テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
(KAIRYU視点)
「荷物、そこ置いたらええから」
「あ、はいっ、」
一通り店の中を案内しながら、仕事内容をランに説明して回る。
俺にたくさん質問しつつも一生懸命メモを取る姿は、真面目そうで好感が持てた。
「なんか分からんことあったらいつでも聞いてな」
「はい、ありがとうございます」
……それにしても、真面目すぎる。
真面目な爽やか好青年すぎる。
おまけにイケメンすぎやし。何回言うねん俺。
これから一緒に働くんやし、この辺で人となりでも知っとくか、と作業をしながらも話を振った。
「…ランは、なんでここで働こうと思ったん?」
「え?うーん(笑)楽しそうだからですかね?」
「…まぁ、お前みたいなイケメンは客引き楽しいやろなー(笑)」
「客引き?」
「おん、客呼び込むこと。まぁ暇なときだけな?あんま強引なのはやったらあかんけど、…でもランなら突っ立っとるだけで客来そうやな、頼むでほんま。(笑)」
「…俺より、カイリュウさんのが得意そう。(笑)」
「え?俺?なんでやねん」
「喋り上手いけん、俺だったら入っちゃいますよ。」
「けん?関西人やないねんな?」
「…あ、俺熊本出身なんですよ、すみません、方言抜けなくて。」
「あ、そうなん?謝ることちゃうよ、変える必要もないしな。お国言葉なんやから、大事にせえよ」
「…っ、はい、ありがとうございます…、」
「ん?なに?」
「…いや、…優しいなって、(笑)」
「今気付いたん?ええ先輩やろ?」
「はい。ふふっ、(笑)」
「まぁここのエースやしな?俺。」
「……あんま人数いないのに?」
「え?おいうるさいねん意外と生意気やな!笑」
「ふっ、(笑)ごめんなさい。笑」
少し砕けた会話ができて、結構仲良くなれるかも、なんて直感で思い、続けて話を聞いてみる。
「普段は何しとんの?」
「あ、…えっと、一応ダンサー的なのやってて。でもまぁ、まだ全然なんで、フリーターやってるって感じですね、」
「ダンス?おーええやん!なんや、俺と似とるやん」
「え?カイリュウさんもダンスやってんすか?」
「んや、やってへん。まぁ一応習ったことはあんねんけど、俺は歌の方。かっこよく言うと夢追い人やな、オーディション受けながら、フリーターやっとるって感じ。ほぼ一緒やな、ランと。」
「へー!…なんか嬉しいかも、笑」
「俺もなんか親近感沸くわ、急に。笑」
まだ少ししか会話をしていないけど、同じ夢追い人だと分かった瞬間になんだか同志ができたような気分になった。
ーーーーーーーーーーー
(RYUKI視点)
『ハヤト:リュウキ!!あのダンス上手い先輩いる!!』
「はっ?!」
トムからのラインに、思わず声を上げて立ち上がった。
一緒に昼飯を食べていた友達に、なんやねんと突っ込まれ、ごめんと謝りながらもご飯そっちのけでラインを返した。
『どこ?!』
『ハヤト:2階の講義室!早く来て!』
「……っ、ごめん!俺もう行くけん、!」
「え?おい!」
返事が来てすぐに、友達へそう告げ、走ってその場所へ向かった。
「……もう、リュウキ!遅いって!」
「えっ、先輩は?!」
「さっき行っちゃったよ」
「はっ、…ガチ?」
着いた時にはもう遅くて、項垂れながら息を整える。
……もう一回、会いたかったな。
「残念だったね。……てかさ、」
「ん、なに…」
「やっぱり好きなんじゃん(笑)」
「っ、/ちがっ、!…っ…き、気になっとうだけ、…まだ。」
「……ふーん?(笑)」
「なんやゴラおい、そんな顔で見んな!」
「はいはい、すぐ怒んないの。……ねぇ、午後から講義入ってる?」
「俺はもう今日は終わり。トムは?」
「同じ。じゃあ一緒に帰ろうよ」
「うん、あ!買い物行きたい」
「いいよ、どこ行く?」
トムと話しながら外へ出ると、ふと外壁にもたれてスマホを触っている人に目が行き、顔を見た瞬間ドキッと心臓が跳ねた。
か、 かわべり先輩やん…っ、!
「あっ、!!」
「うるさっ!なに?」
思わずデカい声が出てしまい、トムが耳を塞ぐ。
俺の声に反応して、先輩が顔を上げてこっちを見た。
目が合って、自分の顔が赤くなっていくのが分かる。
(……やばっ、どうしよ、恥っず…!!)
