プラネタリウムってすごいと思う。
前に、『いつから生まれたか』『用途は何か』調べたことがある。
生まれの地は外国で。
天球儀を内面から見たかったらしい。
「プラネタリウムって別名、惑星儀なんだって」
そう瞳をプラネタリウムで映し出された星と同じくらい輝かせている畑葉さんに言う。
「惑星儀って地球儀とかの?」
「うん」
「へ〜…すごいね……」
多分、今の畑葉さんは何を話しても適当にしか返してくれないだろう。
だっていつも僕が話している時は僕の目を見てくれるのに、今は架空の星空に釘付けだったから。
「めっちゃ良かったね〜…!!」
後味を味わっているかのようにプラネタリウムを思い出して話す畑葉さん。
気に入ってくれたなら嬉しい。
「そういえば、今はどこに向かってるの?」
「イルカショーの方だよ」
「でもイルカだけじゃなくてペンギンショーとかの合同っぽい」
「ふ〜ん…」
そう興味無さげな返事を返してくるが、
僕には分かる。
心の中では超楽しみにしていることが。
「あ、古佐くん、私トイレしてくるから待ってて」
そう言ってトイレに行ってしまった。
そんな時ふと、目の端にお土産屋さんが目に入る。
『アザラシのぬいぐるみ』や『ペンギンのキーホルダー』色んなものが売っていた。
「クリスマスプレゼントに丁度いいの無いかな…」
そう独り言を漏らしながら店内を見て回る。
と、
「プレゼント用の品をお探しですか?」
仮面のようなニコニコ顔の店員さんが寄ってきた。
「まぁ、はい…」
「お友達用ですか?それとも彼女さんとかにですか?」
「一応友達で…」
「それじゃあ…こちらはどうでしょうか?」
そう言いながら見せてきたのはアザラシの大きなクッション。
しかも値段はすごく高い。
「いや、あの…」
「遠慮しとき────」
「こっちの方がいいんじゃないですか?」
急にニコニコ仮面の店員さんの後ろから他の店員さんが顔を出す。
それに先程の店員さんも気がついたのか、
なんだかその人に向かって暴言を吐いていた。
しかもかなり理不尽な。
「私はこっちの方がいいと思います!」
そう言って若い店員さんが店内奥の戸棚からある商品を持ってくる。
「これ、知ってます?」
「『水時計』って言うんですよ!!」
『水時計』砂時計の水バージョンである。
しかも不思議なことにその水の色は桃色だった。
中の装飾には桜の花弁のような回転する装飾がついている。
「なんとですね!!これすごいことに磁石でくっ付くようになってるんですよ!」
そう言って見せてきたのは砂時計。
しかも2つは磁石でくっ付くのだという。
そして砂時計に入っている砂はただの砂では無く、星の砂だった。
中には桜貝までもが入っている。
畑葉さん、好きそう…
「しかもこれ2つで570円。安いでしょ?」
それよりなんかこの人、
畑葉さんみたいな雰囲気…
ふと、そんなことを思う。
畑葉さんが大人になったらこんな感じなのかなぁ…
だとしたら雰囲気とか諸々、
変わらな過ぎて面白い。
「じゃあ、それにします」
「かしこまりました!!ではレジにてお会計お願いします!!」
ぱあっと明るくなる若い店員さん。
気持ちが丸見えだ。
そんなところまで似ているとは…
「ラッピングしますか?」
ラッピング…
「…お願いしていいですか?」
「もちろんです!!」
ラッピングしたらバレてしまいそう。
そう一瞬思ったが、
『贈り物』というものは外見も大事かもしれない。
そう思ってラッピングもしてもらうことにした。
初めてお店でラッピングをしてもらった。
畑葉さん、喜んでくれると嬉しいな…
「古〜佐〜くん!」
急に後ろから声を掛けられ驚きながら振り返る。
「待っててって言ったのになんで私が古佐くんを待つ羽目になってるの?」
そこには少し怒り気味の畑葉さんが居た。
「ごめん、ちょっと家族へのお土産買ってて…」
「…あっそ」
「それより早くイルカショーのとこ行こ」
そう言いながらスタスタと順路に従ってイルカショーの場所へ向かってしまった。
しかも1人で。なぜか機嫌が悪い畑葉さん。
「ね、なんかあった?」
そう聞くも、無視されてしまう。
本当にどうしたんだろう…
2人してベンチに座りながらイルカショーを見ている。
が、先程のプラネタリウムの時の雰囲気とは一変して、互いに何一つ会話をしていなかった。
そんな時、
「さっきの女の人、誰?」
と聞かれる。
「え?」
女の人?
「しらばっくれないでよ!!」
「ちょ、声大きい…」
「あ、もしかしてお土産屋さんの店員のこと?」
「え?」
「違う?」
「…店員さん、?」
そう呟き声を漏らした後、
畑葉さんは何やらぶつぶつと声を漏らしながら俯いた。
「大丈夫?」
そう声をかけると
「…ごめん、勘違いだった」
と服の裾を引っ張りながら言われる。
可愛い…
「大丈夫だよ」
「大きい声出してごめん…」
「うん」
「…嫌いにならないで」
急にそんなことを震え声で言われる。
不安にでもなってしまったのだろうか。
「嫌いになんかならないよ」
そう返すと小さく『良かった』と声が聞こえたような気がした。
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