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秘書課と営業ではフロアーが違う為、会うこともないだろう。
そもそも、私が茂とは関わる気はないし、向こうも私のことなど気にすることは無いだろう・・・
と、思っていると神様というのは時に意地悪で、常務への同行で玄関ロビーに向う廊下を歩いていると、向かいから茂が同僚と二人で歩いてきた。
まっすぐに前だけを見る。
1㎜も目線を動かさない。
すれ違いざま視界の端に映った茂は複雑な表情をしているように見えた。
単に、少しは罪悪感を持って欲しいという願望がそう見せただけかも知れない。
昨日は適当に歩いて辿り着いたため、まるで迷路の奥のお店のように遠くに感じたが賢一に場所をLINEで送ってもらうと単に昨日の脇道から3本先の脇道なだけで実にわかりやすい所にあった。
茂と別れてすぐに賢一と期限付きとはいえ付き合うのはさすがに聞こえが悪すぎるため秘密にしたいと伝えるとあっさりと了承された。
それはそれで、ちょっと複雑な気持ちになるがお互いの為ではある。
『Crow』と書かれたドアを押し開け中に入ると昨日と同じカウンター席に賢一が座っていた。