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翌朝、いつも通りの朝が訪れた。だけど、昨日の言葉が頭の中でぐるぐると渦巻いている。
「透、今日の予定は?」
陽翔が食卓の向こう側から聞いてきた。カップから湯気が立ち上る珈琲をゆっくりと飲みながら。
「午前は大学の研究室、午後からはバイト」
そう答えながらも、心は重い。どうしても、あの夜の話が気になってしまう。
陽翔は何も言わずに頷いた。
「そうか……」
言葉少なだが、どこかいつもと違う雰囲気が漂っていた。
***
大学のキャンパスに向かう途中、スマホにメッセージが届く。
【陽翔】「帰り、寄る?」
その一言に、胸が熱くなる。すぐに返信を打つ。
【透】「うん、今日もよろしく」
普段なら何でもないやり取りだけど、今日はそれが特別な約束のように感じてしまう。
***
夕方、シェアハウスに戻ると陽翔はソファに座って漫画を読んでいた。
「おかえり」
「ただいま」
気まずさはない。ただ、距離が少しだけ近くなった気がする。
陽翔が隣に座ると、肘が触れた。
その瞬間、心臓が跳ねた。
「なあ、透……」
「ん?」
陽翔の声はいつもより少しだけ低くて、優しい。
「昨日の夜の、、話、真面目に考えてる」
胸の中がぎゅっと締め付けられる。
「……俺も、同じだ」
ふたりの視線が交わる。
そのまま、陽翔がそっと手を伸ばし、透の手を握った。
「?!?!っ、、///」
手のぬくもりが、まっすぐに伝わってくる。
「ずっと、伝えたかった」
ぽつりと呟いた陽翔に、透は目を閉じて、小さく頷いた。
「俺も……」
***
初めての恋の予感に、胸が締めつけられながらも、暖かい。
あの日々はもう、ただの友達同士じゃない——。