放課後の教室。
窓の外は茜色で、机に長い影を落としている。
自販機で買ってきた缶ジュースを手に、おらふくんが戻ってきた。
「おんりー、はい。冷たいの、半分こしよ?」
「……ありがと」
受け取ろうとすると、おらふくんが缶を引いて、にやっと笑う。
「ねぇ、先に僕が飲んでもいい?」
そう言うと、おらふくんはぷしゅっと缶を開けて、ゆっくり口をつけた。
ごくごく、ごく――
その喉の動きに、なぜか目が離せなかった。
「……ん、美味しい。じゃ、どうぞ」
彼がそのままの缶を僕に差し出す。
「え……それ、おらふ君が飲んだばっかじゃ……」
「うん? だからなに?」
おらふくんが小首をかしげて、天然そうな顔でじっと僕を見てくる。
「……間接…///」
そう言うと、おらふくんの口元がいたずらっぽく緩んだ。
「え、ダメ? 僕、そういうの――けっこう、嬉しいけど」
その一言があまりにもストレートで、僕の顔が思わず熱くなる。
「な、なんで普通に言えるんだよ、そういうこと……」
「だって、僕はおんりーのこと、ちゃんと好きだもん」
おらふくんは笑って、僕の手にそっと缶を握らせた。
指が触れる。
そのぬくもりに、思わず指先が震えた。
しばらく缶を見つめたまま、僕はそっと口元に運んだ。
ほんの少し、彼の唇の跡を意識しながら――。
「……味、変わってないけど」
言い訳のように呟くと、
「そう? 僕にはちょっと、特別な味に感じたけど」
おらふくんの声が、すごく近くで響く。
気づけば肩が触れ合っていて、彼の指先が僕の袖を軽く引いていた。
「おんりー、もっとこういうの、してもいい?」
「……おらふ君次第だよ。僕は……嫌じゃない」
ふたりの間の空気が、静かに熱を帯びていく。
誰もいない教室で、その缶ひとつが、ふたりを確かにつないでいた。
おらふくんは、空になった缶を僕の机にコトンと置いて、
僕のほうをじっと見つめた。
「ねぇ……さっき、間接キス、嫌じゃないって言ったよね?」
「……うん、言ったけど?」
「じゃあさ、もうちょっとだけ、甘えてもいい?」
言いながら、彼は僕の袖を引く手に少し力を込める。
僕が振り向いた瞬間、彼の顔がすぐ近くにあった。
息がふっと触れる距離。
「……おらふくん」
「ねぇ、もう……間接キスじゃ、足りないよ」
その一言に、僕の心臓が跳ね上がる。
何かを試すように、彼は僕の頬に触れた。
柔らかい指先が、やさしく撫でる。
「……顔、赤い」
「君のせいでしょ……」
言い返そうとした瞬間、
おらふくんの手がそっと僕の首の後ろに回され、引き寄せられる。
そして、唇が――
重なる寸前で、ふと止まった。
彼の瞳が僕を覗き込むように見つめてくる。
「ダメなら、今のうちに言って?」
僕は、なにも言わなかった。
いや――言えなかった。
その沈黙を受け取ったように、
彼はゆっくりと唇を重ねてきた。
やわらかくて、ぬくもりがあって、
さっきの缶の味とは全然ちがう。
それは、ちゃんと“彼”の味だった。
離れたあとも、おらふくんは僕を見つめたまま、言った。
「今のも、間接じゃないけど……嫌じゃなかった?」
僕は少し照れながら、目を伏せて答える。
「……うん、むしろ、ずっと……したかった」
それを聞いた瞬間、おらふくんの顔がふわっと嬉しそうにほころんだ。
「じゃあ、またしていい?」
「……いいよ。でも、ちゃんと予告して」
「それは……気分による、かも?」
「ずるいな……ほんと」
でも、そんなずるさが、たまらなく愛しかった。
教室の空気は夕焼けに包まれ、
ふたりの距離はもう、戻ることなんてできないくらい近づいていた。
ちょっと天国にお迎えにきてもろて()
いや良いですね👍️👍️
ではおつら!✌!
コメント
3件
もう最高!てぇてぇです!!