、
あぁ、俺は性格が悪いみたい。
彼が本音をぶつけにくるまでは気づかないふりをした。
教室へ戻る彼の背中を追いかけて思う。
もしもこれから、彼が俺に気持ちを伝える場面が出てきたら一体どうしよう
顔を赤く火照らしながら緑色の瞳がきらりと光を捕らえて、汗の滲んだ温かな手で俺を逃さないようにと繋ぎ止めるのだろう
そして震える口から想いを絞り出すのだろう
でも俺にもそうしたい相手がいるから
友達であるが故に切ることのできないこの糸は一体どこまで続くのか、いつまで腐らせてしまうのか
sh 「なにしてんの?早く教室戻るよ」
nk 「あぁごめん」
nk 「放課後、旧校舎の様子見に行こっか」
sh 「ん」
嗚呼、俺はなんて狡いやつなんだ
コメント
2件
投稿が不定期になってしまい申し訳ないです💦できるだけ毎日投稿しようと思っているのでよろしくお願いします!