俺が動けず固まっていると、先輩が少し戸惑った顔をしながらも、微笑んで、「ん?」と首を傾けた。
(っ、う、…わ、……やっ、ば、、/)
……この人の、ダンスに、惚れたはずなのに。
「……え、先輩じゃんっ、ねぇ、リュウキ、ちょっと何してんの…!」
俺の身体を揺らしながら、小声でそう言ってくるトム。
動揺したままガチガチな俺に呆れたような顔をした後、突然俺の手を引っ張り先輩の方に歩いていく。
「っ、え、トム!おい!!/」
向かってくる俺達にびっくりしながらも、スマホをポケットにしまい、向き合う形になってくれる先輩。近付くとトムが口を開いた。
「っ…あの、僕たちダンスサークル入ってて、先輩のダンスこないだ見て憧れてて…」
「……そうなんだ?ありがとう。」
トムの言葉に、ニコッとしながら返事をしてくれた。
初めて聞いた、先輩の声。
意外にもおっとりとした喋り方で、優しい声で、見た目とのギャップに正直くらって、横で聞きながらずっと心臓がバクバク音を立てている。
「……っ、ほら、リュウキ…っ、」
肘で俺を突き、話しなよと言いたげなトム。
いやいや、いきなりこんな目の前にして、話せんって…!!
うあ〜、やばい、どうしよう。
「……ダンス、好きなの?」
なかなか話せない俺を気遣ってくれたのか、俺を見ながら優しくそう聞いてくれた。
唇が震えながらも、返事をしなきゃと頑張って口を開く。
「っ、は、はい!めっちゃ好きっす!」
「っ…、ふふっ、(笑)そうなんだ?いいね。」
え、やばいなんか笑われた?
焦ったけど、笑ってくれたおかげで少し緊張が解けた。
「何年生?」
「あ、3年っす。」
「3年生なんだ。2人の名前聞いてもいい、?」
「前川流輝です、」
「鈴木颯人です」
「ありがとう。…リュウキくんとハヤトくんね。……あっ、川縁拓途です。笑」
知ってます、と心の中で呟く。
自分の名前を言うのを忘れそうになったのか、少し照れたようにはにかみ、ぺこっ、と小さくお辞儀しながら自己紹介をした先輩の事を、6個も上なのになんだか可愛いと思ってしまった。
「……俺、ダンススクールやってるから、良かったら来てね。」
「え!?そうなんすか!?」
「ちょっ、リュウキ!(笑)」
「あっ、、/」
“先輩がやってるダンススクールなんて絶対えぐいやん!”と思ってしまった気持ちが全面に出て、思わず食い気味に反応してしまった。
トムに笑われたことで我に返り、急に恥ずかしくなる。
「っ、ふふ。(笑)興味ある?」
「……っ、あります、!」
「……じゃあ、…今から来る、?」
「「えっ!?」」
トムと2人してデカい声を出し、すぐに顔を見合わせる。
トムがなぜかニヤッと笑い、先輩に向き直った。
「あっ、すみません、僕は用事があって…リュウキだけお願いできますか…?」
「えっ!?ちょっ、おいトム、、!!」
トムがグイッと、俺の背中を押す。
おいこの裏切り野郎!!いきなり2人きりなんて無理…っ、
「そっか、…1人でも平気、?」
「……っ、/……へ、平気、っす、」
先輩に見つめられて、思わずそう返事をしてしまった。
ああ、俺の、馬鹿。
……でも、先輩と、話してみたい。
「…そう、?(笑)…ハヤトくん、話しかけてくれてありがとう。気をつけて帰ってね」
「あっ、いえ、こちらこそいきなり話しかけちゃってすみませんでした…!ありがとうございますっ、!」
「…じゃあ、リュウキくん。行こっか、?」
「っ、あ…っ、…は、はい…っ、!/」
先輩が後ろを向いた瞬間、トムが俺を見て”頑張って”とニヤニヤしながら口パクで伝えてきた。
恥ずかしかったけど、まぁトムのおかげやし…と思いながら、小さく頷いて先輩の後をついて行った。
***
先輩について行くと、大学から近くて、海沿いにある建物に入っていく。
ドアを開けると、数人がレッスンを受けていて、活気に満ち溢れていた。
「…俺、ちょっとだけ離れるけど、自由に見てってね。」
「は、はいっ。」
部屋の隅で見学をしていると、やっぱり先輩がやってるダンススクールなだけあって、全員レベルが高くて圧倒される。
