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『初音ライダー剣』
第27話
“新星”
リンがBOARD支部に戻ったことにより、BOARD宿舎は賑わいを取り戻した。リンは嶋/タランチュラアンデッドと光/タイガーアンデッドの介添えによりスパイダーアンデッドの邪気を完全に封じ込め、本来の明るい性格が戻り、BOARD宿舎の面々とも打ち解けていた。また、MEIKOから仮面ライダーとして免許皆伝となっており、1人で任務に当たることも出てきた。そのリンが帰還すると、キヨテルは早速リンに任務を言い渡す。
リン「…ATSHIジャーナル?」
キヨテル「そうです。その副編集長の鎌田という男を探ってもらいます。この男に関わる殺人事件がアンデッドのモノなのでは、という疑いが出ています。」
リン「でも、どうやってですか?」
キヨテル「普通に近づいてくれていいですよ。その方が向こうも警戒しないでしょう。年端も行かない少女の君ならば尚更です。」
キヨテルはリンに普通にターゲットとなる人物に近づいて構わないという。そして、鎌田が油断して尻尾を出すのを見計らおうとする作戦だ。
リン「…大丈夫かな?」
キヨテル「大丈夫ですよ。既にMEIKOとミクにも当たってもらってます。」
リンは少し不安気に言うが、キヨテルはそこを配慮し、既にMEIKOとミクを付けているという。
キヨテル「自信を持って良いですよ。リンももう1人前の仮面ライダーですから。」
リン「…はい!」
キヨテルはリンを”1人前の仮面ライダー”と認め、リンの背中を一押しする。これを受けたリンは勇んで出撃した。
雨の中、路地裏で1人の中年男性が2人の警官に追われていた。追われているその男がATASHIジャーナルの副編集長・鎌田だ。彼は裏で悪事に手を染め、それが明るみに出てきたため、カっとなって裏仕事の仲間と、追ってきた警官を殺害した。そして、現在も逃走中だった。
警官A「もう逃げられない!大人しくしろ!」
鎌田「…」
警官2人は銃を向け、鎌田を威嚇する。鎌田は両手を上げ、警官たちに近づく。だが、鎌田は警官たちに近づいた瞬間、薄ら笑いを浮かべ、正体・パラドキサアンデッドへと変化した。
警官B「う、うわああ~!」
警官は驚いて発砲許可も得ずに銃を発砲する。だが、パラドキサアンデッドは傷1つ付かずに警官2人に近寄り、右腕の鎌を突き出して警官の1人を殺害した。
警官B「がっ…」
警官の胸部をパラドキサアンデッドの鎌が貫き、警官を串刺しとした。パラドキサアンデッドは残るもう1人の警官に目を向け、そちらも殺そうと近寄る。
警官A「ひ、ひいいい~!!」
警官は怖くなって、地べたに座ったまま後退りしていく。だが、そこに思わぬ助け船が入った。鏡音リンがパラドキサアンデッドの横から飛び蹴りを入れ、パラドキサアンデッドを怯ませた。
リン「早く逃げて!」
リンは警官に逃げるよう促す。警官は立ち上がって逃げ出した。それを見たリンはレンゲルバックルを取り出し、腰に装着する。
リン「変身!」
「OPEN UP」
リンはポーズを取った後、スピリチアエレメントをくぐってレンゲルへと変身し、レンゲルラウザーを構える。
鎌田「…こんな子供が仮面ライダーとはな。」
リン「子供でも仮面ライダーだ!」
パラドキサアンデッドはレンゲルを軽く挑発する。レンゲルはそれを流すと、レンゲルラウザーを振り回してパラドキサアンデッドを攻撃する。パラドキサアンデッドは両腕の鎌でレンゲルラウザーを受け止め、押し流す。
リン「く…」
レンゲルは攻撃を流されて、パラドキサアンデッドのパワーに一目置く。しかも、狭い路地裏では存分にレンゲルラウザーを振るえない。そう判断したレンゲルは戦場を変えるべく、路地裏を引いた。パラドキサアンデッドはこれを追い、路地裏から出た。レンゲルはこれを狙い、存分にレンゲルラウザーを振るってパラドキサアンデッドを攻撃する。しかし、パラドキサアンデッドはパワーでレンゲルを押していく。そこに、レンゲルの後ろから声がした。
MEIKO「リン!」 ミク「リンちゃん!」
MEIKOとミクがパラドキサアンデッドの反応をキャッチしたという報告を受け、走って現場に急行した。パラドキサアンデッドは状況不利を悟ったのか、両腕の鎌から真空波を飛ばしてMEIKOとミクを攻撃する。
