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──────ラテさん視点──────

あぁ、クソが。クソがクソが!

そんな、汚い言葉が脳を埋め尽くす。私にしか、私にしか水神は止められないのに。その止め方が分からない。結局、神の前では何もかもが無力だとでも言いたいのか。それなら、神以外に生まれ落ちた時点で敗北が確定しているようなものでは無いか。そんなの認めない、絶対に認めない。

だが、焦る私を見て、嘲笑うかのように水神は瞬時に目の前から消える。目の前から消える…?私は自身の目を疑う。瞬間移動の類か?それとも───


私が、思考を巡らせようとした時だった。



バァァアァアアァアアアアァンンッッ!!!

目の前で、訳も分からずに弾けた。

私の体を蝕むかのように腕、足、胴体───ついには私の目が爆ぜる。再生した瞬間に爆ぜ、その度に再生して──────。朽ちていく体を見ながら、私は呆然とする。再生が追いつかなくなってきている。当然と言えば当然で。何百回、何千回、何万回もずっと再生し続けるならば、それはもう神に等しいだろう。つまるところ、私には限界があるのだ。無いに等しい限界が、常に私の体を壊すこの憎きやり方で。

神のような、正々堂々さが微塵も感じられない、この下劣なやり方で。私は、私は──────



な に

──────ひ

と ─────────つ ───ま

も──────

─────────れ









──────「地獄にお帰り」







──────水神視点──────

「頭はいいのに…柔らかくはないんだね」

私は、死んだブラック・ドッグをみくだす。つい先程心臓を水圧で潰したので、間違いなく死んだ。それに、体の再生は止まり、徐々に、その体は消えていく。

不思議と、可哀想とすら思わなかった。ただ、何も感じない。まあ、そもそも神に逆らったこいつが悪いのだから、死んで当然で。死んで当然なやつに同情なんてしないわけで。こんなところで留まるんじゃなくてさっさと他の侵入者を殺さないといけないのに──────

なぜだが、彼女が身につけている『水』という漢字のピアスが気になってしまう。ブラッグ・ドッグが司るのは火のはず。なぜ水のピアスを?

そう疑問になったら、考えずにはいられない。神に知らぬものなどあってはならぬのだから。だが、今は戦闘中。後でじっくり考えよう。そう思い、そのアクセサリーを回収する──────途端にそれから情報が流れてくる。判断を誤ったようだ。死んでもなお、このような罠を貼ったというのか。小賢しいと言わざるを得ない。


しかし、それは罠ではなかった。私の知らない、いや、水神に戻った時に、欠けたあの記憶が鮮明に流れ込んでくる。下界に降りた時に消えた、あの記憶。神として連れ戻された時に消されたあの記憶。失われたはずのあの記憶が──────流れ込んでいる。


「───ぁれ?」


気づいてしまう。


「俺、もしかして───ラテ殺しちゃったの?」


俺は、さっき、自身の体を固体から気体に変えた。俺の体は水でできているのだから、気体になる時は酸素と水素。水素になった方の俺は、ラテにぶつかることで、ラテの自然発火している炎とぶつかり、水素爆発を起こした。そして、酸素の方の俺が、圧縮して心臓を──────。

俺は、もう一度、ラテを見る。既に、体は塵と化して消えており、衣類は爆発に巻き込まれ、粉々に消えてしまっていた。残ったものは、何も無い。


「ははは、は、はは…w」


乾いた笑いしか出てこなかった。だって、この状況はもう笑うしかできないのだから。取り返しのつかない過去。思い出してしまった記憶。無理やり着せられた女物の服。自由を知らない俺に、自由を教えてくれて、逃げる勇気をくれたあのラテを───。

俺は、俺は。


「そうだよな、大丈夫。わかってる───」


1人で、死ぬのはきっと怖いから。

大丈夫。俺も、直ぐに逝くから。待っててね。


怖いけど。大丈夫。俺には、最後の弱点がある。魂を、破壊すること。これだけは神も共通としてある。怖い。怖い。もう、二度とこの世に生まれ落ちることが出来ないなんて。恐ろしくて、恐ろしくて。だけど、ラテを殺した罪に比べればちっぽけなもので。そう、分かっているのに。

魂を失ったらどうなるか。俺は、知っている。二度と、生まれ変わることが出来ないし、ウパパロンという歴史が、未来が、今が全て、なかったことになる。存在の抹消。せめてもの償いで。そんなことをしても、ラテが喜ばないことなんてわかってる。理解している。だけど。償わないと俺の気が済まない。つまるところ、ただの自己中なやつによる、自己中な死だ。ラテは、厳しいところがあるから、許してくれないかもしれないなぁ…


『勝手に死ぬことは私が許さない。ただ、敵対されても困る。お前は、私が直々に殺してやる』


そんな声が、脳内で響く。この男性とも、女性とも、機械とも言えない声は『最高神』。俺が今からやろうと思ったことなんてお見通しなのだろう。

まあ、もう一度地獄に戻るだけだ。贖罪には丁度いい。































ここで切ります!

皆様。お久しぶりです。投稿再開させてもらいます!

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コメント

26

ユーザー

共依存みたいなの大好きです!!

ユーザー

…うぱらてに𝑯𝑨𝑷𝑷𝒀 𝑬𝑵𝑫のタイトルをあげたくなる…

ユーザー

おかえり〜

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