いいな、俺も、こういうとこで学びたい。
そんなことを考えていると、先輩が飲み物を持って戻ってきて、隣に腰を下ろした。
「ごめんね、おまたせ。…良かったらこれ飲んで。」
「あっ、ありがとうございます…!」
「……どう、?見てみて。」
「めっちゃやばいっす、!全員レベル高いし、」
「ふふ。本当に?嬉しいな」
興奮気味に話した後、先輩が笑いかけてくれて、ふと距離の近さを感じてドキッとする。
「……えっと、3年ってことは、6個下か。俺おじさんじゃん。笑」
「え?!そんなことないっすよ!」
「ほんとに?(笑)」
「いやガチで、かっこいいっす…」
あ。
…やば、かっこいいとか言っちゃった。
でも、本当のことやし。
「…ふふ。気遣わせちゃったかな。」
「いや普通に本音なんで、まじで、、」
「…うん、ありがとうね。」
「……大学、被ってたらよかったのに、」
「え、?」
「……/っ、あ!!いやっ、なんでもないっす…っ、/」
話しながら、時々俺を見てくれる先輩が優しくて、先輩が今大学にいたら、もっとダンスもやる気出て、成長できたのに、なんて考えていると、それがつい声に出てしまっていた。
「…ふふ。俺、ちょっと留年したけど、惜しかったね?」
「なんで留年したんすか、?」
「おい、デリカシーねぇな(笑)」
「あ、ごめんなさい!!ガチですみません!!そういうつもりやなくて!!」
「ふふ、冗談だよ。(笑)……バックダンサーね、やってたの。まぁ結構有名な人についたりしてて。」
「え!?ガチすか?!えぐっ、やけんあんな上手いんや……」
そりゃ、ダンスサークルで1番上手いって言われるはずや…
実際ガチでそうやし。
ますます、先輩を尊敬の目で見てしまう。
「……リュウキくんってさ、出身どこ?」
「福岡です、…あ、方言出とったかも、、」
「出てるね、今も。(笑)……かわいいね、それ。」
「そ、そうすか、?」
「うん、かわいい。」
「……っ、/ 」
可愛いって言われるん嫌いなのに、…なんでやろ、めっちゃドキドキしてしまった。
「俺、東京出身だから、なんか新鮮だな」
「え、そうなんすか?トムも東京なんすよ、」
「トム?」
「あっ、ハヤトのあだ名で。さっき一緒にいた、」
「あ、そうなんだ。仲良しだね。」
「はい、まぁ…」
「……てか、俺、バックダンサーやってたの、今初めて話した。(笑)」
「え?そ、そうなんすか?」
「うん。あんまこういうの、言いたくないタイプだから…でもなんか言っちゃった。なんでかな、」
「……俺が、初めて聞いたってことすか、?」
「うん、そうだね」
「っ……、」
そんな大事な過去を、俺だけが知っている。
そう思った途端、胸が、ぎゅうっと締め付けられた。
「もうすぐ夏休み?どっか行くの?」
「え、あ、そうっすね…っ、」
「…元気そうだもんね、リュウキくん。」
「えっ?あ、はい、元気だけはあるっす。」
「ふふ、そうなんだ。いいね、うちのスクールに欲しいな。(笑)」
「えっ?/」
「なんで顔赤いの?(笑)」
「いやっ、なんでもないです、…あ、あの。」
「ん?」
先輩がこっちを見る度、優しく微笑んでくれる度にドキドキするのに、そんなことを言われたら、
……もっと、先輩の事を、知りたくなってしまう。
「……また、大学来ますか?」
「……来て欲しい?」
「っ、…来てほしい、」
「ふふ。……じゃあ、次はリュウキくんに会いに行こうかな。」
ニコッと笑って、ぽんぽんと頭を触られて、どんどん鼓動が速くなる。
先輩の、ダンスだけじゃない魅力に、ハマってしまいそうだった。
ーーーーーーーー
(KAIRYU視点)
「っ……お前、なんかやってた?」
「えっ?」
店が開店し、そこそこのお客さんが来店する中、ランは俺に質問しながらもテキパキと愛想良く接客をこなし、初日とは思えない出来っぷりを見せた。
「めちゃめちゃ仕事できるやんけ…っ、」
「え?本当ですか?(笑)ありがとうございます…っ、」
褒められて照れるラン。
イケメンで、仕事も出来て?
おまけにダンスも出来るんか?
