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【BL】また会えたなら

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【BL】また会えたなら

3 - #3【番外編】 分岐(if)ストーリー

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2023年12月17日

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黒衣の男生存IFです。

もしも黒衣の男が自害しなかったらの話です。

ifなのに誰も幸せにはなれません。死んでも死ななくてもバッドエンド(メリバ)。

名前がないとめちゃくちゃ書きづらい!!!!

R18要素(ちょいエロ)あるかも?


黒衣の男は、今にも闇に吸い込まれそうな、窪みのある崖の前に来ていた。

足を地面から浮かせ風に己の身を任せると、ふわっと心地のいい気持ちに包まれる。

この地獄のような日々から解放される、そう思った時。

遠くから自分を呼ぶ声がした。

「我が知己よ、どこにいるんだ!私が悪かった。だからそなただけは離れないでくれ…」

黒衣の男が腹心として、知己として支えていた皇帝の声。

毎日欠かさず聞き続けていた声音にやっとの決心が鈍ってしまう。

身を翻し崖の端を攀じ登ると、目線の少し上には今にも泣き崩れそうな表情をした皇帝の姿があった。

「生きていて…良かった…」

「…貴方は、何故ここに?」

厠に行くからと部下に伝え、持ち場を少しばかり離れただけなのに、と疑問に思ったことをぶつける。

「そなたが帰ってこないと臣下から報告を受け取った瞬間、戦死したのかと慌てて探しに来た。二度とかような真似はするでないぞ。」

皇帝は私のことを臣下に監視させていたのか、と普段ならしない不注意ですべてが水の泡になってしまったことを悔やむと、諦めたかように返事をする。

「…承知しました。」

(私はいつでも皇帝の命に逆らうことはできない。)

「良かろう。さあ、一緒に戻ろうではないか?」

皇帝が安心したかのような笑みを浮かべると、黒衣の男もそれに応えるかのように精一杯優しく笑う。

一度王宮に入れば抜け出すことは不可能に等しいことは分かっていたはずなのに、また生き地獄を味わうのか、私はいつ地獄のような”夢”から醒めることができるのだろうか。そんな黒衣の男の心の叫びは誰に届くこともなく、闇へと散っていった。


王宮へと戻った二人は、皇帝の自室へと来ていた。

「そなたには負担をかけすぎた。すまない。」

(今まで散々利用されていたのに、何故私はこの言葉で皇帝を許そうとしている?)

そんな己の心を押し込みながら表情を偽る。

「皇帝たるお方が家臣に謝ることなどあってはなりません。前言撤回願います。」

「皇帝は一度口に出した言葉を撤回しない。そうだろう?」

そう言い放った皇帝は、床に黒衣の男を押し倒した。

「…ええ、そうですね。」

抵抗をしても無意味だ、もうどうにでもなれ。と、身を投げだした黒衣の男をみて、皇帝は目の前の唇にそっと触れる。

触れては離れてを繰り返していると、やがて甘く、深いものへと変わっていく。

「ん…ふっ…」

歯列をなぞり舌先を絡めあうと、黒衣の男から甘い息が漏れる。

「へ…いかっ…」

二人の唇が離れると、皇帝は黒衣の男の首へと手をかけた。

「ああ知己よ。苦しいだろう?そなたが生きるも死ぬも全て私次第。これからは何も背負わず私の元に居れば良い。」

皇帝はさらに力を強めると、黒衣の男は「うぅ」と呻き、甘い痺れが全身を支配していく。

しかし、声帯を震わせられない、死にものぐるいで求めている酸素も入ってこない、そんな状況であるのにも関わらず、黒衣の男は脳の浮遊感に快楽を感じていた。

(このまま死ねたならどれだけ良かったことか)

「…ぁっ…はぁッ…へ、いかっ…」

「心地良い感覚になっただろう?」

皇帝が首から手を遠ざけると、身体と意識がだんだんと統一され、感覚が戻っていく。

「そなたは二度と私の名を呼んでくれないのか。」

「…すみま、せん…」

「そなたは変わってしまった。いや、私が変わってしまったのかな。」

表情に影を落とした皇帝は、黒衣の男の体を起こし水を飲ませた。

「…感謝、します。」

「これからはずっとここにいて、そう私に感謝だけしていれば良い。決してそなたを逃しはせん。」

皇帝の言葉は絶対だと念を押すと、黒衣の男は皇帝に優しく笑いかける。

「せめてもう一度、許してはくれないか。」

「…んんっ…やぁッ…ぅ…」

再び唇をこじ開け舌先を絡めとり、首筋の静脈をたどるように手を這わせると、黒衣の男は嬌声と共に腰を浮かせる。

「私の寵愛を受けられる者も、拒める者もそなたしかいない。」

耳に触れるように囁くと、黒衣の男の肩が跳ね上がる。

(今度こそ、逃げられない。)

この心の声を聞くことができる者は、誰もいない。

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