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榎本くもり
7,005
リタ🧸💙
9
第一章 滅争試行編 第2話「先無し予知夢の呪い」
「臨時ニュースをお伝えします」
ライトの家のテレビが、いつの間にか直っていた。
そして今、臨時ニュースが報道されている。
「現在、天界各地で堺守が崩れました。それにより、一部の国で戦争が起きているという事態になっている模様です。えー、その国というのが……」
その報道を俺は懸命に見ていた。
「アースガルズと龍神国です」
肩がピクリと跳ねた。龍神国。その言葉から察する、外れてほしい、ある予感が当たるということを。
恐る恐るニュースの続きを見る。
戦場からの中継が映し出された。黄金色に輝く大きな宮殿。その上には、七色の虹がかかっている。虹を背後に、女性が立っていた。
「リポーターのイリスです。現場からの状況をお伝えします」
カメラがぐるりと反対側に回転した。
そこには、獄炎に燃える戦場を風のような軽さで立ち回る赤龍と、数えきれないほどのアースガルズの大軍が激しい攻撃を打ち合う、地獄のような戦場があった。
「現在の状況です。戦場が一面、焼けていますね。高い文明力と戦闘能力を持つアースガルズの皆様が、赤龍様に集中攻撃をしています」
剣や槍などを使う近距離戦に特化した戦士が赤龍の首を狙い、後方からは弓矢や大砲などの遠距離攻撃に特化した部隊が頭を狙う。さらには戦闘機による空襲も加わり、大軍は死に物狂いで総攻撃を仕掛ける。
パン、パァン!!
銃声が鳴るたびに、テレビは音割れを起こすほどの音量だった。
「耳がキーンとする……」
耳を塞がなければ、俺の鼓膜が破れてしまいそうだ。
イリスが実況を続けた。
「なんという凄まじい攻撃。ですが――」
数秒後、煙が晴れ、戦場の様子がはっきりと見えてきた。
「!」
イリスも、テレビの外にいる俺も、一拍、呼吸を止めていた。
映っていたのは、急所に大攻勢を浴びたはずの赤龍が、無傷でいた姿……までは、なんとなく予想していた。だが、衝撃的なのはここからだ。
近距離戦を行った戦士たちが、血を流して倒れていた。赤龍が直接手をかけた様子はない。さらに、赤龍へ撃った弾丸や矢、戦闘機からの攻撃などの飛び道具が跳ね返っていた。遠距離部隊までもが、次々となぎ倒されていく。
「なんということでしょうか。軽く見積もっても半分以上の戦士が……これは?」
俺も黙って見ていたが、全く分からなかった。それでも今は見続けるしかない。黒い靄が知らぬ間に、俺の頭の上で膨張を続けている。気づかないまま、時間は過ぎていく――。
同じ頃、生き残った戦士たちが立ち上がる姿が映っていた。武器を手に、バカみたいに向かっていく。
醜くて愚か。かっこいいとは思うはずがないだろ。
「……」
倒されてもお構いなし。残された戦士がいる限り、無駄だとしても赤龍の命を奪おうとする螺旋は続く。
戦場は炎と血。それだけだった。
「……いつまで続くのかな……」
イリスの呟きを、しっかり耳に入れた。
「同感だよ……」
カメラがゆっくりと引かれていく。
「すみません。現場からの中継は以上です……」
その瞬間、遠ざかっていくカメラの端に、二つの巨大な影が映った。
緑龍。そして……青龍。
ライトちゃんと仲のよかった存在、青龍。
俺は両手を合わせた。
「青龍……お前、やっぱりそこだったんだ」
自分の情緒が分からなくなっていた。寂しい。誰かが憎い。どこか安心している自分もいる気がする。強いて言うなら、切なさに近いような。
分かっていたんだ。勘はしていたんだ。それなのに、感じたことのない感情がこみ上げてきた。
俺はもう一度、画面を見た。
「――え?」
ふと、気づいてしまったことがある。
青龍が一番、積極的に攻撃をしていたこと。
手に持っている金色の宝球が光り、そこから水深六百メートルほどの大波を生み出している。大波は強大で、戦士たちはもちろん、流され、押し潰されていく。戦場を先ほどまで支配していた炎のおよそ三分の二を藻屑に変える兵器と化していた。
不気味なことに、青龍の表情が少し笑っているように見えた。
見間違いだと思いたい。否定したい。
あいつが戦争を楽しむような奴だと、認めたくなかったから。
中継はそこで消えた。
「はい、この後十四時からは、天界の果てで、我が天の王であるゼウス様の緊急中継がございます」
アナウンサーの声なんか、耳に入ってくるはずがなかった。テレビを蹴り飛ばしたい気分だ。
「青龍、出会った時からお前のこと、『変神』だとは思っていたよ。すぐに変なことを言ってたし、ゲス顔だってしていた」
意味もないのに、口ずさんでしまう。
「でも、根は本当に優しい奴だってことは、ライトちゃんならとっくに知っていると思う。俺には付き合いが浅いから、分からないけどさ。お前がライトちゃんの一番近くにいた気がしてるから、だから……」
腹の奥で、何かが切れたような気がした。
「だから戦争に、積極的に加担すんなよ!