MEIKO「っ!」 ミク「うわっ!?」
MEIKOは右に、ミクは左に体を反らして真空波を回避した。パラドキサアンデッドはこの隙にビルの間を蹴って上に上がっていき、その場から退散した。
リン「逃げられた…」
ミク「リンちゃん、大丈夫?」
レンゲルはパラドキサアンデッドに逃げられたことに遺憾を覚えた。ミクはレンゲル=リンを気遣う。
リン「大丈夫。でも、あいつ結構強いよ?」
リンは変身を解いた後、MEIKOとミクに忠告する。
MEIKO「追撃しましょう。今が叩く時よ!」
MEIKOはパラドキサアンデッドを追撃しようと言う。ミクとリンもこれに賛同し、BOARD宿舎に連絡してアンデッドサーチャーを使って行方を追うことにした。
パラドキサアンデッドは建物の上をジャンプして渡っていた。ミクはブルースペイダー、MEIKOはレッドランバス、リンはグリンクローバーをそれぞれ駆ってパラドキサアンデッドを追撃していた。
MEIKO「ミクは中央、リンは右側から回り込んで!」
MEIKOの指示でミクは中央、リンは左側の道を行き、パラドキサアンデッドを地上から追い詰めようとする。雨にも関わらず、パラドキサアンデッドは建物の上を上手くジャンプして渡っていた。
鎌田「チッ、しつこい…」
パラドキサアンデッドは歯噛みする。そして、真っ直ぐ自分を追撃してくるミクを振り切ろうとする。だが、その焦りが綻びを生んだ。パラドキサアンデッドは雨で足を滑らせてジャンプに失敗し、建物の上から転落してしまう。
鎌田「っ!?」
パラドキサアンデッドが転落した先は大通りのアスファルトの道で、そこではミクが待ち構えていた。ミクはブルースペイダーを降り、ブレイバックルを取り出す。同時に、その場に来たMEIKOとリンもギャレンバックル、レンゲルバックルを取り出し、腰に装着する。
ミク「変身!」 MEIKO「変身!」 リン「変身!」
「TURN UP」 「TURN UP」 「OPEN UP」
ミクはブレイドに、MEIKOはギャレンに、リンはレンゲルに変身し、パラドキサアンデッドに挑む。パラドキサアンデッドは両腕の鎌を展開し、ブレイドとレンゲルの刃を受け止める。そこをギャレンがギャレンラウザーで狙うが、パラドキサアンデッドはそれを察知し、バックステップで距離を取って銃撃を回避する。そして、再び壁を蹴って建物を登って行く。
ミク「逃がさない!」
ブレイドは勇んで階段を上ってパラドキサアンデッドを追撃する。ギャレンとレンゲルもこれに続き、建物の屋上に逃げたパラドキサアンデッドを見つけ、再び戦いを繰り広げた。パラドキサアンデッドは何とか粘るが、数的不利に次第に押されていく。パラドキサアンデッドはこの数的不利を打開すべく、1:1の戦いに持ち込もうとする。そして、その時に斬りかかってきたブレイドに目を付けた。パラドキサアンデッドはブレイドにタックルをかまして屋上から押し出し、共に屋上から転落した。
ミク「あっ!?」
リン「ミク姉!」
ブレイドはパラドキサアンデッドと共に地表へ落ちた。だが、すぐにパラドキサアンデッドの組み付きが離れ、ブレイドは受け身を取ることができた。そして、ブレイドは立ち上がってブレイラウザーを取り、再びパラドキサアンデッドに挑む。
鎌田「まずは貴様から仕留めてやる!」
パラドキサアンデッドは両腕の鎌を使ってブレイドを攻撃していく。ブレイドはこれをブレイラウザーで防ぎながら、その合間を縫って攻撃を仕掛ける。一方で、パラドキサアンデッドは攻撃が決定打とならない状況にイラついてきていた。その時、パラドキサアンデッドはまたも雨に足を取られ、滑ってバランスを崩してしまう。これを好機とみたブレイドはブレイラウザーを思い切り振り下ろし、パラドキサアンデッドにダメージを与える。
鎌田「ぐッ!」
パラドキサアンデッドは怯んだ。ブレイドはこの隙を逃さず、ブレイラウザーから♠5、6、9のカードを取り出し、ブレイラウザーでラウズする。
「KICK」
「THUNDER」
「MACH」
「LIGHTNING SONIC」
ミク「はあああああッ!」
