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第二話
初任務
入学して数ヶ月が経った。
その間にも砂漠化は進み、化物たちの侵食もまた広がっていた。
本来なら、まだ座学を中心に学ぶ時期。
だけど、この状況ではそうも言っていられない。
私たち学生にも、ついに初任務が与えられた。
「準備はいいかしら。今日は国境付近に巣を作った、骸牙鼠の討伐よ」
骸牙鼠。
砂漠に適応した化物の一種で、元はネズミだったと言われている。
集団で襲いかかり、鋭い牙で獲物を食い尽くす。
「嫌やわぁ。あいつら、ネズミが化物になった連中やろ? 集団で襲ってくるから、かなわんわ」
椥辻さんが嫌そうに顔をしかめる。
「ほんとよねー。病気なんかもらったら、あたしどうしようかしら」
御厨くんが大げさに肩をすくめる。
「堪忍やわ(笑) これ以上アホになったら、たまらんわ」
「そ、それ以上アホになるって……」
可威くんまで困ったように笑っている。
「だ、大丈夫だよ。ぼ、僕が感染対策用の薬を、いっぱい持ってきたから」
「あら♡ 優しいのね、可威くん。そんなところも好きよ」
「え、えぇー……///」
「……はぁ」
また始まった。
この二人がこうなると、収拾がつかなくなるのよね。
……あら?
「神剣くんは? まだ?」
「か、彼なら車に乗って寝てる……。眠いって……」
「…………」
本っ当!
集団行動ができないんだから!
「私たちも乗り込みましょ」
そう言って、私は車へ向かった。
急がないと。
この私が遅刻なんて、ありえないもの。
◆
指定された現地に到着すると――
想像以上に酷い有様だった。
砂漠の一角に広がる無数の穴。
周囲には荒らされた跡が残り、骸牙鼠の姿があちこちに見える。
「じゃ、作戦通りに」
私が指示を出す。
その瞬間。
「わーい! あたしが一番♡」
「ちょ、御厨くん!」
七鳳が真っ先に飛び出していく。
「あーもう!」
勝手なんだから!
「今日はぁ……この子の気分やね……っと」
椥辻さんが何かを取り出した。
「な、椥辻さん? 何、そのピンクのボーガン……」
「可愛ええやろ? うち用にカスタマイズしたんよ」
にっこり笑いながら、彼女はピンク色のボーガンを構える。
そして――
バシュッ!
バシュッ!
次々と骸牙鼠を撃ち抜いていく。
私は、もう何も言わなかった。
この数ヶ月。
彼女がどれだけ多くの武器をピンク色に染めてきたか、私は知っている。
……もう慣れた。
「きゃぁぁぁ! 噛まれちゃったわ! 痛いわぁ!」
「大丈夫だよ、御厨くん! し、死なない限り僕の薬で助けてあげられるから。安心して戦って!」
「あら、そう? でも痛いわぁ」
「……」
あーあー、もう。
毎度どうして、こんなに騒がしいのかしら。
その時だった。
「……ちっ……うるせー」
低い声が聞こえた。
「え?」
振り返る。
そこには――
大きなライフルを抱えた神剣くんが立っていた。
眠そうな目。
気だるそうな表情。
そして――
「ズドンッ!!」
轟音が砂漠を揺らした。
次の瞬間。
大きな爆発と共に砂埃が舞い上がり、辺り一面が白く染まる。
「けほっ……ごほっ……。な、何のよ……いったい……」
視界が戻ってくる。
そして私は、目を疑った。
「あ、綺ちゃーん」
七鳳が呆然とした声を上げる。
「骸牙鼠が……全滅してるわぁ……」
「……全滅?」
嘘……でしょ?
さっきまで、あれだけいたのに。
たった――
ライフル一発で?
呆然とする私たちをよそに、神剣くんは何事もなかったかのようにライフルを抱え直した。
そして、欠伸を一つ。
「……帰るぞ」
そのまま、眠そうに車へ戻っていく。
私たちはただ、その背中を見つめることしかできなかった。
コメント
1件
第2話、めっちゃ面白かったわ! 綺ちゃん視点で個性派揃いのチームが動くの、テンポ良くて読みやすいなー。 椥辻さんのピンクボーガンには笑ったし、可威くんの優しさと薬の知識もいい味出してる。 んで、最後の神剣くん……ライフル一発で全滅って、マジ? そのギャップと眠そうな態度がたまらんかったわ🔥 次回も楽しみにしてる!