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17 - もしもの話 ホトトギス

♥

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2025年06月13日

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※死ネタはなし。暗くはないけど人によってはそう感じるかもです。

よろしければお進みください。








「トラゾー」


「っ!」


喜ぶべき声に体が強張って無意識に後ずさっていた。


「なんで逃げるの?」


クロノアさんが俺のことを思い出した、というのを信じられなかった。

そんな奇跡みたいなこと起こりうるわけがない。

だって、何度も祈った。

何度も何度も願った。


どんなに思おうが、俺のことを思い出すことがなかったのに。


だからもう諦めて自ら消えることを選んだのに、そこで思い出したと言われてもそれを信じ切ることができなかった。


忘愛症候群の治療法は死のみ。


俺が死ななければ思い出すわけないのに。


いつまた、俺のことを忘れてしまうのではないか。

そんな不安定で不確定な、信じきれない確証に縋れるほど俺はもう強くない。


信じて裏切られるのはもう御免だ。

また他人行儀の冷たい声で、きみ誰、なんて言われたら俺は二度と立ち直れず後先のことなんて考えず自死を選ぶ。


だから俺の前で笑顔で両手を広げるクロノアさんに首を横に振った。


「おいで?トラゾー」


「ぁ、…ぃ、いや、です…」


「……」


目が覚めた俺は項を再び噛まれ、番に戻されていた。

本能と想いが相反して、俺は花を吐き続けている。


「ゔっ、ぐ…ッ」


口を覆い隠し、込み上げる嘔吐感を抑えるも我慢できずに吐き出した。


「ぅ゛え゛…っ」


「………」


ひらひらと落ちる花びらを見てクロノアさんが眉を寄せた。


「俺とトラゾーは運命の番のはずなのに、なんで花を吐いてるの」


冷たく硬質的な声。


「わか、らなぃ…わかりませ…っ」


クロノアさんの想いを信じ切ることができないせいで、俺は未だに白銀の百合を吐くことができていない。


「俺のこと、嫌い?」


「違っ…」


嫌いとかそういうことじゃない。


一歩ずつ近寄るクロノアさんが怖くて後ずさる。


「トラゾーが逃げるばっかりするからこうやって閉じ込めたけど…おかしいね?」


俺はこの部屋に閉じ込められていて、鎖で片足を繋がれていた。


それが余計に俺の疑心を増長させていたのだ。


混乱する俺を無視してクロノアさんは勝手にぺいんとたちにも、他の俺のことを心配し迷惑をかけたみんなにも、同棲することにしたと嬉々として話していた。

そして、まさかの俺の両親たちにも俺の療養の為にと一緒に住むことにしたと完全に外堀を埋められ逃げ場をなくした。

優しいこの人が監禁なんてことするなんて誰も微塵も思わない。

優しくて献身的で、俺を大切に想う理想的なαと思われている。


思うわけがない。

俺が監禁されてるなんて。

鎖で繋がれて、毎日毎日声が枯れて気絶するまで、気絶しても起こされて手酷く犯されてるなんて。


ここでまた逃げたとしたら、捕まって一生クロノアさん以外の人たちに会うことができなくなる。


「こ、こないでください…」


「俺のことは許さなくていい。…でも、拒絶するのは許さない」


バンっと壁に押し付けられて身動きが取れない。


「いっ、た…」


クロノアさんに簡単に押さえつけられるほど弱くなってしまっていた。


「こんなに細くなって。俺の片手で簡単に掴めちゃうね」


「ひっ…」


「ちゃんと思い出したんだよ?トラゾーのこと。…何がまだダメなの」


着ていた服を無理矢理脱がされる。


「ひっ、ゃ!いゃだ…っ」


「トラゾーの好きなとこもちゃんと覚えてるよ」


「っっ〜!ひぁ゛っ⁈」


同じ筈の触れ方。

なのに体が違うと、拒絶する。


「ぅ゛え゛…ッ」


また花を吐く。

