テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第7話:はじめてのキス
あの告白未遂事件から――3日。
家の中が妙に静かだった。
理由は一つ。
父・蒼真が忙しくて不在。
つまり。
二人きりの時間が増えた。
「……」
「……」
気まずい沈黙。
リビングのソファ。
隣に湊。
距離が近い。
近すぎる。
(無理無理無理…)
心臓がうるさい。
でも。
離れたくない。
湊が先に口を開いた。
「……藍音」
名前を呼ばれるだけでドキッとする。
「この前の件ですが」
真剣な声。
逃げられない。
「中断されてしまいましたので」
「え?」
一瞬。
意味がわからない。
次の瞬間。
顔が真っ赤になる。
「な、なに言ってるの!?」
「続きを」
低い声。
距離が近づく。
「してもよろしいですか」
心臓が壊れそう。
逃げたい。
でも。
逃げたくない。
藍音はぎゅっと目を閉じた。
小さく頷く。
「……うん」
その瞬間。
湊の手が頬に触れた。
優しい。
震えてる。
彼も緊張してる。
「……好きです」
囁き。
次の瞬間。
唇が触れた。
やわらかい。
温かい。
頭が真っ白になる。
時間が止まる。
数秒。
ゆっくり離れる。
でも。
額が触れたまま。
呼吸が混ざる。
「……藍音」
低い声。
震えてる。
「もう止まりません」
ドクン。
心臓が跳ねる。
「後悔しませんか」
藍音は首を横に振った。
「しない」
即答だった。
「だって」
声が震える。
「好きだから」
その瞬間。
もう一度抱きしめられる。
今度は強く。
でも優しい。
「……参りました」
小さく笑う声。
「貴女には勝てません」
藍音も笑った。
胸がいっぱいで。
幸せすぎて。
初めて思った。
(この人とずっと一緒にいたい)
そしてその夜。
帰宅した父・蒼真。
廊下で二人が手を繋いでいるのを目撃。
「……」
空気凍結。
修羅場確定。