突然目の前に現れたのは 、ふたつ歳が下で
あの頃も 、このような感じで
同じ学園に通っていた 。四年い組 …否
一年一組の平野 滝夜叉丸だった 。
急に現れたと思えば何を言うか 。
私が綾部を嫌いなのは百も承知 。
だが 、なぜ貴様にそのような事を
口挟まれなきゃならんのだ 。
そう言いたいところだが 、
彼は何かと苦労しているのであろう 。
平野 綾は入学してからというもの 、
学園でトップクラスの問題児になった
そんなヤツが双子の妹など 、
苦労してかなわんだろう
私が関わらないで済むならば 、
喜んで引き受けてやろう
「….あの 、なんか言ってください」
『あぁ 、すまない 。
そんなのでいいのならっ
そんなのでいいのなら 、良いだろう
もう平野 綾とは関わらない 。
そう告げるはずの口が何故か動かなくなった
体が固まるとかそういったのではなく 、
言葉が詰まる 。そういった方がいいのだろう
「…立花先輩?」
『あ 、あぁ .. 違うんだ 。
良いだろう 、もうヤツとは関わらん 。』
これを望んだのはお前のほうだろう?
なのに 、なのに何故
そんな辛そうな顔をするのだ 。
『おい 、平野 …
「では 、私はこれで」 もう行くのか 、?』
「この後は綾と昼食をとる約束をしてるので」
『随分と可愛い約束だな』
「はい 、まぁ 。
綾はたまにそういう所がありますし 。
でも 、もう先輩には関係無いんですもんね」
『…それは嫌味か』
「まさか!!そんな訳ありませんよ」
「本当に時間なので 、失礼します」
『まったく 、彼奴はいつもああだな
流石は喜八郎の肉壁か 。』
『は 、!?』
いま 、私はなんといった ?
確かに口がヤツの旧姓とやらを発した 。
『…ゔッ…』
またズキズキと頭が痛くなった
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「あれ?仙蔵 、どうしたの?」
『少々頭が痛くてな 。
少しの間 、ベッドを借りてもいいか』
「もちろんだよ!?
平気??最近頭痛が酷いんじゃない?、」
『自分でもどうして
こうなったわからないんだ 。』
「…..」
言わずとも 、わかっている
あの女が原因だってことぐらい 。
「….わかったよ 、もう寝ときな」
『..あぁ 、失礼する』
保健室の3つのベッドのうち 、1番奥に入り
ゆっくりと腰を下ろし横になる
別に 、寝るつもりなどなかったが 、
なぜか気づくと懐かしい光景が広がっていた
ここ、私がよくよく覚えていたあの場所 。
かつて 、私達六年生は
死とすぐ隣り合わせの任務に行っていた 。
そこで 、私と留三郎は死んだ 。
私は最後の最後で油断をした
留三郎は転んだ伊作を庇い矢を打たれた
そんな私たちは死ぬ直前 、
ある人物の話をしていた 。
「…はぁ〜 あ!もう___とは
会えないかもしれないとかやだやだ!!」
「何言ってんだ 、伊作
はやく敵をぶっ飛ばせば___に会えるし
「先輩凄いでーす」って
褒めてもらえるかもだぜ?」
「それ私も言われたーーい!!!」
「あのなぁ 、もう敵の区域入ったんだぞ
お前ら少しは危機感を持ちやがれってんだ」
「…もそ」
あんな日常が 、こんな簡単に崩れるとはな
静かに5人の会話を聞いていると 、
今度は私自身が口を開いた 。
『くはは 、揃いも揃って無様だな
___は私のものなのだぞ 。
そんな四方八方にしっぽを巻くなど
するわけが無いだろう??』
人物の名前がよく聞き取ることが出来なかった
でも 、そのとき .. 私が発した言葉に
一番最初にピンときた相手が 、
あの平野 綾だった
「別に仙蔵のものではないぞ!!」
「そーだよ!!
あんな焦らされ方されちゃってさ!
僕だったらそんな事しないのに〜」
「なーんで___はコイツを好きなんだよ…」
「これに関しては文次郎に同意だ 。」
「..もそ …..仙蔵 、許さない」
『んなっ長次まで..!!』
楽しそうな光景の中 、ふと思う節があった
伊作の言った焦らされ方とは一体なんなのか
私は 、思い人には意地悪をするタイプなのか
その矛先に向けられるのはやはりあの女で
私と平野はどういう関係なのか
平野は一体どういう人物なのか
なぜ 、急に避けるようになったのか
考えたいことが山ほどあった時 、
ちょうど戦の合図が鳴り 、私の目も覚めた
_____________________
「ちょっと仙蔵ってば!」
『…んっ 、』
「あんま下手に動かすなよ」
「然しここまで頭痛が続くとなると妙だよなぁ」
「…病院 、行かないのか」
『いや 、そこまででは無いんだ 。』
長次までもが心配をしてくれた時 、
うーんと項垂れていた小平太がそうか!と
大きく声を出し 、私の肩をガシッと掴んだ
「綾部だ!!綾部に会ってから仙蔵は
ずっと頭痛がしているだろう!!!」
「 「 はあぁぁぁ!?! 」 」
保健室中に我々の声が響き 、
それが鳴り止まった頃 …また小平太が話す 、
「もしかして仙蔵 、
綾部を思い出したいのではないか??」
その言葉に私は少々間抜けな声を出した
その後に伊作が手を合わせ口を開いた
「そっか!そうだよ!!