何やねんこいつ、逆に何が出来へんねん…
「…あ、せや、まだ教えてないことあったわ」
「えっ、?」
「ちょ、こっち。」
ランを引っ張って、調理場に向かう。
ほんまは初日からここは任せんけど、なんでもそつなくこなす姿がなんだかちょっと悔しくて、まぁさすがにできへんやろと高を括り調理を教えてみる。
「……っ、いや、できるんかい!!」
「え?(笑)」
まぁ比較的簡単なもんしかメニューに無いけど、サラッとフライパンまで振ってみせるランに思わずたじろいだ。
「料理得意なん…?」
「得意ってほどじゃないですけど、一人暮らしで自炊はいつもしてるんで…」
「即戦力やんけ……」
「ありがとうございます…(笑)」
「エース奪うなよ?」
「頑張ります。」
「おい。笑」
「ふふっ。笑」
会話をすると、時々距離を縮めるように生意気を言うランが、なんだか弟みたいで可愛く思えた。
***
夕方に営業を終え、後片付けをしているとすっかり外が暗くなっていた。
「ランちゃん♡初日はどうやった?カイリュウにいじめられてへん?」
「おい誰がいじめるねん、懇切丁寧に教えとるから。」
こいつ…っ、今日ほぼおらんやったくせに、と思いながらナオヤを少し睨んでやると、ランが笑った。
「ふふっ…(笑)いや、めっちゃ優しくしてもらいました。」
「ほらな?!…ラン、お前ええ奴やな。その調子でいけよ。」
「わかりました(笑)」
「っ……え、まって?2人、もうそんなに仲良くなったーん?♡」
俺とランを交互に見て、嬉しそうになぜかキャーキャー言うナオヤ。
「あ、そうや!ランちゃん、まだ時間平気?」
「?はい、大丈夫です、」
「えっ、ほんまに?じゃあこのまま歓迎会な?♡」
「はっ?おい、さすがに疲れとるやろ、今日は帰らしたれって。」
「っ…いや、嬉しいです、」
「え、…ええんかほんまに?無理すんなや?」
「大丈夫です、…俺も、仲良くなりたいんで。」
「えぇ〜!ランちゃん可愛いなぁ?♡じゃあ決まりな?ナオ、じゃんじゃんお酒持ってくるから!待っててや〜?♡」
そう言って、ご機嫌で酒を取りに奥に消えて行った。
***
(RAN視点)
「ははっ、おまえっ、ほんま、ええやつやな!」
3人で飲み始めてから、しばらく経った。
特に何も言ってないのに、さっきから隣でカイリュウさんが俺の背中をバシバシ叩いている。
ああ、この人、酒弱いんやな。(笑)
「も〜、カイリュウ、あんたちょっと飲みすぎちゃう?そんな飲めへんのに」
「そらっ、のむやろ、歓迎会やしっ、な?らん?」
「えっ?あ…、ありがとうございます、」
俺の肩に手を置きながら、またグラスに手を伸ばしている。
……もしかして、俺のために飲んでくれとんかな。
カイリュウさんの第一印象は、正直”ちょっと怖そう”だった。
でも、話し出した途端めちゃくちゃ関西弁やし、気さくやし、気遣いがすごくて、優しかった。
年上なのに少し入り込める雰囲気があって、なんだかちょっと可愛くて、つい冗談を言ってみても怒らずに笑って受け入れてくれた。
たった一日で俺の事を、ええやつ、と言うけど、
カイリュウさんがいなかったら、ここまで自分を出せてなかった気がする。
……この人がいてくれて、まじで良かったな。
「…カイリュウさん、」
「ん?なんやねん?」
「今日、まじでありがとうございました。カイリュウさんがいてくれて、良かったです」
顔を見ながらそう伝えると、目が合ってすぐに顔を逸らし、照れたような表情になった。
「っ、…いや、それは、お前が頑張っただけやから。」
「……っ、ふふっ、ありがとうございます。」
「な、なんやねん?」
「いや、なんでもないです。笑」
……せやろ?って、言うかと思ったのに。
そこは照れるんや。
やっぱり、ちょっと可愛いとこあるんよな。
「ちょっとランちゃん、ナオは?!」
「あっ、もちろん、ナオヤさんも。(笑)」
「お前ほぼおらんやったやんけ!」
「はぁ〜?ナオは他にも仕事があるんですぅ!バイトと違うねん」
「…お前どうせまた男と
「ランちゃ〜ん♡ほらっ、もっと飲んでやぁ〜?」
「おい話聞けや!ラン、あんまこいつに近づくなよ?」
「ふふっ、はい。」
「あ〜、ちょっと!ランちゃんなんでよ!ナオとも仲良くしてやぁ?♡」
「ぶるなや、おい。」
2人のやり取りを聞きながら、これから楽しくやっていけそうやな、なんて考えていた。
コメント
2件
普通に楽しく読んじゃった😆これから楽しみです!いつもみちさんが楽しんで下さっている(と勘違いしている)私語録今日は思いつかなかった🥲ごめんなさい🙇♂️次の話までに考えておきます😆