ブレイドは猛スピードでダッシュした後、高く跳び上がり、空中で一回転した後、電撃のエネルギーを纏った右足を突き出してライダーキックを繰り出す。パラドキサアンデッドはこの一撃を真正面から受け、大きくよろけ、アンデッドクレストを開いた。ブレイドはそこにブランクのラウズカードを取り出す。
鎌田「ま、待ってくれ!私は悪くない!」
ミク「!?」
パラドキサアンデッドは両手を前に出して降参の構えを見せる。
鎌田「私はただ、ATASHIジャーナルの編集者として普通に働いていたんだ!それなのに、横から変な話を持ちかけてくるヤツらがいて、そいつらに付き合わされただけなんだ!頼む!許してくれ!」
ミク「…」
パラドキサアンデッドは命乞いをする。ブレイドは「何を今更?」と言った雰囲気で聞くが、パラドキサアンデッドの必死の命乞いに哀れみを感じた。
リン「ん?」
MEIKO「何?」
後から建物を降りてきたレンゲルとギャレンもこの状況に戸惑う。アンデッドが命乞いをするなど、あり得ないとばかり思っていたからだ。
鎌田「頼む!見逃してくれ!もう人殺しなどしない!真っ当に生きる!」
パラドキサアンデッドは頭を下げて許しを請う。必死の命乞いにブレイド=ミクも少し心が動いた。同時に雨も退いてきた。だが、それと同時に別のところから横槍が入った。
「MIGHTY」
ミク「ん?」
遠くで音声が鳴った。その直後、音声が鳴った先から光の矢が飛んできて、パラドキサアンデッドに命中した。
鎌田「ぐはッ!?」
パラドキサアンデッドは不意を突かれ、その場に膝をついた。光の矢が飛んできた先では赤いアーマーの見慣れない仮面ライダーらしき者がボウガンを持って立っている。そこにまた、新手の仮面ライダーらしき者が2人走って来た。
「MIGHTY」
槍を携えた緑の仮面ライダーらしき者はその槍と思しき武器でカードを読み込ませた後、威力を増幅させた槍をパラドキサアンデッドに振るう。
鎌田「がっ!」
パラドキサアンデッドはこの一撃を受けて倒れ転げた。さらにそこに、もう1人の黄色いアーマーの仮面ライダーらしき者がブレイラウザーによく似た剣にカードを読み込ませる。
「MIGHTY」
黄色のライダーらしき者は「MIGHTY」のカードでパワーアップした剣を振るい、立ち上がろうとするパラドキサアンデッドを斬り裂く。
鎌田「がはあッ!」
パラドキサアンデッドは完全にとどめを刺され、立つ気力も入らなかった。黄色のライダーらしき者はパラドキサアンデッドのアンデッドクレストにブランクのラウズカードを投げ、パラドキサアンデッドを封印した。
Lily「甘いね。あんなの真に受けてたら、生命(いのち)がいくつあっても足りないよ?」
黄色の仮面ライダーらしき者はブレイドらの近くに来て変身を解く。その姿はミクと同じ17歳くらいの黄色の長髪をした少女だった。直後に、他の2人も来て変身を解いた。赤い方は濃い目のピンクの長髪、緑の方は黄緑の短髪をした少女で、2人とも16歳くらいだ。
ミク「…あ、あなたたちは誰?」
Lily「ああ、自己紹介が要たね。私はLily、仮面ライダーグレイブ。んで、あっちのピンクのヤツがMIKI、仮面ライダーラルク。緑のヤツがGUMI、仮面ライダーランス。」
MIKI「よろしく~」
GUMI「へっ。」
Lilyはどこか高圧的な口調で自己紹介する。彼女に続き、MIKIは適当に挨拶する。一方、GUMIは挨拶の言葉を言わず、両腕を組んで突っぱねた態度を取る。
MEIKO「何なの?あんたたち…」
MEIKOはギャレンの変身を解き、Lilyらに自分たちは何者なのか問う。
Lily「私らチームはケルベロス。BOARD本部から派遣された仮面ライダーだよ!」
Lilyは自分たちがBOARD本部から派遣されたと言う。だが、ミクたちBOARD支部の面々はこのことを全く聞かされていない。
リン「ケルベロス?」
MEIKO「聞いたことがないけど…?」
Lily「今からお前らの支部に行かせてもらうよ。話はそこでしようじゃん?」
MIKI「一篇に話した方が手っ取り早いしね〰」
LilyはミクたちのBOARD支部へ行き、そこで話をさせてもらおうと言う。MIKIとGUMIもそれに同調し、全員でBOARD支部へ行くことにした。だが、ミクは戦意のない相手に過剰な追い打ちをかけるLilyらケルベロスチームを快く思えなかった。