ヒューヒューと喘鳴を起こす。


「…優しくしてあげたいのに。……今度はトラゾーにちゃんと覚えなおさせないといけないね」


口の中に指を突っ込まれて、舌や上顎を撫でられる。


拒絶するくせに、身体はちゃんと覚えていて。

番に触れてもらえるという本能が歓喜していた。


「ゃ、だ、ひぅ…っ⁈」


「いやいや言ってるけど、ココはやっぱりちゃんと反応するんだね」


後ろに触れられて腰が跳ねる。


「ほら、」


見せつけるように触れた手を俺に見せてくる。


「俺のことをちゃんと受け入れようと、濡れてるよ?」


「ゔぁっ⁈ぃ、ひン!」


何度も何度も奥まで注がれて、その度に俺は吐いて。

その繰り返し。


「ははっ、どうする?そろそろ赤ちゃんできちゃうかもね?」


下腹部をぐっと押されて声が上がる。


「!、やめッ、…あかちゃんだめっ…!」


そんなことになってしまったら。

俺はホントに逃げ道を塞がれてしまう。

新たな命に対して、思いたくない負の感情を抱いてしまいたくない。


「…優しいトラゾーはその子を見捨てて逃げたりしないもんね?……あー、うん。そうしようか、赤ちゃんできるまでココにずっと出してあげるよ」


「ゃ、いゃですっ、…も、ゅるしてくださぃ…くろのあさん…ッ」


「…ダーメ♡」


にこっと優しく笑った後、容赦なく奥まで貫いた。


「ひあぁ゛⁈ぁうッ、ひゃっ、ん、んぁあ゛ぁっ!」


揺らされるたびに花びらが落ちる。


「こんなに俺のことを受け入れてくれてるのに。花吐くなんて…トラゾー、俺悲しいよ。…折角思い出して、トラゾーも死なずに済んだのに…」


「ひぁ゛、ぁ、んンッ…ゃぁあっ」


ジャラジャラと鎖が鳴る。

繋がれた足が痛い。


「いっぱいトラゾーのこと、泣かせたし傷付けた俺も悪いことしたよ。謝っても許されないって思ってる。…でも、ここまで拒絶されたら俺だって傷付くよ」


そう言いながら手加減なく俺を揺さぶるクロノアさん。


「何度も何度も何度も、トラゾーのこと愛してるよって言ってるのに、どうして信じてくれないの?」


「ぃ゛あ゛⁈」


首筋を思いっきり噛まれて、クロノアさんのモノを締め付けた。


「こんなに身体は俺のことを受け入れて、大好きだって言ってるのに」


「はぅ⁈ん、ゃぁあっ!」


「心が俺を許してくれてないの?」


「っっ!!ひゔッ、んぁっ」


「……俺には、トラゾーしかもういないのに…」


ぽつりと寂しそうに呟く声。

この部屋に閉じ込められて初めて聞く声。


「は、っんぁ…くろ、ぁ…さ…ッ…?」


「俺が愛してるのは、トラゾーだけなのに」


「ひっ、ぁ」


「…もう、ホントに、俺じゃダメなの…?」


今まで一度だってやめてと言っても動きを止めなかったクロノアさんが動きを止めた。


「俺のこと、嫌いになった…?」


はっと顔を上げるとクロノアさんは泣いていた。


「俺のことを、もう、番としては、受け入れられない…?」


ぽたりと涙が落ちる。


それを見た瞬間、ちゃんと思い出してくれて俺の命を救ってくれたクロノアさんに対して罪悪感に襲われた。

俺のことを、ちゃんと思い出して、こんなにも愛してるよと伝えてくれてるのに。

番にだって戻れたのに。


「おれ、が…わるい……?」


番に戻ったのに花を吐く俺が悪い。

こんなに俺のことを愛してると伝えてくれてるのに拒絶しようとしてる俺が悪い。


そう思い始めた。


「…ううん、トラゾーは悪くないよ……でも、ごめん、やっぱりひどいことしてるよね」


俺のナカから自身を抜いた。


「っ、んぁ…っ」


「許されないことばっかりして、俺はトラゾーを泣かせるだけだね。…泣かせないって幸せにするよってみんなにも約束したのに」


俯いてその表情は見えない。


「…みんなにもトラゾーのご両親たちにも嘘ついたこと、謝んなきゃ。…いや、警察?俺、悪いことしてるから、捕まるね。…でも、そうすればトラゾーは俺と離れることできるし。あぁ、でも番っちゃたのは、どうしよう…結局、トラゾーばっかが傷付くことになっちゃうや…」


