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유리
16
坂田銀にゃん
15
それではスタートーー!
雨上がりの朝。
東京の街を優しい朝日が照らしている。
桜の季節は過ぎ、若葉が風に揺れる五月。
帝丹高校の校門には、生徒たちの笑い声が響いていた。
「おはよう!」
「昨日の数学やばかったよな!」
「写真展まであと一週間だね!」
賑やかな朝の空気の中、一人だけゆっくりと歩く少女がいた。
肩まで伸びた黒髪。
青みがかった瞳。
制服の胸には、小さなカメラ型のキーホルダーが揺れている。
白石美月。
帝丹高校二年生。
写真部に所属する、ごく普通の女子高校生──そう見える少女だった。
⸻
美月は立ち止まり、校門脇に咲く白い花へカメラを向けた。
カシャ。
「……やっぱり朝の光が一番きれい。」
写真を確認し、小さく微笑む。
その様子を見ていたクラスメイトの佐藤奈々が駆け寄ってきた。
「美月、おはよう!」
「おはよう、奈々ちゃん。」
「また写真撮ってたの?」
「うん。この花、昨日より少しだけ開いてたから。」
奈々は笑った。
「そういうところ、本当に美月らしいよね。」
美月は少し照れくさそうに笑う。
「同じ景色でも、毎日少しずつ違うから。」
⸻
写真部
放課後。
帝丹高校写真部の部室では、来週の写真展に向けて準備が進んでいた。
壁には色とりどりの風景写真や人物写真が並ぶ。
「今年は来場者も多いらしいぞ。」
顧問の先生が言う。
「白石、美月の作品はもう決まったか?」
「はい。」
美月は一枚の写真を机へ置いた。
夕焼けの河川敷。
遊ぶ子どもたち。
その後ろにはオレンジ色に染まる空。
先生は目を細める。
「……相変わらず、人の表情を撮るのがうまいな。」
「ありがとうございます。」
「風景じゃなくて、人を撮る理由は?」
美月は少しだけ考えた。
「同じ笑顔は、二度と撮れないからです。」
部室が静まり返る。
先生は優しく笑った。
「なるほど。」
⸻
一方その頃──
毛利探偵事務所。
「蘭姉ちゃん!今日のお昼何?」
「カレーだよ。」
「やったー!」
コナンは嬉しそうに笑う。
毛利小五郎は新聞を読みながらため息をついた。
「最近、大きな事件もねぇな。」
そのとき、テレビからニュースが流れる。
『来週、米花市立美術館で高校生による写真展が開催されます。』
蘭が画面を見る。
「あっ、帝丹高校も参加するんだ。」
コナンも何気なく画面を見る。
そこには写真部代表としてインタビューを受ける美月の姿が映っていた。
「写真は……人の記憶を残せる宝物だと思っています。」
コナンは少しだけ興味を持つ。
「写真、か……。」
⸻
少年探偵団
翌日。
阿笠博士の家。
「博士!新しい発明まだー?」
元太が大声を上げる。
「まあまあ、落ち着きたまえ。」
博士が苦笑する。
灰原哀は本を読みながら紅茶を飲んでいた。
そこへコナンが入ってくる。
「博士。」
「おお、新一……じゃなかった、コナン君。」
博士は慌てて言い直す。
「今度、美術館で写真展があるらしいよ。」
歩美が目を輝かせる。
「行きたい!」
光彦もうなずく。
「芸術の勉強になりますね。」
灰原は本を閉じた。
「写真……ね。」
コナンはテレビで見た少女を思い出していた。
「なんとなく気になるんだ。」
⸻
放課後
美月は部室を出る。
すると校門前で、小さな男の子が泣いていた。
「どうしたの?」
「お母さんが……。」
迷子らしい。
美月はしゃがみ込み、優しく話しかける。
「名前は?」
「ゆうと。」
「好きな食べ物は?」
「え?」
突然の質問に男の子はきょとんとする。
「ハンバーグ。」
「じゃあ、お母さんもハンバーグ好きかな?」
「うん!」
男の子は少しだけ笑顔になる。
その様子を見ていた近くの警察官が気付き、無事に母親と再会することができた。
「ありがとうございます!」
母親は何度も頭を下げた。
美月は微笑むだけだった。
⸻
しかし。
道路の向こう側。
黒いセダンの中から、その様子を見つめる人物がいた。
黒い帽子。
サングラス。
イヤホンに小さく声が響く。
「……対象ではありません。」
運転席の男が答える。
「了解。」
車は静かに走り去る。
美月はその存在に気付かなかった。
だが、その車は後に黒ずくめの組織とつながる者たちの偵察車両だった──。
⸻
夕暮れ
帰宅途中、美月は商店街を歩いていた。
ふと、小さな古道具店の前で足を止める。
ショーウィンドウの奥に、一台の古いフィルムカメラが飾られていた。
黒い革張りのボディ。
長い年月を感じさせる金属の質感。
不思議なほど目を引く一台だった。
「……きれい。」
店の奥から、白髪の店主が姿を現す。
「お嬢さん、そのカメラが気になるのかい?」
美月はうなずいた。
「はい。」
「十五年前、ある人から預かったままになっていた品でね。持ち主が現れなくて……。」
店主はカメラを優しく手に取る。
「少し古いけれど、大切に使えば、まだまだ現役だよ。」
美月はそっとカメラを受け取った。
シャッターを切る。
カシャッ。
その乾いた音が、静かな店内に響く。
「……この音、好きです。」
店主は穏やかに笑った。
「そのカメラも、お嬢さんに出会えて喜んでいるかもしれないね。」
美月はまだ知らない。
このカメラこそが、十五年前の事件につながる”運命のカメラ”であることを。
そして、その小さな選択が、自分とコナンたちを巨大な陰謀へと導くことになることを──。
⸻
――第一章 終――
次回予告
第二章「現像された一枚」
コメント
4件
『写真部の少女』第3話、めっちゃ面白かったです!!😭💕 美月ちゃんの「同じ笑顔は二度と撮れない」って台詞にグッときました…写真への真摯な想いが伝わってくる…!そしてまさかのコナン・少年探偵団とのクロスオーバー!?しかもラストの古いカメラが十五年前の事件と繋がるって…え、待って、そこめっちゃ気になる!!次回が早く読みたいです!🫶📸 美月ちゃん、優しくて芯のある子ですね…迷子の男の子への対応も素敵でした。黒の組織っぽい影もチラついてて、これからの展開が本当に楽しみです!いぬ🐶さん、続き待ってます〜!!✨