ふと目を覚ますと、リビングの天井が視界に入った。「……あれ、私……寝てたん?」
身体を起こすと、ふわっとタオルケットが肩から落ちた。
その感触に、思わず微笑んでしまう。
「……優しいなぁ」
きっと、末澤さんがかけてくれたんだろう。
あの人以外に、人は今はいないもん
それにしても、なんか夢見てたような……。
末澤さんが……私の頭、撫でてて……
「……っ///私、どんな夢見てんねん……!」
顔が熱くなってきたので、慌てて立ち上がりキッチンへ向かう。
シンクには、カラになった皿が置かれていた。
「全部食べてくれたんや!」
胸の奥が一気に温かくなる。
私は小さくガッツポーズしながら、嬉しさを噛みしめて食器を洗い始めた。
そこへ……
バサッと濡れた髪をタオルで拭きながら、いかにも風呂上がりの末澤さんがキッチンに現れた。
「あっ、末澤さん!昼ごはん、食べてくれてありがとうございます。味、大丈夫でしたか?」
そう言うと、彼は少しだけ目をそらしながら
【……うん。大丈夫やで。その……美味しかった。】
「ホンマですか!? よかったぁ!」
自然と笑顔が溢れる。
すると、末澤さんがふと真面目な顔で口を開いた。
【……夜、一緒に食べてもええ?どうせ、他の奴ら遅くなるんやろ?一人より……二人のほうがええやろ。】
「はい!一緒に食べましょ!!」
嬉しさが込み上げて、私は思わず彼の手をぎゅっと握ってしまった。
「あっ……ご、ごめんなさい!」
慌てて手を離すと……
末澤さんが、ふっと笑った。
普段は絶対に見せないような、柔らかい笑顔。
胸が、ぎゅっ……と痛いくらいに締めつけられた。
その理由が“恋”だなんて……
この時、私はまったく気づいていなかった。







