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#長編
結愛
329
#地雷系
#夏休み
トド村
44
仕方がないので、俺のTシャツとジャージの下を貸す。
ミィに着させるとオーバーサイズで襟元から片方の肩が出てしまう。しかし胸だけはパツパツに張っており、その手の服装が好きな人が見たら大興奮だろう。
ボトムスのジャージも腹回りはブカブカだが、お尻と太ももはちょうど良い大きさのようだ。ミィはジャージの腰紐を絞ってから結び、ズリ落ちないように調整をしてバスタオルで頭を拭きながら出てきた。
「ミィちゃん、朝には出て行くって話だったよな?」
「うん。」
「あの洗濯物、朝までには乾かないと思うんだけれど……どうするつもり?」
「乾かないんじゃあ仕方がないでしょ?」
ミィはスキンケア用品を取り出しながら、何かを期待するようにニンマリとした表情を浮かべこちらを見る。「こいつ……生乾きの洗濯物を無理やり着させて叩き出してやろうか……。」とも考えたが、もう、こうなってしまった以上仕方がない……。
俺はため息を吐いてミィに言う。
「洗濯物がある程度乾いたら出て行けよ。その代わり、それ以上の滞在は無しだからな。」
ミィは俺の手を取って喜ぶ。
「分かった。絶対に洗濯物が乾いたら出ていくから。でも、それまでは泊まらせてよね。」
本当にこいつは分かっているのか……? と半信半疑になりながらミィの手を解いた。
◆◆◆◆
歯を磨きながらミィのことを見ているとミィは風呂上がりのスキンケアをしているようだ。どうやらミィの使っているスキンケア用品はオールインワンタイプで、スキンケアクリームを指先にとり、肌に乗せた後、丁寧に顔に塗りこんでいく。そういえば元カノはプチプラ(※)のスキンケア用品を使用していたが、ミィが使っているものは高級そうに見える。
※プチプライス略:手頃な価格で購入できる用品のことを指す。
やはりコンカフェ嬢だけあって、美容関係には力を入れているのだろうと感心をしているとミィは歯磨き中の俺を見る。
「ユウト君は寝る前のスキンケアしないの?」
「俺は男だし、そういうのには無頓着だからなぁ……。」
「駄目よ。今の時代、男性だってスキンケアぐらいするのが当然なんだから。年を取った時にこういう所で差がつくんだよ。歯を磨き終わったらこっちに来て。」
「いいよ俺は……。それに、そのスキンケア高級なやつだろ?」
口をゆぎ、タオルで口元を拭きながら断る。今、彼女が欲しいわけでもないし、ましてやモテたいなんて微塵も思っていない――いや微塵も思っていないは嘘だ……。しかしモテモテ路線はすでに諦めている。
「いいから来て。これはプチプラだからたっぷり使っても大丈夫だよ。」
そう言って、メタリックブルーの容器からスキンケアクリームを指ですくう。
「見た感じ、めっちゃ高そうに見えるけれど……。もしかして何かまた要求でも……?」
「私がそんなにがめつい人間に見えるわけ? 最近のスキンケアは、見た目だけじゃ高いのか安いのかわからないのよ。早く目を瞑って上を向いて。」
いや、ついさっき「あ~ん」一回で100万円を請求してきたじゃねえか……。そんな事を考えながらも、ミィは既に指先にクリームを出してしまっているため、仕方なく言われた通りに目を瞑って上を向く。
ミィは俺の頬、おでこ、顎、鼻と順番にクリームを置いていき、掌で顔中に丁寧に伸ばし始めた。クリームは思ったよりもべたつきが無い。ミィは俺の顔中に十分にクリームを伸ばすと、今度は掌を俺の頬に当てた。ミィの掌が俺の頬に張り付くくらいクリームが浸み込んだら、今度はおでこと顎に掌を当てた。こうして、ミィは俺の顔中にスキンケアクリームを浸み込ませていった。
「もう目を開いて良いわよ。」
言われた通り目を開くと、嬉しそうにニコニコと笑うミィの顔が目の前いっぱいに広がった。風呂上がりのためか、少し火照った頬、瑞々しい唇、少し眠そうに潤んだ瞳……ミィは俺の両頬に手を当てたまま唇を開く。
「どう? 気持ち良くない?」
俺はミィの顔を直視出来ず、目線を外して答えた。
「まあ、そこそこかな。」
正直、気持ちは良い……と思う……。なんだかドキドキとして良く分からない。こいつは勝手に人の免許証を撮影して、押し掛けてくるような女なのだ……。なのに……俺自身のチョロさに嫌気がさす。
「1,000円ちょっとで、これよりも良いスキンケアクリームなんてないんだから。でも、これで私と同じお肌になっちゃうね。」
ミィは嬉しそうににっこりと笑った。
◆◆◆◆
寝る準備を全て終えて、俺がソファーの上で横になり毛布を掛ける。突然押し掛けてきたとは言え、女性をソファーに寝かせるわけにもいかないだろう。
「寝る準備が終わったら電気消せよ。あと、今日はベッド使っていいから。」
「うん。」
ミィは元気良く返事をして部屋の中が暗くなる。ようやく眠ることが出来る……今日は何だか疲れた……。そう思っていると、ミィの声が聞こえた。
「ねえ。」
「何?」
「こっちに来て……。」
「もう寝ました。」
「良いから、こっちに来て。」
暗い中、面倒くせえと思いながらも目を凝らしてベッドへと近づいていくとミィは俺の方を向いて横向きになり、毛布と掛け布団を腕で上げて、人一人がちょうど入られるスペースを空けていた。
「一緒に寝よ♡」
コメント
3件
毎日読んでるよ〜!今回も最高だった😭💕 ユウト君のツンデレっぷりとミィちゃんの押せ押せ感のバランスが天才すぎる!! スキンケアしてもらうシーン、めっちゃエモかった…照れるユウト君にこっちまでドキドキしちゃったよ👀💗 「一緒に寝よ」の破壊力やばすぎて叫んだわ!!続きが気になりすぎる…次回も楽しみにしてるね🌸