記憶喪失っていうのはね 、脳が原因で ..
つまり 、頭に影響がくるわけで 。
もし小平太の言う通りだとしたら 、脳がまだ
追いついてなくて頭痛を巻き起こすんだ」
「…..つまりは仙蔵 、お前やっぱり
綾を想っているのだな」
文次郎の言葉に私は唖然とした
入学式をめちゃくちゃにした問題児
かと思えば私に会った直後泣き出したり
私に会うや否や 、時には冷たく 。
時には悪戯混じりの言葉をかけ 、
私に恥をかかせた 。
そんなヤツを私が好きなわけ 、、、、
「さっきから何ブツブツ言ってんだよ」
『…留三郎 、聞こえてたのか』
「もう!!話戻すよ!!」
「つまりね 、仙蔵 。君は綾との記憶を
取り戻したいと思っているんだ 。
それは全部 、綾が ..喜八郎を好きだから 。
それはおかしなことじゃないからね
ここにいる全員が 、忍たまだった人達が
皆がが綾を好きになっちゃったんだからね」
もし、本当に私が綾を綾部喜八郎を好きなのなら
これからどうしろというのだ 。
散々彼女に酷い言葉を浴びせ 、
その結果本人では無く
本人と最も関わりの強い者から
接触を禁止された 。
『…はは 、神というのは
ときには意地悪をするのだな』
柄に合わずつい弱音を吐き出した 。
そんな時 、ガラッと大きくドアが空いた
「伊作先輩!!!!
いらっしゃいますか!?!」
「…誰か来たみたい 、ここにいてね」
そういい伊作はカーテンを開き戻って行った
そのとき 、
今まさに話していた内容の張本人が来た
「先輩 、あの..あの!!
綾が … 綾が大変でっ!!!」
声の主は滝夜叉丸と三木ヱ門だろうか
その声に皆が反応し 、
その声の元へ歩いていった
「…田村 、平野 。それは誠か?」
「はっはい 、潮江先輩 。」
「一体何があったの!?」
「そ、それが….鉢屋先輩と喧嘩をしてて 。
いつもの事ではありましたが、、
すると急に癇癪を起こしてしまって 。」
「癇癪 ..?」
「急に自分を腕を引っ掻いたり 、
髪を引っ張ったりと散々でして、、
も..もうすぐ先輩方が連れてくるかと …」
するとタイミングがいいのか悪いのか、
廊下から大きな声が聞こえてきた 。
「いやだ!!!!離せッ!!!」
「っ…綾 、!」
伊作は救急箱を持って走り出した 。
私も後を追いかけようとしたさ 、
でも文次郎に止められた 。
『….何故止める』
「今お前が行っては火に油だ」
「….今は皆で待とう 。」
長次の言葉に皆が頷き
ソファやらベッドやらに腰を下ろした
すると5分経ったか経ってないかくらいで
奴らは帰ってきた 。
「 「!!綾っ」 」
「…ぐずっ 、たき …みきぃ」
竹谷に抱かれながらそう名を呼んだ
ふと横を見れば 、口を切ったり腕に靴の跡が
見られる 、不破雷蔵を装った 。否
不破雷蔵と双子であろう鉢屋三郎がいた
鉢屋を挟むかのように 、久々知と雷蔵がいて
各々鉢屋を説教していた 。
「今回はお前が悪いよ 。三郎」
「雷蔵の言う通りだ 。相手はもう女なんだよ
好きな子をいじめちゃうのも大概にしな」
久々知の言葉にばっと皆顔が向いた
「ちょ兵助バカっ!!」
「え!あ!!ごめんっ..!!!」
「こんな近くにライバルが居たとはなぁ」
「腕がなるなぁ?鉢屋」
「あはは 、食満先輩に潮江先輩 。
顔が怖いっすね 、笑いません、、???」
ガヤガヤと騒がしくなったとき 、
ふと彼女の方を見ると 、
まだ竹谷に抱かれており 、その横に尾浜 。
伊作 。平野に田村 。小平太がいた
「ほーら綾もう平気だよ??
八左ヱ門も良いけど〜、、
俺の腕も空いてるよっ」
「竹谷先輩がいいです。」
「おほッ!?あ、、あや!?!」
「ふーん?八左ヱ門良いね羨ましいよ」
「私も綾部を抱きたいぞ!!!」
「ちょ、七松先輩っ
ちょっとその言い方はダメです!!」
「あぁあもう綾は早く降りろ!!」
双方が騒がしくなり 、別の頭痛がしてきた時
静かに本を読んでいた長次が口を開いた 。
「…….綾はなぜ癇癪を起こした」
コメント
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続き楽しみですぅ( ´›ω‹`)💕