「!、ま、って…ッ」


離れて行こうとする俺の運命の番の腕を掴む。


「ぃや、…いやです、いかなぃで…っ、俺を、もう、ひとりにしないでください…ッッ」


目を丸くして俺と、掴む腕を交互に見た。


「…でも、トラゾー、俺が嫌なんでしょ?」


「いやじゃない、きらいじゃなくて…っ」


信じられないだけで。


「…どうしたら信じてくれる?」


心中を察したクロノアさんが困ったように呟く。


「ぁ、っ、えぁ…」


「教えて、トラゾー」


「ひぁっ⁈」


一度抜かれたソコにクロノアさんのモノがまた入ってくる。


「ん⁈ぁ、ゃっあ」


「ずっといる、傍に、永遠に、…トラゾーだけを愛するよ」


奥を突かれてびくりと腰がまた跳ねる。


「ゃ、っ、も、やめるって…うそつきぃ…っ」


「やめるとは言ってないよ?」


「あ゛、ぅん…っ⁈」


「トラゾー」


「だ、だって、またッ、…ゎすれられたら、おれ…も、」


心も体も死んでしまう。


「忘れないよ。トラゾーのことは絶対に」


「ひゃう⁈」


お腹を撫でられて奥が疼く。

毎日毎日犯されて、身体はクロノアさんのことを喜んでいた。


「だから、離しはしないし、逃がさない。きみはもう俺のモノだよ」


「───ッッ!!」


「たくさん甘やかして愛して犯して、ココがもっと俺のカタチになるまで突いて、揺さぶって、いっぱい出してあげる」


項を優しく撫でられる。


「ぁ、んっ、ひ、やぁあっ」


「ね?これでもまだ信じられない?」


「わか、らなあ…ひゃん⁈」


「でも、花、出てこなくなったね」


緩急をつけて焦らすような動きにもどかしさを感じた。

熱いそれは、ずっと俺の身体が待ち望んでいたモノ。

閉じ込められてから、感じることはないだろうと思っていたほどの歓喜に満ちている。


じわじわと侵され、犯されている。


嘔吐感が消えている事実に気付き、俺はクロノアさんの想いを受け入れようとしていた。


「ココ、好きだよね?」


「ッッ♡!!らめ!、それいじょ、おく、だめぇえっ♡」


「愛してるよ、トラゾー♡」


カチッと何がはまったかと思ったら、こぽりと口から白銀の百合が吐き出された。


「よかった♡これで俺たちまた愛し合えるね♡」


見たことがないくらいの満面の笑みをクロノアさんは浮かべて俺の項を撫でた。


「ゃ、やぁあっ!ちがぅうっ、♡、くぉのぁひゃ…んぁや゛♡⁈」


あんなに信じられなかったのに、それなのにこんなに嬉しく思っている。

また同じ想いになれたって。


「また両想いになれて嬉しいよ?初めて番になった時みたいで、すげぇ嬉しい♡」


「ん゛ぁ♡!?」


ナカで更に大きくなるクロノアさん。


「赤ちゃん、ホントに作っちゃおうか?そうすれば優しいトラゾーは絶対に逃げないよね」


「♡♡!あかちゃん、ぃやっ゛♡」


クロノアさんの首にしがみつき首を横に振る。


「トラゾーの子供なら可愛い子だと思うけど」


ぐりっとナカを押されて首が仰反る。

その仰け反って出っ張った喉仏を甘噛みされた。


「ぃ゛ッ♡」


「…孕ませたいんだけどな」


「らめ!らめぇえッ♡」


「ま、俺もまだトラゾーとふたりでいたいし。赤ちゃんはまだいっか」


腰を掴み直されてぐりぐりとナカを突かれる。


「くッ、りょ、にょあしゃ♡だめ、なんかきちゃ…っ♡」


