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「……ねえママ…?」
「さっきからどうしたのムーミン」
「…だって」
窓に雨が打ちつけている。そんなある日、スニフはママに命乞いをしていた。
「ゴホッゴホッ、ねえママ、僕このまま死んじゃわないよね?」
「あらスニフ。風邪でも引いたかしら?」
「ボクまだやり残してることがたくさんあるのに…」
鼻声なのか涙ぐんでいるのか、ひどく聞き取りにくい声だ。
「ああママ、たすけてよう」
「じゃあはちみつ大根でも舐める?」
「やだ…」
「ああ神様、ボク悪いことなんてしてない…あっでもムーミンのクッキー勝手に食べちゃったんだっけ?いやでもあれは毒味をしてあげただけ…やっぱりぼくはわるいことなんて…げほげほ」
ぶつぶつ呟いたのち、夢の中へと懺悔しにいった。
「……ねえママ…?」
「さっきからどうしたのムーミン」
「…だって」
心配なんだもん。という言葉はなんとなく気恥ずかしくて言えなかった。
「あなたってそんなに心配性だったかしら?スニフなら明後日にはピンピンしてるわよ」
そんなことはわかっている。だって泣き虫なくせに意外とタフなスニフのことだ、明後日と言わず明日にはまたうるさくなっているだろう。
「じゃあさ、スニフの様子を見てきてもいいかい?」
「あらだめよ、あなたもはちみつ大根嫌いだったでしょ。まったく、美味しいのに…」
なにやら意味のわからない言葉を聞いたような気がするが気にしない。(あれが美味しいだって?)
「まあ、からかってくるだけだからさ」
…コンコンコン
「あれ、寝てる…」
スニフが静かだ。…そりゃ、寝てるんだから当たり前だが…。
それにしてもよく眠るな…。
「かわいい…」
・・・
え?今ボクはなにを言ったんだ?あれ??…まあいいか、これもスニフのせいにしよう。うん。
眉毛太いな…まつ毛も長い…。というかやっぱり小さいな、同い年なのに。起きたらからかってやろう。
そう考えているとなんだかどきどきして、気づいたら氷嚢をどかして額に口付けていた。
翌日
「ムーミンも風邪を引くんだね?」
何も知らないスニフは、無邪気にそうママに聞くのだった。