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秋の風が校庭を揺らす。
もうすぐ学園祭――生徒たちは準備に追われ、教室は賑やかだった。
そんな中、善逸は心臓をドキドキさせながら音楽室の扉を開ける。
「せ、先生…今日も特訓、ですか?」
手に握りしめた楽譜を前に、声が震える。
「もちろんだ、雷坊主。」
宇髄天元はドアの向こうから現れ、笑顔で手を振る。
「学園祭はお前の才能を見せるチャンスだ。俺の指導でド派手に決めてやる。」
善逸は小さく息をつき、覚悟を決める。
「わ、わかりました! 先生のためなら…頑張りますっ!」
音楽室にはピアノといくつかの打楽器が並ぶ。
善逸は譜面を開き、まだ不安げに鍵盤に手を置く。
宇髄はその後ろで、じっと見守る。
「よし、まずはリズムの確認だ。お前、まだビビってるな?」
宇髄の声は低く響き、善逸の背中に熱い視線が注がれる。
「ひ、ひぃっ!? そ、そんなこと…!」
善逸は顔を赤くして俯くが、心の奥は少しワクワクしていた。
「お前の声には、感情の色を乗せるんだ。喜怒哀楽を全力で表現しろ。」
宇髄はピアノに手を置き、鍵盤を軽く叩く。
音が教室に響くと、善逸は自然と体が揺れる。
「せ、先生…僕、ちゃんとできるかな…」
不安げに呟く善逸に、宇髄は軽く肩を叩いた。
「大丈夫だ。俺がいる限り、お前は一人じゃねぇ。」
その言葉に、善逸の胸がぎゅっと熱くなる。
「…一人じゃない…」
小さな声で呟くと、頬が熱くなる。
その後も、二人はひたすら特訓を続けた。
善逸の声は少しずつ伸び、力強さを増していく。
宇髄は指導しながらも、時折笑顔で褒める。
「よし、今の声は最高だ。お前、ド派手に輝いてるぞ。」
「せ、先生…!」
善逸は胸が高鳴り、思わずピアノに手を置いたまま振り向く。
夕日が音楽室に差し込み、二人の影が重なる。
しばらく沈黙が流れた後、善逸は小さく口を開く。
「…せ、先生…僕、先生のこと、ちょっと好きかもしれません…」
言った瞬間、顔を真っ赤にして目を逸らす。
胸がドキドキしすぎて、言葉が震える。
宇髄は一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに柔らかい笑みを浮かべた。
「ふん、ド派手な告白だな。でも…悪くねぇぜ、雷坊主。」
その笑顔に、善逸は思わず頬を押さえたまま、心臓の高鳴りを感じる。
「今日の特訓はここまでだ。お前、よく頑張ったな。」
宇髄はピアノの蓋を閉じ、善逸の肩を軽く叩く。
「せ、先生…」
善逸はまだドキドキしながらも、少し嬉しそうに微笑む。
こうして、放課後の特訓と小さな告白を経て、
雷の少年とド派手教師の関係は、少しずつ特別なものへと変わり始めた――。