俺はあのまま自宅には帰らずに本署へ向かった
シャワー室を借り、置いていた服に着替え仮眠室へ向かう
だが眠れる訳もなく自分のデスクに座り仕事を始める
まだ7時前だというのに駐車場が騒がしい
そんな中、北見が部屋にやって来た
「あれ、ロウさん?今日って‥‥午後からじゃ‥‥」
「おはよう北見。ちょっと調べたい事があって‥‥」
そんなものは無い
だが、そんな嘘に北見は食い付いて来た
「ロウさんも聞きましたか?新しいギャングの事ですよね。それで今みんな出てたんです」
「え?何があった?」
「朝からそこのギャング‥‥なのか、半グレ集団‥‥?が、不破さんのところとバチバチにやり合ってて‥‥」
「不破さんのところと?‥‥なるほど?」
「ってか、不破さんにロウさんの事聞かれて‥‥まだ出勤してないって言っちゃいましたけど」
「いや、いいよ構わない。何ならこれから聞かれても出勤してないって答えてくれ。もしくは署に居ないって」
「‥‥?分かりました。でも不破さん大変そうですね。自分のシマ荒らされてて部下も不破さんも怪我してるし。アイツらマジで正式にギャングになるつもりあるのかな。無茶苦茶やってますよ」
「‥‥なるほどね」
どうりで疲れてるはずだ
それなのに俺なんかに構っててあの人は‥‥
「ロウさんも何かあったらすぐに無線入れて下さいね。」
「あぁ、分かった。北見も気を付けろよ」
午後になり、気分転換ついでにパトロールをしていた
自分の店の前にいた加賀美さんと立ち話をして車に戻る
少し走ると俺の車を着かず離れずで黒っぽいイグナスが後に見えた
不破さん‥‥?
あの人のイグナスも光の加減で黒にも見える
だが、警察署が近づくといつの間にか車は消えていた
きっと俺の考えすぎだろう
夜になり仕事を終えて署を出る
自分の借りている駐車場まで歩き出す
後ろでエンジンの音が聞こえる
気になり振り返った
街灯の奥に車が居る
だがフロントライトは付いていない
前を向き歩き出す
車が進む音が聞こえる
間違いない
俺は誰かに付けられている
すぐ横の脇道が目に入り、素早く体を隠す
しばらくすると俺の横を車がゆっくりと通っていった
黒のイグナス
あの人の車ではない
建物から顔を出し、車を確認する
あの車はUターンしてこちらに戻って来そうだ
このまま反対側に抜けてしまおう
そう思った瞬間頭の後ろと首辺りに強い衝撃を受けた
「‥‥‥‥っ!!」
後ろに人がいる事に気付けず、思い切り殴られて目の前が暗くなる
‥‥痛い
鈍い頭の中目を覚ます
薄汚い部屋
裸電球がぶら下がりオレンジ色に照らされる
昔病院にあった様な頭と足元に柵がついているベッドの上
両手を頭上に縛られ、右足を下の柵に括り付けられている
上の部屋からこちらに降りてくる足音が聞こえた
渋い音を響かせ、見知らぬ男達が部屋に入って来る
「気が付いたのか?目が覚めなかった方が良かったのにな」
クスクスと3人の男が笑う
「‥‥なんだ?テメェーらは‥‥‥‥」
「美人な顔から良い声が聞こえたぞ」
ガタイのいい男達
その中でも身長が高い奴が俺の顎を掴む
「お嬢さんが不破湊の女なんだって?」
「‥‥‥‥あ?」
「そんなにドスの効いた声出して睨むなよ。ほら、朝から抱き合ったりチューしたりお熱いね」
目の前に出された写真には俺と不破さんの抱き合っている写真と、顔が重なりキスして見える写真
「お前たち‥‥新しく来た半グレか?」
「御明算。ダーリンから俺達の事聞いてる?アイツのせいで俺達のシマが無くなっちまった!絶対許せねぇ。警察なんかと付き合ってるなんてやるねぇ。アイツにはお返ししないと‥‥なぁ?」
ハサミを持つ手がこちらに忍び寄る
これからどうなるかを悟り、男達を睨み返した
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コメント
4件
不破湊の女って言ってるの好きや❤︎ でもまてよ?そのことを知ってるってことは張り込んでたか偶然見たかのどちらか、、、、ということは、、、((
わお! 半グレに目をつけられたこやさんじゃん!結末が見えないから楽しみすぎます!