ライトの、ずっと平和に過ごしたいという願いを叶えろよ!
今お前がやっていることは、それを踏みにじるどころじゃ済まされねぇぞ!」
正直、戦場にいることは百歩譲って許せたかもしれない。俺が今、一番嫌なことは、争いに積極的な気持ちを持つことだけだと思う。
言いたいことは山ほどあるけど、これで最後に。
息を大きく吸って、吐いた。
「何があっても愛は捨てるな!」
魂の……それも子供のような叫びが、部屋の空気をかすかに振動させた。
「ヒッ!」
部屋の隅っこでしゃがみ込んでいたライトが、思わず声を漏らす。
「あ、ライト、すまん……」
「……戦争嫌だ」
思った通り、返事はない。小声で「戦争嫌だ」と嘆いている以外は、何も言わない。
当然のことだ。まだ未熟な心では、成熟した心であっても決して理解できないこの理不尽な争いを、ライトが受け止められるはずもない。
「おにぎり置いておくから、食べられるときに食べてね」
必要以上に干渉することはご法度。俺はしばらく、距離を取ることにした。
背中に背負っていた少し大きめの袋を下ろし、巾着を開けた。俺がおにぎりを作るときの米は、いつもここから出しているよ。
「覚えておいてね」って、誰に話しかけているのか?
俺にも分かんねぇよ!
後ろをチラリと見る。本当はライトと……。
寂寥感を片隅に、米を取り出す。そして握り始める。
(言葉は伝わらなくても、俺の想いは形を変えて、きっと伝わってくれるよね?)
胸が少しだけ温かい。
四個握った。皿に三つのおにぎりを乗せて、ライトちゃんの側に置いた。
数分では状況は変わらない。俺はテレビの前で、ライトは隅で、それぞれおにぎりを食べた。
外から爆発音が響き、不穏な臭いが漂ってくる。こんな状況で寝られるはずがなかった。
だが、徹夜の反動のせいで、食後、俺の意識は途切れてしまった。
次に目を覚ましたとき、そこには神生史上……魂が生成されてからダントツで最悪の出来事が待ち受けていた。
空襲が天使村に降り注ぎ、俺の周囲に見えるもの全てが燃えている。
体が熱い! 痛い!