「いいよ?俺もナカにいっぱい出すから、トラゾーもいっぱい出しな♡?」


「ひゃぁあ゛ぁ♡!」


白濁としたものではないモノが俺から出る。


「あれ、潮吹き?ははっ♡ハジメテ見たや、可愛いねトラゾー♡」


「かゎいくない、ッ、おれ、しんじゃぅっ…♡」


「死なせないよ。もう、二度と離さないって言っただろ」


「ひゃうん♡⁈」


「俺のとこに堕ちてきてくれてありがとうトラゾー」


「んぁあっ♡♡ッ」


「優しいきみなら、泣き落としに靡くと思ってたよ」


奥の奥にクロノアさんが入ってくる。


「っっ♡♡?」


「あはっ、鈍感なトラゾーは一生気付かなくていいよ♡」


まだ不安感は拭えなくて、それを無くしてほしくてクロノアさんに抱きつく。


「ぉ、おれ、しんじて、いいの…?くろのあさんのこと…ッ、もぅ、わすれない?すてたりしない…?」


「忘れもしないし、捨てたりもしないよ。トラゾーは俺のモノなんだから。…俺が独占欲も執着心も所有欲も強いの知ってるでしょ?」


「ひゃっ、ぁん゛♡」


「ね?こんな可愛くて大切な俺の愛してる人、手放すわけないでしょ」


「はなしたら、きらぃになります…♡ッッ!、くおのあさんのこと、きらいになる…ッ♡♡」


きゅんとお腹が締まる。


「それは、勘弁だね。…トラゾーがどういう気持ちか身をもって知ることができるチャンスだけど、俺は堪えれないや。嫌われたら、きっと、きみを殺して俺も死ぬと思うから」


ナカで大きくなるクロノアさんのモノを締める。


「はなさ、ない…?おれのこと。…ずっと、そばにいてくれますか…?」


「約束するよ。トラゾーの傍にいるよ」


「うれしい…っ♡」


心の底から嬉しいと、喜んでいる。

心も身体も悦んだいた。


「俺のことを、信じてくれてありがとう。…騙されてくれてありがとう」


「⁇♡♡ッ?」


「ほら、トラゾーの好きなのいっぱい出してあげるね」


「ひゃいッッ♡♡♡!」


熱くて俺の待っていたモノがナカに注がれる。

脈打つソレに欲が出る。


「まだ♡、ッまだ、ほしぃ…です…♡」


「いつもはここでやめてって抵抗するのに。どういう風の吹き回し?」


「もっと、もっとおれが信じれるよう♡いっぱい愛してくださいっ♡♡」


「っっ♡!…こんなに、やらしい子だったんだね?トラゾー♡」


「あなただけっ♡だから、信じれるようにココにいっぱいちょーだい♡」


膨らむお腹を撫でてクロノアさんを倒す。


「気絶してもやめてあげないよ?どうすんの?赤ちゃんできたら♡」


「ぁかちゃんはやっ♡ずっとふたりがいいッ♡」


「あ゛ぁ!くそっ…可愛すぎだろ♡⁈」


「ぁんん♡!」


込み上げてくるのは多幸感。

こんなに愛してもらえることが気持ちのいいものだったなんて。

離されてた分、嬉しさも半端でなかった。


「愛してますっ♡♡クロノアさん♡♡♡っ!」


「俺も愛してるよ♡ずっと一緒。トラゾーは永遠に俺のモノだからね♡?」


「はぃ♡俺はクロノアさんのモノですっっ♡♡ずっと、ずっと♡♡」



部屋の隅に置かれる鉢植えの花。

いつ置かれたものか分からないそれは萎びて本来の色味が失われていた。

変わった柄の花びらは鉢植えに散り、存在はすでに俺らの中からは消えていた。







永遠にあなたのもの

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