コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜の部屋は静まり返っていた。時計の針の音だけが、やけに大きく響く。
涼ちゃんはベッドの端に座り、
膝を抱えたまま、じっと床を見つめていた。
胸の奥が痛い。
息をするたびに苦しくて、どうしていいか分からない。
ふと目に入ったカッター
「……ごめんね」
声にならないほど小さく、何度も繰り返す。
誰に向けた言葉なのか、自分でも分からなかった。自分の右腕に新しい傷をつけた
若井の顔が浮かぶ。
あの優しい声、笑った時の目の形。
思い出すたび、胸が締めつけられる。
「若井に……会いたい」
涙が頬を伝い、手の甲に落ちた。
孤独と後悔の間で、
涼ちゃんはただ、名前を呼ぶようにその言葉を繰り返した。