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青「っ!?」
戻ってきてしまった。黄ちゃんがどこに住んでいるのか聞けずに。
青「はぁ……もう、最悪……。」
時刻は6時、リビングからは今日も親同士の怒鳴り声。汚れた制服を着て、今日も無理やり学校に行く準備をする。
青「うぇ……」
吐き気を催しつつ、なんとか制服を着る。行かなければ怒られる、お仕置きと称されて暴力を振るわれる。
『味方が欲しい。』
たったそれだけの願いだった。その願いは、まだ叶えられていない。
親がどちらも仕事に行った事を音で確認してからリビングに入り、朝食を食べる。
青「……行ってきます。」
6時50分。身支度が終わり、家を出た。
学校は電車で20分の場所にある。今日は少し遅めの到着になりそうだ。
学校に着く。玄関で汚れた上靴に履き替え、外靴を袋に入れる。上靴はもう汚れきっていて、誰も触ろうとしないから、学校に置いているが、外靴は大事だ。まだまだ綺麗なまま──と言っても、上靴に比べたら、だ。
教室はいつも通り騒がしい。自分の席に着いたらまず筆箱から消しゴムを取り出す。落書きを無言で消さなければならない。途中で何を言われても、無視する。
消し終えた途端、頬を殴られた。
「付いてこいよ」
言うことは聞かなければならない。もっと酷いことをされるから。ここで変態を演じても、逆効果だし。
向かった先はトイレだった。いつも通りの、トイレ。ここでまた、痣が増やされる。
痛い。痛い。痛いのはもう慣れた。慣れてしまった。
どうして私だけ。と、いつも思う。その度、私がやられないと他の子がやられる、と、自分を納得させる。
予鈴が鳴り、朝の戯れは終わった。
カッターで切られた掌に絆創膏を当てながらHRを過ごし、1時間目、2時間目、3、4時間目まで終わった。
青「あ……」
教科書で指を切ってしまった。持ってきた絆創膏は全て使い切ってしまっている。
青「保健室かな」
一度も行った事ない。先生に全て露見してしまいそうで、怖いから。
鞄を持ち、昼休みの間に保健室に行く。
扉を開けると、「いらっしゃい」と、声を掛けられる。
青「絆創膏、ありますか。」
先生はすぐに取り出し、渡してくれた。
青「ありがとうございます」
先生「随分淡々と話すのね。」
怪しまれただろうか、変に思われただろうか。
青「それでは」
逃げるように、そこから立ち去ろうと
「待って」
先生の声じゃない。どこかで、聞いたことのあるような──。
カーテンの開く音が静かな部屋に響き渡る。
「良かった……人違いじゃなさそうで……」
聞いたことがある。思わず振り返った。
青「っ……!黄ちゃん……!」
黄「会えた……会えたね……青ちゃん……。」
涙が止め処無く溢れてくる。再会できた、唯一の──味方。
先生「……虐待、虐め……汚れ方や、鞄を持ってきた所を見ると、その線が濃厚ね。」
青「っ!?」
先生「安心して。私が全部、片付けてあげる。2人まとめて、ね。」
その顔からは、決意が感じ取れた。
青「そ……っか。」
緊張の糸が切れ、意識が──
黄「青ちゃん……おやすみ。」
薄れゆく意識の中、優しい声が聞こえた。