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**第一話:再会、そして世界の扉が開く**
夕暮れの空に、二つの太陽と月がぼんやりと浮かんでいる。それはソルグとルーナ、二人兄妹の国旗に描かれた紋章だ。彼らが暮らす古びた一軒家は、再会からまだ日が浅い。
☀「ルーナ、準備はできたか?新しい仲間たちが来るんだぞ」
陽気で快活なソルグの声が、家の中に響く。彼はきっちりと軍服を着こなし、力強い眼差しを窓の外に向けていた。その隣には、彼と同じ旗を体にまとった小さなルーナがいる。彼女はソルグの軍服の裾をそっと掴み、顔を半分ほど隠していた。
🌙「…ぅ、うん…」
ルーナはか細い声で答える。8年前、貧しい家計のために離れ離れになった兄妹は、ようやく再会を果たした。ソルグは父親に引き取られ、恵まれた環境で育ったが、ルーナは母親からの虐待に苦しみ、心を閉ざしてしまった。ソルグは、かつての無邪気な妹が、人と話すことが怖くなってしまったことに胸を痛めていた。
☀「よし、行こう。大丈夫、俺がそばにいるから」
ソルグはルーナの手を優しく握り、玄関の扉を開けた。ルーナはソルグに連れられるまま、外の光に怯えるように目を細めた。
庭にはすでに数台の車が停まっている。その中から、見慣れないボールたちが姿を現した。
🇯🇵「初めまして、ソルグさん。この度は、国際的な交流の一環として、お邪魔させていただきます」
丁寧に頭を下げたのは、白い体に赤い丸が一つ、日本だった。続いて、星条旗のアメリカが、陽気に手を振りながら歩み寄ってきた。
🇺🇸「ヘイ!ソルグ!君のことは噂で聞いてるぜ!俺はアメリカだ!よろしくな!」
赤い五星紅旗の中国は、冷静に周囲を見渡している。
🇨🇳「…ふむ、経済的にはまだ発展途上の国か。しかし、この地のポテンシャルは高いと見た。我が国との協力次第では、大いに発展するだろう」
そして、最後に現れたのは、白い雪のような模様をしたロシアだ。彼は大きなボトルを片手に、豪快な笑みを浮かべていた。
🇷🇺「ハハッ!いいじゃないか、ソルグ!ウォッカは好きか?俺はロシアだ。今日はお前さんと、とことん語り合いたいぜ!」
ソルグは胸を張り、大声で挨拶を交わす。
☀「ようこそ!皆さん!私がソルグです!そして…」
ソルグは自分の後ろに隠れているルーナを指差した。
☀「こちらは、私の妹のルーナです。海軍を統治しています」
日本はルーナに視線を向け、優しく微笑みかけた。
🇯🇵「初めまして、ルーナさん。日本と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
しかし、ルーナはソルグの背中に完全に隠れてしまい、小さく震えている。
🌙「…こわい…」
か細い呟きが、ソルグの耳に届いた。ソルグは慌ててルーナを抱き上げ、日本の前に立たせた。
☀「すみません、ルーナは少し人見知りなもので…」
日本は、怯えるルーナの姿を見てすぐに状況を察したようだ。彼はルーナにそっと手を差し伸べ、優しい声で話しかけた。
🇯🇵「大丈夫ですよ。私は、あなたを傷つけるようなことはしません。どうぞ、安心してください」
ルーナは日本の言葉にびくりと震え、ソルグの腕の中でさらに小さくなった。ソルグはルーナを落ち着かせようと背中をさすりながら、日本に打ち明けた。
☀「実は…ルーナは、8年間の間に色々とあって…心を閉ざしてしまって…」
ソルグは、ルーナが母親から虐待を受けていたこと、それによって人と話すのが怖くなってしまったことを話した。日本はソルグの話を静かに聞いていた。そして、ルーナの小さな頭をそっと撫で、彼女の目線に合わせて静かに語りかけた。
🇯🇵「…あなたの過去は、とても辛かったでしょう。しかし、もう大丈夫です。あなたを大切に思ってくれる、ソルグさんがそばにいますから」
日本の温かい言葉に、ルーナはわずかに顔を上げた。その小さな瞳に、日本の優しい笑顔が映る。日本はルーナに、折り紙で作った小さな鶴を差し出した。
🇯🇵「…これは、平和の象徴です。あなたの心にも、平和が訪れることを願っています」
ルーナは恐る恐る手を伸ばし、鶴を受け取った。生まれて初めて、ソルグ以外の相手から向けられた優しさに、彼女の心に温かい光が灯った。
その様子を、他のボールたちも見ていた。
🇨🇳「フム、ルーナ殿の海軍も、いずれは発展するだろう。その際には、わが国の海軍技術を学んでみてはどうだろうか」
中国がそう言うと、アメリカが陽気に笑って言った。
🇺🇸「ヘイ!中国!まだそんな堅い話かよ!俺なら、ルーナの好きそうな映画や音楽を教えてやるぜ!一緒にハリウッド映画を観ようぜ!」
ロシアはウォッカのボトルを揺らしながら、ソルグに話しかけた。
🇷🇺「ソルグ、お前は良い兄貴分だ。お前と妹のために、俺も一肌脱いでやるぜ。困ったことがあったら、いつでも俺に頼れ」
ソルグは日本にお礼を言い、ルーナの手をしっかりと握りながら、個性豊かなボールたちを家の中へと案内した。
ソルグとルーナの、新しい日常が今、始まったのだった。彼らの周りには、世界の扉が開かれ、個性豊かな国々との交流が待っている。そして、ルーナの凍りついた心が、少しずつ溶けていく物語が始まるのだ。
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