テラーノベル
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少し、二人の表情が暗くなってる気がした。
環奈「あのね、ひよりちゃん」
環奈「ひよりちゃんは、ひよりちゃんじゃないの」
ひより「えっ?」
その言葉に、私は訳が分からない。という顔をしてしまう。だって、私は井上ひより。間違いないから。
ひより「何言ってるの、環奈。あっ、もしかして冗談?こんな状況で言うことじゃ…」
私は自分の中にある不安と混乱を整理しようとした。だけど、私が私じゃない。なんてことあるはずないから、いくら整理してもしきれなかった。
環奈「急に言われても分からないよね。けどね、本当なんだよ」
環奈「ひよりちゃんは、いや、環奈ちゃんは、記憶を失くしてるだけなの」
ひより?「何言ってるの?環奈って…それはそっちの名前じゃん」
環奈?「ううん、私はひより。井上ひよりだよ」
環奈?「それで、環奈ちゃんは朱音環奈」
何を言っているのだろうか。朱音環奈。それは私じゃない。
慎也「環奈、俺のことも覚えてなかったし。完全に忘れてるよね」
ひより?「何言ってんの。あんたのこと忘れたことなんてないじゃない」
慎也は俯いたまま、こちらを見ようともせずに言う。
慎也「あのね、俺たち3人って、幼馴染なんだよ?」
ひより?「は?」
私と環奈?は幼馴染だけど、慎也は違う。
ひより?「慎也は違うじゃない」
慎也「環奈は忘れてるだけ。ショックで記憶が失くなることなんてあるんだね」
ショック?なにそれ。私、記憶を失くすほどショックを受けたこと、ないけど…。
環奈?「あのね、環奈ちゃんは9歳の頃、自分のお母さんを殺しちゃったんだよ」
環奈?「環奈ちゃんの手で」
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