私の道は最初、真っ白だった
でも、それはみんなも同じ。
どんどん進んでいくと私の道は悪くなった
でも、それはみんなも同じ
周りの人達も私も。
もっと進むと私の道には茨が生えた
みんなの道には生えていない
でも、なんだか特別感があった
それに、痛くも痒くもない。
だって頑丈な靴を履いていたから
もっと進んでいくと
私の茨の道に看板が立てられた
“ 裸足で歩け ” と。
でも、よく見たら同じ状況の人がいっぱい居た。
その人達とアイコンタクトを取り、
いざ進むと、
痛い
痛い
痛い
でも、私の道の先は輝いている
もしかしたら茨が無くなるかもしれない
そう信じて突き進んだ
もっともっと進むと私の道はさらに悪くなった
泥沼で、トゲトゲで、たまに底なし沼で。
周りを見渡すと人は居ない。
あるのは道に落ちている皮のようなもの。
もっともっと進んでいくと私の体はなんだか分厚いような気がした
そこで気づいたんだ
さっき見た皮のようなものは脱皮した皮だということ
みんなは繰り返し脱皮しているのに
私は1度もしていない
なんだか、とても辛くなった
もっともっともっと進むと私の道は突然真っ暗になった
暗くて何も見えない
周りに人がいるか確認できない
でも止まっちゃいけない
そんな気がした
だから私は這いつくばって道を進んだ
もっともっともっと進んでいくと私の暗闇の道に大きな壁が現れた
とても硬くて
とても高くて
とても大きな壁
止まるしか無かった
どうすればいいのか分からないまま立ち尽くす
考えているうちに時間は刻々と過ぎていく
諦めかけていた時
やがて辺りは少し暗闇の色が薄くなった気がした
高くて硬い、大きな壁は蜘蛛の巣に変化した
でも、ネバネバしてて触れたくは無い
もう無理なんじゃないかと思っていた時
蜘蛛の巣の隙間から小さな光が見えた
ネバネバだとか、そんなことはどうでも良くなり
私は進んだ
体に髪に腕に足に蜘蛛の巣が絡みついてくる
私は光に手を伸ばした
掴んだ!と思い、
握った手を開くと鈴が目に映った
途端、チリンという音と共に
辺りが明るくなり私は脱皮した
脱皮して真っ白に輝く白い翼が生えた
いつの間にか手に持っていた鈴は
跡形もなく消え、周りには皆が居た
この翼は
壁を乗り越えた証。
茨の道を進んだ証。
蜘蛛の巣を破った証。
脱皮した証。
再度歩き出した証。
鈴を手に入れることが出来た証。