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42 ◇完全に信頼することはない (最終話)
そして……再構築を始めてから1年後私たちは赤ちゃんを授かった。
喜びもあったけれど、それ以上に大きな不安もあり、正直私は
産んでいいものだろうかとの迷いが出てきて、ひとり悶々と悩んだ
夜もあった。
夫はとても喜んでくれた。見ている限りでは。
心の奥ではどんな気持ち? ほんとにうれしいと思っているのだろうか?
また猜疑心の塊になったりする自分がいた。
妊娠したことでの影響もあったのか、しばらくクヨクヨする自分がいた。
でもずっとやさしくしてくれ寄り添ってくれる彼を信じるしかないのだ
今は、とそんな無限の思考ループと悪阻が続く中で妊婦生活を送った。
安定期に入ると赤ちゃんの成長と共に自分の気持ちも安定し、いつの間にか
癒される自分がいた。
そして迎えた出産の日、
陣痛が半端なく長く続き……同じように酷い痛みが続いた。
仕事を終えたあとで疲れていただろうにと思うけれど夫は産院に駆けつけて
私が分娩室に入るまでの時間にして数時間の間ずっと私の腰や背中をさすり
続けてくれた。
痛みを思うと、随分とこのさすり続けてくれた行為に助けられたので
夫には感謝しかない。
この時のふたりで過ごした時間にも私は大いに癒された。
滉星は今やイクメンパパで私と子供を大切にしてくれて……再び
私にとって彼は大切でかけがえのない存在になった。
振り返れば長い道のりだったけれど、私は自分の人生を取り戻せたと
思えた。
ただ、私は滉星のことを完全に信頼することはしていない。
二度目があれば、今度こそ私たちはおしまいだ。
だから、産休が終われば私はまた復職する予定である。
――――― お ―――― わ ―――― り ―――――――
今回は短編を深堀りせずに早く完結まで書く、というのを
念頭に置き、書きました。
……が、読み返してみると特に最後のページがあっけなさ過ぎた(る)印象が
拭えません。……が、最初からこういった形で最終話に向かうことは決めて
いましたのでしようがないのだ、とも思ったりしています。
石田唯の異動前でのやらかしは、当初なかったのですが
あとから増量したような形です。
大石くんとの結婚が決まっていたのに、おバカな子です。
上司の異動・転勤で大きく人生を変えてしまった石田唯。
渡辺元帥の本音を見極められていれば、大石直也の広い心持ちを
知っていれば、進むべきはずだった元の人生のレールに戻れたものを。
残念です。
2025.6.22(日)
この度も最後までお付き合いいただきありがとうございました☘
2025.4.11完結 記 (実際に書き終えた日になります)
次の作品は明日2025.6.23からの投稿になります。
『☘ 好きだったのよ、あなた……』