爆発の中心からは少し離れていた。だから俺は、なんとか命だけは助かりそうだった。
だが、ライトの息は虫の息だった。足の指先から頭までが、黒く焦がれている。口先から「ガァ……ガァ……」という絶命の呼吸音が、俺の耳へ入り込む。
「あ……つい……」
息の中に溶けてしまいそうなぐらいの弱々しい言葉が混じった。
俺は、自分の口を覆っていた手を外して駆け寄る。
「生きろ! 生きているだけでいいから」
握った腕の脈が、弱まっていく。
ライトが一度、顔にぎゅっと力を入れた。その数秒後……
「か……かご……ちょうだい……」
最愛の人の生死の狭間で、切迫感に押し潰されそうになっていた。
(どうすればいい……)
頭の中が、思わず真っ白に。川の流れが岩にせき止められたかのような感覚だった。
「か……ご……」
声が聞こえた瞬間、ようやく意識が現実へ引き戻された。
「かご……そうか、俺の加護なら」
ライトの脈は先ほどより弱い。けど、まだ生きていること。その事実は変わっていない。
普通なら誰しもが匙を投げる大怪我……俺にしか救えない。
目を瞑る。
すうぅぅぅ……
「霊氣、癒したまへ」
俺の手がじんわりと温まる。しわり、じわり。そして熱さまで感じるようになると、今度は次第に、手が痺れてくるはずだった。
だが…………何も感じなかった。
「なぜ……?」
一度も失敗したことなんてなかった。正確には、失敗のしようがないはずだ。
霊氣とは、宇宙に無数に流れている治癒エネルギー。
俺のような、一度でも回路を開いたことのある魂には常に流れている。
ゆえに、息を吐くよりも簡単に扱えるエネルギーである。
ピカッ! ゴロゴロ……
俺の背中側の外で、雷が落ちたと思う。後ろは振り向けない。今はただ、霊氣を呼ぶことしかできない。
「霊氣! いつもみたく救ってくれよ」
ライトの脈は、もう限界が近い。
「いや! 諦めな……」
ゆっくりと口が開く。
「もう……いいよ」
もう、ほとんど音はなかった。
「よくねぇって! お前がいなくなったら……」
「寂……しい……?」
「……寂しいで、済むわけないだろ! 運命に逆ら……」
「ありがとう……」
ライトの目から、大粒の涙が流れ始めた。
「いやだよ! 我慢してたけど……まだ死にたくないよ!」
最後の叫びだった。そして、脈は止まった。
「……」
「…………」
あげくの果てに、ライトは息を引き取った。額に、床に、透明の池(なみだ)を残して。
一方で、俺の目下に涙はなかった。透明な涙も、赤い涙もない。
同時に、俺の胸にある心臓も止まった。ライトと出会ったときに誕生した、感情という名の心臓が。
「……」
俺はゆっくりと歩き出した。冷たい、いや……温度すらもない心身で、目的地もないまま。
すると、突然景色がぼやけ始め、再び意識を失った。
「ハァ……ハァ……」
瞼が開くと、すぐに違和感を覚えた。
「あれ……?」
焼け焦がれていた壁ではなく、空襲前の壁だった。もしや、もしやと思い、あたりを見渡す。
一ミリたりとも焼けたところはなく、ましてや焦げた臭いも、この家からはしなかった。
「……確認しよう」
椅子を引き、後ろを振り向いた。
(俺の予想が正しければ……)
後ろを向いた先には――しゃがみ込んでいたライトちゃんの姿があった。
「ライト! あ……やべ」
思わず声が出た。でも、これで分かった。さっきの空襲は夢で、食後、徹夜の反動で寝ていたのだ。
俺は無意識に胸に手を当てた。しっかりと温かみのある心臓があった。
「ハァ……」
一息ついた。外は荒れているが、今はとりあえず落ち着くことを許してくれ。
テーブルには、自分のよだれと食べカスがかすかに残っていた。
「……ま、まあ確信は持てた……かな?」
こっちが現実ということが。
ゴミを始末した帰りに、ライトの元へ行った。
「ライト……?」
「ス……ス……」
「……たく、外は爆発音が途絶えないっていうのに……本当に、本当に……なんだろう?」
呆れているのか、安心しているのか。それとも、別の何かなのか。
……よく分からない。
ただ、ライトの寝息を聞いていると、さっきまで胸の奥に引っかかっていた何かが、少しだけ軽くなった気がした。
椅子に戻る。
「さてと……」
俺は見た夢を思い出す。
まず、普通の夢とは明らかに違うところがある。
それは、夢が鮮明すぎるということだ。
現実世界だと絶対に思い込んでしまうような視覚の良さ。でも、これは一部の夢でよくあることだ。
でも、先ほどの夢は視覚以外にも変なところがあった。
焦げ臭さを感じた嗅覚、夢の中でも動けるという自由度。
そして何よりの決定打は、現実世界でも起こりうる可能性のある「空襲」と、俺にとって「最悪の未来」であることだった。
「なぜ、こんなにもリアリティーあふれる夢なんだろうか?」
夢には種類がある。
「普通の夢、明晰夢、幽体離脱だって夢のうちだろ? 警告夢……!」
リアリティーに満ちた夢、そして過去ではなく未来……これはきっと「予知夢」に違いない。
しかし、ここである疑問が生まれた。
今戦っているのは龍神国とアースガルズとかいう、どこかは分からないが、おそらく遠い国のはず。
それなのに、爆発音や銃声がこんなに近い。
「そういえば、拾った召集令状には……」
もう一度、召集令状を開いた。
「中級天使ラゼル様……」
顎を掻く。非常に不自然だ。
天使まで戦争に行かなければならない理由とは? これが不自然に思ったことだ。
少し、呆然とした。
「巻き込まれているのか? 戦争に天使村が」
あり得る話だ。見た感じ、天使村と龍神国は隣同士。親しい関係だとしたら、援護に行かないといけないこともあるのかもしれない。
俺はあくまでも推測することしかできない。
確かなことは、天使村が戦争に関係し始めているということ。召集令状が、その証拠だと思った。
「やるしかないか、旅の決断を……」
床に置いてある鞘を手に取り、刀を抜いた。
しばらくして、ライトが目を覚ました。まだ少し眠たそうに目を擦りながら、こちらへ歩いてきた。
「名無し君……何してるの?」
突然話しかけてきたライトに、普通に驚いた俺がいた。どこか久々だなと思う。
「これか、刀のお手入れをしているよ」
急なライトからの質問で、少し噛んだ。
「それは見れば分かるんだけど。なんでしているの? 突然」
手元の拭い紙が減速し、不意にライトから目を逸らしてしまった。
「うっ……」
沈黙を重ねる。あんなことを今のライトに言ったら……そんなことを考えていると、ライトが猜疑心に満ちた目で軽く睨んできた。
「うっ、じゃなくて何でって……やましいことでもあるの?」
思ったよりも、ライトの勘は鋭かった。俺だって本当は答えてやりたい。でも、ライトの心を守るために、なるべく秘密にしておきたい。
秘密のまま、隙をついて出る。そうすればライトは……。
「でも結局、傷……」
声に漏れてしまっていた。
「なんて?」
睨みが一段と深くなる。
(俺が嘘で貫き通せても、ライトは結局傷つく。どっちに行ってもライトの心は守れない……)
どうせ無駄なら、自分の心が浮ける方を選ぶ。
開き直ろう。俺は深呼吸をし、気持ちを整えて、そして口を開く。
「俺は、戦争に行くよ」
自分の低く重い声が、時の停止した空間を作った。
沈黙を通り越した、外の音も弾かれるような、音のない空気はなんとも気まずいものだった。
「ほ、ほんとに……?」
「……理由がある」
「聞いてもいい?」
「ああ」
俺はこれまであったことを全部話した。龍神国とアースガルズが戦争していること、戦場に青龍がいて、積極的に攻撃していたこと、天使村も巻き込まれている可能性が大いに高いこと、そしてライトが空襲で命を落とす夢を見たことを……。
「……というわけです」
話し終えたあと、ライトは下を向いていた。
「そんなことがあったんだね……」
声も身体も、震えていた。
「一つだけ教えてほしい……」
ライトは続ける。
「私の夢って、ただの夢じゃないんだよね?」
戸惑いそうになった。でも、一度開き直った以上、戸惑う必要はないはず。
「あれは、おそらく予知夢……つまり未来の断片というものだ」
さすがにストレートに言いすぎたと反省する。ライトが傷つくことは変わらなくても、オブラートに包んで伝えたら、痛みを軽くできたはずなのに。
「私が死んじゃう夢は、名無し君が見た未来ってこと……いや、だよ……」
ライトの目に涙があふれる。
その時だった。
バアン!
俺は台パンして立ち上がった。
「名無し君……?」
俺は目をカッと開いた。
「だからこそだ……!」
「え?」
「だからこそ、俺は戦場に立つ。そしてこの戦争をぶっ壊すんだよ!」
俺は決めたんだ。ライトとの未来のためなら「死の運命」も「全世界を取り巻く戦争」も、全て滅ぼし、斬り捨てる、と。
ライトの涙が思わず引っ込み、苦笑いをした。
「そんなことって、できるわけ……」
「創りたいんだ、華ある物語(じんせい)を」
いつも吹っ飛んだ発言ばかりしているけど、俺にも切実な「夢」があるんだ。それはきっと誰にも奪えないはずだ。自己の夢は、絶対的権力者でも消せられないと俺は思っている。
「そっか……」
「だから、ライト……」
俺はライトの腹あたりに手をかざす。
「長い間、俺がいなくても頑張れよ」
「うん……」
ライトが顔を上げ、共に決意した。
「魂の鉄壁結界」
俺の掌に、麻痺させるような強い感覚が走る。
「最愛の者をお守りくだされ」
心から願った時、掌から熱が放出される感覚があった。熱くない、冷たくない、人肌ほどだ。
エネルギーがライトの体内よりもさらに深い、魂へと吸い込まれていく。
「お腹がポカポカしてきた」
そう言って、お腹を押さえた。
「俺の使える加護の一つ、『鉄壁結界の鎧』は、生命力を上げるんだ」
何のことか、さっぱり分からないまま、ライトは首を傾げて棒立ちしていた。
俺は両鞘を腰に差すと、巾着をテーブルに置いた。
「白米、受け取ってよ。もちろん、これも……ふふ、ライトちゃんなら察せるな?」
小悪魔っぽく聞いてやった。
「いや、分かんないよ。それに名無し君は食べ物あるの?」
「無いよ」
あえて笑顔で返した。
「俺は神だから飲まず食わずでも大丈夫」
戦争中は食料が少ない。だからライトが飢えないように渡した。一か月分はある。
そして俺は、ドアの前に立つ。
「加護はやった。渡すもんも渡した。もう心残りはないよ……」
足を動かした。その刹那、ライトの声が足を止めた。
「名無し君、約束して」
ライトは俺の鞘の方を見た。
「戦いになっても殺しはしないで。手を汚してほしくないの……」
つい、笑ってしまいそうになった。答えは単に「面白いから」でも、これは真剣な話だ。
「……はは、このタイミングか。もちろん、戦争に加担するわけじゃないからね」
ライトは何も言わず、うなずいて返答した。
返答を見て、再び足を動かした。廊下は瞬く間に過ぎ去っていく。寂しさという感情を、俺の心に遺して。
玄関のドアの前に立った瞬間、足が重くなった。いくら引っ張っても動けず、そこに留まってしまった。
(一度、引き返すか……)
心ならずも振り向こうとした時、突風が刺した。
「前だけを向いて!
私、一人でも頑張る。絶対生きて、絶対また会うから」
言葉の突風が、扉をバッと開けた。
「!」
足の重みを、無理やり蹴り飛ばすように、俺は外に駆け出した。
振り返らない。足を止めない。息継ぎなんてとんでもない。爆音の中、足を轟かせ、戦場へ向かう。
「……方法は分からないが、やるしかない。「滅争(めっそう)」を目指して」
ライトは、名もなき神が見えなくなってもしばらく外を眺めていた。
その頃、何者か……。
「ヴィ…………」
第一章 滅争試行編 「暴乱の外来神」に続く
コメント
3件
めっちゃ重い回だった……。予知夢でライトの死を見るシーン、実際に脈が止まるまで描かれてるのが本当に辛かった。でもそれが夢でよかった……って一安心したけど、名無しが「だからこそ戦争をぶっ壊す」って決意するところ、熱すぎて鳥肌立ったわ。加護をライトに残して、食料全部置いて自分は飲まず食わずで行くとか、優しさに泣く。 青龍が戦争楽しんでるように見えたあのシーン、めっちゃ引っかかってる。次が気になるー!